転職で年収が下がることはある?年収が下がる人の特徴や転職方法を解説

転職を考えている方にとって、年収の変動は大きな関心事です。
この記事では、転職によって年収が下がる可能性について解説します。

 

年収が下がる人の特徴や、そのリスクを避けるためのポイントを詳しく紹介し、年収を維持または向上させるために必要な準備や転職方法をお伝えますので、参考にしてください。
キャリアチェンジや異業種への転職を検討している方は、この記事を参考にして、後悔のない転職活動を進めましょう。

転職による給与変化

令和5年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は 37.2%、「減少」した割合は 32.4%、「変わらない」の割合は 28.8%となっています。

転職によって必ず年収が上がるとは限りませんが、転職活動を通じて自分の市場価値を知っておけることは、今後のキャリアを考えるうえで大きなメリットになることは間違いありません。

 

転職にはリスクがありますが、転職活動そのものはノーリスクです。
令和5年度の雇用動向結果の概況には、年齢ごとに転職後の収入がどのように変動したのかが記載されていますので、参考にしてください。

令和5年雇用動向調査結果の概況「4 転職入職者の状況」(厚生労働省)

転職で年収が下がる理由とは?

転職によって年収が下がることもあります。
ここでは、転職によって年収が下がる可能性のある主な理由について解説します。

業界や職種を変えた

転職時に業界や職種を変えると、年収が下がることがあります。
特に、未経験の業界や職種に挑戦する場合、スキルや経験が不足しているとみなされ、スタート時の年収が低めに設定されることが多いです。

 

また、成長著しい業界から成熟期に入った業界に転職する場合も、給与水準が低くなることがあります。
これらの変化はキャリアチェンジに伴うものであるため、長期的な視点でのキャリアアップを目指す場合には、一時的な年収の低下を受け入れることが必要かもしれません。

大手企業から中小企業への転職

大手企業から中小企業への転職も、年収が下がる理由の一つです。
大手企業は一般的に給与水準が高く、福利厚生も充実していますが、中小企業ではこれらが限られている場合があります。

中小企業では、事業規模が小さいために収益が少なく、結果として給与も抑えられることがあります。
しかし、中小企業での転職は、責任あるポジションでの経験やスキルアップを目指す機会でもあります。
長期的なキャリア形成の一環として必要なこともあるかもしれません。

 

企業規模別にみた賃金については以下のリンク先のPDFも参考にしてください。
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (4) 企業規模別にみた賃金(厚生労働省)

都市部か地方かの違い

都市部から地方へ転職する場合、生活コストの違いにより年収が下がることがあります。都市部では生活費が高いため、それに合わせて給与も高めに設定されることが一般的ですが、地方では生活コストが低いため、給与もそれに比例して低くなることが多いです。

地方での転職は、生活の質を重視する選択肢として考えることができますが、年収の変動を事前に理解しておくことが重要です。

 

都道府県別にみた賃金については以下のリンク先のPDFも参考にしてください。
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (10) 都道府県別にみた賃金(厚生労働省)

スキルや経験のミスマッチ

転職先で求められるスキルや経験が自分の持っているものと合わない場合、年収が下がる可能性があります。
企業は即戦力としてのスキルセットや経験を重視するため、ミスマッチがあると判断されると、年収が低く設定されてしまいます。

 

また、採用後の研修や教育コストを考慮し、最初の年収を抑えられることも。
スキルや経験のミスマッチを避けるためには、転職前に求められる要件をしっかりと確認し、自身の強みを最大限にアピールすることが必要です。

前職は残業が多く、残業代が多くついていた

前職で残業が多く、残業代が大きな割合を占めていた場合、転職後に年収が下がることがあります。
残業代がなくなると、基本給のみの給与体系になるため、年収全体が低く感じられることがあるでしょう。

 

特に、残業が前提の給与体制から、働き方改革などで残業が減少している企業への転職では、収入面でのギャップが生じる可能性も。
このため、転職時には新しい職場の給与体系や働き方を確認し、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが大切です。

企業の経営状況や方針

転職先の企業の経営状況や方針によっても年収が影響を受けることがあります。
経営が安定していない企業や、コスト削減を進めている企業では、給与が抑えられることがあります。

 

また、経営方針の転換やリストラが進行中の企業では、新規採用者に対して低めの年収が提示されることもあります。
転職前には、企業の財務状況や経営方針を調査し、将来的な安定性を確認することが重要です。

