希望の会社に転職したのにモチベーションが上がらない?転職の成功と転職活動の成功が違う理由を解説

希望していた会社への転職が叶ったのに、「なぜかやる気が出ない…」と感じていませんか?
内定をもらった時はあれほど嬉しかったのに、いざ新しい職場で働き始めるとモチベーションが上がらず不安になる——そんな経験をする20~30代の転職者は少なくありません。
本記事では、「転職活動の成功」と「転職そのものの成功」の違いに焦点を当て、なぜ希望の会社に入社してもモチベーションが上がらないのか、その理由を解説します。

 

希望の会社に入ったのにモチベーションが上がらない理由

転職先は理想的なはずなのに、なぜか心が晴れない——まずはその原因を探ってみましょう。新天地でモチベーションが上がらない背景には、いくつかの要因が考えられます。
以下では、よくある理由を5つの視点から解説します。

①理想と現実のギャップに戸惑う

憧れていた会社だからこそ、入社前に高い期待を抱いていたことでしょう。
しかし実際に働き始めると、仕事の進め方や社風、人間関係などが理想と異なる場合があります。
「思い描いていた職場と違う…」というギャップに直面すると、それだけでやる気を削がれてしまうことも。

 

不満というほどではなくても、小さなギャップの積み重ねがモチベーション低下につながります。
また、会社自体は好きでも、配属先の部署や担当業務が自分の得意分野と合っていないと感じる場合もあるでしょう。
自分の強みを生かせていない業務内容や、価値観とのミスマッチはモチベーション低下の一因に。
理想と現実の違いに戸惑うのは決して珍しいことではありません。

 

大きな目標を達成した後の燃え尽き症候群

「第一志望の会社に入る」という大きな目標を達成したことで、心にぽっかり穴が空いたような感覚になることがあります。
いわゆる「燃え尽き症候群」のように、目標達成後に気力が抜けてしまう状態です。
転職活動中は「内定獲得」というゴールに向かって一直線に努力してきた分、いざ入社してその目標がなくなると、次に何を糧に頑張ればいいのか見失ってしまうのです。

 

「せっかく頑張って内定をもらえたのに、自分はなんでやる気が出ないんだろう…」と自己嫌悪に陥る方もいます。
しかしそれはあなただけではなく、何かを達成した後には一時的にモチベーションが下がる揺り戻し現象が起こりがちだと指摘する声も。

この落とし穴を防ぐには、達成前から「次の目標」を用意しておくことが有効だと言われます。
まずは今の自分にとって新たな目標や指針を見つけることが、燃え尽き感から抜け出す第一歩になるでしょう。

外発的な動機に頼りすぎている

「有名企業だから」「年収が上がるから」といった外発的モチベーション(外部から与えられる動機)で転職先を選んだ場合、入社後に思ったほど気持ちが高まらないことがあります。

もちろん待遇や企業ブランドも大切ですが、それだけが動機になっていると、実際の仕事そのものに充実感を見いだせず空虚さを感じてしまいがち。
「周りに自慢できる会社に入りたい」という思いで頑張って転職活動を成功させても、いざ働いてみると日々の業務が退屈に感じてしまうケースがあります。

 

これは、仕事へのモチベーション源が自分の内側(内発的動機)ではなく外側にあったために起こる現象。
内発的な動機とは「この仕事自体が好き」「成長できるのが嬉しい」といった内側から湧き出るやる気の源泉。

もし入社後にやる気が出ないと感じたら、「自分は何に情熱を感じるのか」「この仕事のどんな部分に価値を見出したいのか」を改めて考えてみましょう。

 

外発的な理由だけでなく、自分自身の価値観に照らして今の仕事に意義を見つけることが大切です。
それが難しい場合、もしかするとその仕事はあなたの大切にしたい価値観と合っていないのかもしれません。

 

新しい環境でのストレスと不安

希望の会社とはいえ、転職直後は新人。
周囲は知らない人ばかり、新しい業務フローを一から覚えなくてはならないプレッシャーもあります。
誰でも最初のうちは緊張や気疲れで実力を発揮できなかったり、環境に馴染むまでに時間がかかるもの。