年齢による影響

年齢が進むにつれて、転職後の年収が下がる傾向があります。
特に40代以降の転職では、即戦力としての期待が高まる一方で、年齢に見合うだけのスキルや経験がない場合、年収が抑えられることがあります。

また、年齢が高いと、企業は伸びしろを見込めないと判断することがあり、結果として初任給が低めに設定されることがあります。
年齢による影響を最小限にするためには、常にスキルアップを図り、即戦力としての価値を高める努力が必要です。

 

転職と年齢については以下の記事も参考にしてください。
「転職で未経験職種への応募、年齢は大丈夫?未経験職種への転職と年齢について解説」

転職回数が極端に多い場合

転職回数が極端に多い場合、年収が下がることがあります。
頻繁な転職は、企業側にとっては安定性や信頼性に疑問を持たれる要因となりやすく、結果として給与が低く提示されることがあります。

また、過去の転職理由によっては、ネガティブな印象を与え、評価が下がることも。
転職回数が多い場合は、面接時にしっかりとした説明を行い、納得できる理由を伝えることで、年収ダウンを防ぐことができます。

 

転職の回数については以下の記事も参考にしてください。
「転職回数が多いと受からないは本当?転職回数が多い人の転職活動の戦い方」

年収が下がってしまう人の特徴

転職後に年収が下がってしまうのは、いくつかの共通した特徴が原因となることが多いです。
ここでは、その代表的な特徴を解説します。

年収交渉が上手くない人

年収交渉が上手くない人は、転職時に提示された条件をそのまま受け入れてしまうことが多く、結果として年収が下がることがあります。
交渉力は転職活動において非常に重要なスキルであり、自分の価値を適切に伝えることが求められます。

 

面接や内定後の交渉では、企業の提示する条件に対して納得のいく形で交渉を行うことが重要。
また、自分の市場価値を理解し、それを基にした交渉を行うことで、より良い条件を引き出すことが可能になります。

交渉の際には、冷静かつ論理的に対応することが成功の鍵です。

一人で交渉するのが難しいと思うときには、転職エージェントを活用した転職活動をすることがおすすめです。
転職時の年収交渉については以下の記事も参考にしてください。
「転職エージェントに年収交渉はあり?年収交渉をいつすればいいか、タイミングを解説」

自分のスキルの市場価値を把握していない人

自分のスキルの市場価値を把握していない人は、年収が下がるリスクが高まります。
自分が持っているスキルや経験が、現在の転職市場でどの程度の価値を持つのかを理解していないと、適切な年収を要求することが難しくなるからです。

 

市場価値を知るためには、同じ業界や職種での給与相場を調査し、自分のスキルセットがどれだけ競争力があるかを把握することが大切。
転職先での年収を適切に設定でき、納得のいく条件で転職を進めることができるでしょう。

キャリアプランが明確でない人

キャリアプランが明確でない人は、転職時に自分に合ったポジションを選びにくく、結果として年収が下がることがあります。
キャリアプランが明確でないと、短期的な視点での判断が増え、長期的なキャリア形成を見据えた選択が難しくなるからです。

 

転職を成功させるためには、自分がどのようなキャリアを築きたいのかを明確にし、それに基づいて転職活動を行うことが必要です。
明確なキャリアプランを持つことで、適切なポジションを選び、将来的な年収アップにも繋がる選択ができるでしょう。

転職で年収を下げないためにするべきこと

転職で年収を下げないためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
ここでは、年収を維持または向上させるための具体的な方法を紹介します。

平均年収が高い業界・職種に転職する

平均年収が高い業界や職種への転職は、年収を維持または向上させるための有効な手段です。
業界によって給与水準には大きな差があり、特に金融業界、IT・通信業界、コンサルティング業界などは平均年収が高い傾向にあります。

 

現職と同じスキルや経験を活かせる職種でも、業界を変えることで大幅な年収アップが期待できることがあります。
例えば、技術職であればIT業界への転職、営業職であれば金融業界への転職が考えられます。
転職を考える際には、まず自分のスキルセットがどの業界で最も高く評価されるかを調査し、年収アップのチャンスを最大限に活かしましょう。

スキルに自信がある場合には成果主義の企業へ転職する

スキルに自信がある場合、成果主義の企業への転職は年収を大幅にアップさせる絶好の機会です。

成果主義の企業では、実績や貢献度に応じて評価されるため、年齢や勤続年数に関係なく、高いスキルを持つ人材が早期に高収入を得ることが可能です。
特に、インセンティブ制度を導入している企業や、外資系企業は実績に基づいた評価が行われやすく、頑張り次第で年収が大きく跳ね上がることがあります。

 

こうした企業に転職する際には、自分の成果を明確にアピールできるように準備し、転職後のキャリアプランをしっかりと描くことが重要です。
スキルに見合った年収を得たいなら、成果主義の企業は理想的な選択肢と言えるでしょう。

成長産業の会社に転職する

成長産業に属する企業への転職は、将来的な年収アップを狙う上で有効です。
成長産業では、企業が拡大し続けるため、給与も上昇する傾向があります。特に、テクノロジー、再生可能エネルギー、バイオテクノロジーなどの分野は、今後の成長が期待されている業界。

 

これらの分野に転職することで、企業の成長とともに自分の年収も向上させることができる可能性が高まります。
転職先を選ぶ際には、企業の成長性や市場動向をしっかりと調査し、将来性のある業界を見極めることが重要です。

転職エージェントを使って転職する

転職エージェントを利用することは、年収を下げずに転職を成功させるための有効な手段です。
エージェントは最新の転職市場情報に精通しており、あなたのスキルや経験に最適な求人を提案してくれます。

 

さらに、給与や条件の交渉を代行してくれるため、個人で交渉するよりも有利な条件を引き出すことが期待できます。
特に、年収を重視した転職活動を考えている場合、エージェントのサポートは大きな助けとなります。

年収が下がるのが分かったら?転職を実行するかどうかの判断基準

転職によって年収が下がる可能性がある場合、転職を実行すべきかどうかを慎重に判断する必要があります。
以下の基準を参考にして、決断を下しましょう。

生涯年収がどうなるか

転職による年収減少が一時的なものに留まるのか、それとも長期的に影響するのかを見極めるために、生涯年収の視点から検討することが大切。
新しい職場での昇給制度やキャリアパスを考慮し、将来的にどの程度の年収が見込めるかを計算してみましょう。

 

生涯年収が大幅に下がる見込みがある場合は、転職を再考する必要がありますが、キャリアアップやスキル習得により、将来的に生涯年収が増加する可能性があるならば、短期的な年収減少を受け入れる価値があるかもしれません。

業界が衰退していく可能性はないか

年収が下がる転職を検討する際には、転職先の業界が衰退していく可能性がないかを慎重に見極めることが重要です。
もし選んだ業界が将来的に縮小する運命にあると、たとえ転職直後に年収が少し下がっただけでも、長期的にはさらに収入が減少するリスクがあります。

 

例えば、技術革新や市場の変化によって需要が低下している業界では、企業の業績悪化が進み、結果として給与が下がる可能性が高くなります。

最低限必要な年収はクリアしているか

生活費や住宅ローン、家族の生活費用、将来的な結婚や出産といったライフイベントを考慮し、自分や家族が安心して生活できる最低限の年収を明確に把握しておくことが大切。

 

短期的な年収ダウンを受け入れる場合でも、生活が維持できないほどの収入減は避けるべきです。
転職先の年収が、これらの基準をクリアしているかを慎重に判断し、必要な年収ラインを下回らないようにすることが、転職後の生活の安定を保つための重要なポイントとなります。

年収減を超える魅力が転職先にあるか

転職で年収が下がるとわかっていても、その減少を補って余りある魅力が転職先にあるのであれば、転職を考えてもいいかもしれません。

例えば、将来的に経験を積んでキャリアアップが見込める環境や、退職金や福利厚生が充実していることで、長期的な収支バランスが取れる場合は、年収減少を受け入れる価値があるかもしれません。

 

また、ワークライフバランスの向上や、やりがいのある仕事に就けるといった要素も大切。

これらの魅力が年収減を上回ると感じられるならば、その転職は前向きに検討する価値があるでしょう。
自分のキャリアやライフスタイルにとって、どの要素が最も重要かを明確にし、総合的に判断することが成功する転職への鍵となります。

年収減の範囲が前職の1割程度になっているか

年収が下がる場合、その減少が前職の1割程度に収まっているかどうかを確認しましょう。一般的に、1割以内の年収減であれば、新しい職場でのキャリアアップやワークライフバランスの向上など、他のメリットを考慮した上で納得できる範囲と考えられます。