こうした環境の変化によるストレスで心に余裕がなくなり、結果的に「やる気が出ない…」と感じてしまうケースもあります。
決して「自分の適応力が低いせい」と責める必要はありません。
むしろ、多くの人が転職後しばらくは似たような不安を経験しています。
新しい職場に慣れるまでモチベーションが安定しないのは自然なことですから、あまり焦らず少し長い目で自分の気持ちの変化を見守ってみてください。

 

環境に慣れるにつれて、「できること」「わかること」が増え、自信がついてくればモチベーションも徐々に上向いていく可能性があります。

人間関係やフィードバックの影響

職場での人間関係や評価制度も、モチベーションに大きく影響します。
せっかく夢の会社に入っても、上司や同僚との関係がうまく築けなかったり、頑張りが適切に評価されないと感じるとやる気が削がれてしまいます。

「前の職場より待遇は良いのに、上司との相性が合わず辛い」「チームに溶け込めていない気がして居心地が悪い」など、人間関係の悩みは誰しもが抱えうるもの。
また、新しい職場ゆえに遠慮してフィードバックやサポートを十分得られず、孤独感を感じることもあるでしょう。

 

こうした状況では、どんな意欲的な人でもモチベーションを保つのは難しくなります。
人間関係は一朝一夕には築けませんが、小さなコミュニケーションを積み重ねて信頼関係を作ったり、周囲に自分の不安を少し打ち明けてみるだけでも状況が好転することがあります。
「自分だけが疎外されているのでは」と思い詰めず、焦らずに関係構築に時間をかけてみましょう。

 

「転職活動の成功」と「転職の成功」はどう違う?

上記のような理由でモチベーションが上がらない背景には、「転職活動の成功」と「転職そのものの成功」を混同してしまっていることがあるかもしれません。
ここでは、その二つの「成功」の違いを整理し、本当に目指すべきゴールが何かを考えてみましょう。

「転職活動の成功」とは内定獲得という一つの成果

まず「転職活動の成功」とは何でしょうか?一般的には、志望企業から内定を勝ち取ることや、複数のオファーを得て自分の望む条件で転職先を決められることを指す場合が多いでしょう。

短期間で希望の会社から内定をもらえた、人よりも有利な条件で入社できた、といった結果が出れば「転職活動は成功した」と言えます。
確かに、厳しい選考を突破し希望の企業から内定を得るのは素晴らしい成果です。
それ自体、大いに誇っていいことですし、努力の賜物です。

 

ただし忘れてはいけないのは、内定はゴールではなくスタートラインに過ぎないという点です。
転職活動の目的は「入社すること」ですが、その先には実際の仕事人生が続いていきます。内定獲得はあくまで新しいステージへの切符を手に入れた段階であり、本当の勝負はこれから始まるのです。

 

「転職の成功」とは自分に合った職場で活躍し続けること

一方で「転職の成功」とは何でしょうか?それは端的に言えば、転職後の職場で充実して働き、キャリアを発展させていくことです。
具体的には、新しい会社や職種で自分の力を発揮し、やりがいを感じながら成果を上げている状態を指します。

簡単に言えば、「自分に合った会社で働くこと」が転職の成功だと言えます。
たとえ世間的に見て人気の企業でなくとも、自分の価値観や強みが活かせる環境でイキイキと働けているなら、その人にとっては転職成功と呼べるでしょう。

 

逆に、どれほど有名企業に入れても、毎日が辛く成長も感じられないのであれば、それは真の意味で成功とは言えません。
転職の本来の目的は「自分が納得できる働き方を手に入れること」にあります。
ここを見失うと、内定をもらうことだけに執着してしまいがちです。

両者を混同すると起きるミスマッチ

「転職活動の成功(内定)」ばかりに意識が向いていると、入社後の自分の働き方や幸せまで考えが及ばなくなることがあります。
「とにかく早く内定が欲しい!」という焦る気持ちが強いと、内定がゴールになってしまい、本当に自分に合った会社かを冷静に見極められなくなると指摘されています。

 

その結果、入社後に「こんなはずじゃなかった…」というミスマッチに気づいてしまうことも。
「内定=ゴールではない」と頭では分かっていても、転職活動中はつい目前の成果を優先してしまいがち。
そのため、活動中から「この会社で自分は長く働けるか」「入社後にどんな成長ができそうか」を想像し、内定獲得と同じくらい入社後の未来に目を向けることが大切です。

 

本当に意識したいゴールは何か?

改めて問い直してみましょう。あなたが転職を決意した本当の目的は何だったでしょうか?
「憧れの会社に入ること」自体が目的になっていなかったでしょうか。

本来、転職はあくまで手段であり、その先に「なりたい自分になる」「望むキャリアを築く」という目的があるはず。
内定を得た時点では、まだその目的地に到達したとは言えません。

 

大切なのは、転職という手段を通じて自分の人生をより良くできるかという視点。
例えば「専門スキルを伸ばしたい」「ワークライフバランスを良くしたい」「社会により貢献できる仕事がしたい」など、人それぞれ目指す方向があるでしょう。

 

それを叶えることこそがゴールであり、そのゴールに近づける転職であったかどうかが「転職の成功」の尺度となります。
したがって、希望の会社に入れたのにモチベーションが上がらない場合、一度立ち止まって「自分が本当に目指していたゴールは何だったか?」を見つめ直してみることをおすすめします。

ミスマッチを防ぐ鍵は「自己理解」:自分を知ることの大切さ

では、どうすれば「転職活動の成功」と「転職そのものの成功」を両立できるのでしょうか。
その鍵の一つが自己理解を深めることです。
多くの人が転職後に感じるギャップやミスマッチは、実は転職前の準備段階で防ぐことが可能だと言われています。
ここではミスマッチが起こる主な原因と、自己理解の重要性について考えてみましょう。

 

ミスマッチが起こる主な原因とは

人が転職でミスマッチを感じてしまう原因はいくつか考えられます。
代表的なものとして、自己理解の不足と情報不足の二つ。
自己理解の不足とは、自分の強み・弱み、価値観や興味を十分に把握しないまま仕事を選んでしまうケース。

 

一方、情報不足とは、業界や職種について表面的なイメージだけで判断し、実際の仕事内容や職場環境との間にギャップが生まれるケース。
「クリエイティブな仕事がしたい」と転職したのに、実際はルーチンワークが多かったとか、企業の風土までは調べず入社してみたら自分に合わない社風だった、というような状況です。

 

また、社会全体の構造的な要因として、成長分野と衰退分野のミスマッチ(ある業界では人手不足なのに別の分野では人余り)が発生していることも、個人のキャリア選択を難しくしています。
しかし、個人レベルで見れば、やはり「自分を十分に理解していないこと」と「仕事の実態を十分に調べていないこと」がミスマッチの大きな原因であることは間違いありません。

自己理解不足がもたらす弊害

自己理解が浅いまま転職をすると、せっかく「成功」した転職活動がその後の不満や早期離職につながりかねないという問題があります。
事実、新卒者の約3割が3年以内に離職しており、その主要因の一つが職業選択のミスマッチだと報告されています。

 

自分に合わない仕事に就いてしまうと、毎日の満足感が下がるだけでなく、会社にとっても採用し直しのコストや職場の生産性低下という損失になります。
せっかく勇気を出して転職しても、「思っていたのと違う」「自分には向いていない」と感じて早々に辞めることになってしまっては、本人にとっても企業にとっても残念な結果ですよね。

 

さらに、ミスマッチが続くと自己肯定感が下がったり、キャリアに対する自信を失ってしまう恐れもあります。
それだけに、自分自身をよく理解した上で職場を選ぶことがどれほど大切かがわかります。

 

価値観の不一致がモチベーション低下を招く

自己理解と密接に関係するのが自分の価値観です。どんな価値観を大切にするかは人それぞれですが、それと職場環境の相性が悪いと強いストレスになります。
例えば、「チームワークを重視したい人」が競争の激しい実力主義の職場に入ったり、「ワークライフバランスを重んじたい人」が残業続きの職場に転職してしまったら、価値観の不一致により長くは続けられないかもしれません。

 

自分の価値観と会社の文化や仕事の進め方がマッチしていないと、どんなに好条件でもモチベーション維持は難しくなります。
実際に、自分の価値観に合わない仕事を続けることがモチベーション低下の原因になるケースは多々あります。
だからこそ、「どんな時に自分は充実感を得られるのか」「職場にどんな雰囲気や働き方を求めるのか」を把握しておく必要があります。