 

ただし、この範囲を超える減少がある場合は、慎重に検討し、年収以外の要素が十分に補完されているかを確認することが大事。
転職後に後悔しないためにも、減少幅をしっかり把握し、自分の許容範囲を見極めることが必要です。

年収に占める賞与の割合がどの程度か

年収の中で賞与が占める割合も、転職を決断する際の重要なポイント。
賞与の割合が高い場合、業績や評価によって大きく左右されるため、安定した収入が期待できないことがあります。

 

新しい職場での賞与制度をよく確認し、年間の安定した収入を確保できるかを見極めましょう。
また、賞与の支給基準や過去の実績についても情報を得ることで、現実的な年収を予測することが可能です。
賞与に依存しすぎない給与体系を選ぶことで、転職後の収入の安定性を保つことができます。

年収が下がっても身に付けたいスキルや経験があるか

年収が下がることがわかっていても、その転職でしか得られないスキルや経験があるならば、長期的なキャリア形成において大きな価値を持つことがあります。
特に、異業種や異職種への転職では、これまでにない新しいスキルを習得するチャンスが広がります。

 

同じ職種でも、新しい環境や企業文化に身を置くことで、新たな視点やアプローチを学ぶことができるかもしれません。
これらのスキルや経験は、将来的なキャリアアップや市場価値の向上に繋がる可能性が高く、年収減を超える価値を生むことがあります。
転職の際には、短期的な年収の減少よりも、長期的なスキル獲得や経験の価値を重視することが、成功するキャリアパスの選択に繋がります。

年収が下がった転職を見直したほうがいいケース2選

転職によって年収が下がる場合、その判断が正しいかどうかを見極める必要があります。
特に以下のケースでは、転職を再考することをお勧めします。

現職での勤続年数が短いケース

現職での勤続年数が短い場合、年収が下がる転職は慎重に考えるべきです。
短期間での転職を繰り返すと、企業からの評価が下がり、信頼性や安定性が疑われるリスクがあります。

 

特に、キャリアの初期段階での転職は、十分なスキルや経験が身についていない可能性があり、その結果、専門性が深まらず、将来的なキャリア形成に不利になることも。

現在の職場で得られる経験やスキルがまだある場合は、もう少し在籍期間を延ばし、それらをしっかりと習得してから転職を検討した方がいいかもしれません。
次の転職先での評価も高まり、年収アップの可能性も広がります。

同業種・同職種への転職で年収が下がるケース

同業種・同職種への転職で年収が下がる場合、その転職が本当にキャリアにプラスになるかを慎重に見直す必要があります。

現職と同じ環境で、スキルや役割が大きく変わらないにもかかわらず、年収が下がるなら、その転職にメリットがあるかどうか再考するべきでしょう。
転職先で得られるスキルや経験が現職と比べて大きな違いがない場合、年収減少は単なるデメリットになりかねません。

 

また、転職は現職で築いた人間関係や評価をリセットするリスクも伴います。
同じ業種・職種での転職であれば、現職でのキャリアを活かして成果を出す方が得策であることも多いです。
転職によってしか得られない明確なメリットがない場合は、今一度立ち止まり、現職でのキャリアを継続する選択肢も検討してください。

転職で年収が下がった時には補助金がもらえる可能性も

転職後に年収が下がった場合、国から補助金がもらえることがあります。

「就業促進定着手当」という制度は、再就職先の賃金が前職より低い場合に受け取れる可能性があるもの。
この手当は、雇用保険の被保険者が再就職後に6か月以上その職場に継続して勤務し、その賃金が転職前よりも低いことを条件に支給されます。

 

支給額は、離職前の賃金と再就職後の賃金の差額に基づいて算出され、一定の上限額が設けられています。
申請は再就職後6か月を過ぎた日の翌日から2か月以内にハローワークで行いましょう。

もし該当する条件がある場合、転職による収入減を補うために、この制度の利用を検討することをお勧めします。

まとめ:転職直後の年収だけでは転職が成功したかどうかは分からない

転職直後の年収だけで転職が成功したかどうかを判断することはできません。

年収だけでなく、スキルの習得やキャリアアップの可能性、ワークライフバランスの改善など、長期的な視点で転職の成果を評価することが大切です。
転職先で得られる成長や将来の展望も考慮し、総合的に判断することで、より充実したキャリアを築いていけるでしょう。

 

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