それが明確でないと、いざ転職してから「自分が望んでいたのはこういう働き方じゃない」と気づいてしまうかもしれません。

自己理解を深めて「本当に合う仕事」を見つける方法

理想の転職を実現するには、単に求人情報とスキルのマッチングを見るだけでなく、自分自身の深い理解に基づいてキャリア選択をすることが重要です。
ここでは、自己理解を深めるための具体的な方法やヒントを紹介します。
自分に合った仕事や職場を見極める力を養うために、ぜひ実践してみてください。

 

自分の強み・弱みを書き出して棚卸しする

最初のステップは、自分の強みと弱みを明確にすることです。
紙やノートを用意して、これまでの経験を振り返りながら「得意なこと」「苦手なこと」を書き出してみましょう。

大きなことでなくても構いません。
「人と話すのは得意だが細かい作業は苦手」「新しいアイデアを考えるのは好きだが数字管理は苦手」といった具合に具体的に挙げていきます。

 

自己分析のツールとして、市販の自己分析シートや適職診断テストを使ってみるのも良いでしょう。
最近はウェブで無料の適職診断や性格診断も利用できます。

科学的な特性診断ツールを活用すると、自分でも気づいていなかった強みや特性が見えてくることがあります。
こうして自分の特性を棚卸しする作業は、転職活動において自分のアピールポイントを整理するだけでなく、「自分はどんな環境なら力を発揮できるのか」「なぜ今の仕事に違和感があるのか」を考えるヒントにもなります。

 

自分の本当の強みを知ることは、あなたにフィットする仕事を探すコンパスになるでしょう。

 

価値観やキャリアの軸を明確にする

次に取り組みたいのが、自分の価値観やキャリアの軸を言語化することです。
あなたが仕事において譲れない価値観は何でしょうか?

「安定した雇用」「挑戦できる環境」「社会貢献度の高い仕事」「ワークライフバランス」「高収入」「創造性が発揮できること」など、人によって大切にしたいポイントは様々でしょう。
これらをリストアップし、優先順位をつけてみてください。

 

さらに、「5年後、10年後にどうなっていたいか」というキャリアビジョンも考えてみましょう。
これは難しく考えすぎなくて大丈夫。

「将来は地方で暮らしたい」「専門性を極めてフリーランスになりたい」「マネージャー職についてチームを率いたい」等、ざっくりした方向性で構いません。
それを踏まえて、今の転職がその方向に向かうための一歩になっているかを考えるのです。自分の価値観や将来像をはっきりさせることで、仕事選びの際に何を基準に判断すればいいかがクリアになります。

 

逆にこれがあやふやなままだと、目先の条件に流されてミスマッチを起こしやすくなります。
自分に問いかける作業は手間かもしれませんが、紙に書き出すことで頭の中が整理され、軸が定まってくるはずです。

モチベーションの源泉を探る

自己理解を深める上で忘れてはならないのが、「自分のモチベーションの源泉は何か」を知ることです。
先ほど内発的動機の話が出ましたが、人それぞれ「これがあると頑張れる」というツボがあります。

「誰かの役に立っている実感があると頑張れる」「競争があると燃えるタイプ」「目標達成で達成感を味わうとまた挑戦したくなる」「新しい知識を学ぶのが純粋に好きである」など様々。

 

過去の経験を振り返って、「自分がやる気に満ちていたとき、そこにはどんな要素があったか?」を思い出してみましょう。
逆に「やる気を失ったとき、何が原因だったか?」も分析してみます。

そこから、自分のモチベーションスイッチが見えてくるはずです。
それが分かれば、転職先を選ぶときに自分のモチベーション源が満たされる環境かどうかをチェックできますし、入社後も意識的に自分をモチベートすることができます。

 

「成長実感が大事」な人なら、小さな成長目標を設定してクリアしていくと良いでしょうし、「誰かに感謝されると嬉しい」タイプなら、お客様や同僚の役に立つ動きを増やしてみるなど工夫ができます。
自分の「やる気スイッチ」を知っておくことは、キャリア全般にわたってあなたを助けてくれるでしょう。

 

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