第二新卒も適性検査は重要?新卒の適性検査との違いや適性検査の種類も解説

転職市場における「第二新卒」という言葉を耳にすることが増えてきました。

第二新卒とは、新卒で一度就職したものの、短期間での転職を目指す若手のことを指します。
多くの第二新卒が転職活動を進める中で、適性検査の存在に直面します。
しかし、新卒時とは異なる背景を持つ第二新卒の適性検査は、一体どのような特徴や意義があるのでしょうか。

本記事では、新卒時の適性検査との違いや、第二新卒が受けることになる適性検査の種類について詳しく解説していきます。

第二新卒にも適性検査はあるの?

転職や第二新卒の際の適性検査の導入が増えていますが、その背景や目的は何でしょうか。ここでは、適性検査の役割や内容、第二新卒と新卒での違いを深堀りしていきます。

第二新卒・転職時の適性検査導入は増加傾向

近年、転職市場における「適性検査」の導入企業が増加しています。
特に、第二新卒として転職を検討する層に対する適性検査の実施は、一昔前と比べて顕著に増えているのが現状です。
なぜこのような傾向が生まれているのでしょうか。

第二新卒とは、新卒入社後、数年以内に一度退職し、再度新たな企業を目指す層を指します。
彼らは既に一度の就職経験があるため、新卒時とは異なる視点や経験を持っています。

企業側としては、この経験を活かし、より迅速に業務に適応してもらいたいという期待がある一方で、彼らの過去の経験が新しい職場環境に合致するかどうかの確認が必要とされています。

そこで、第二新卒のスキルや適性、そして過去の経験と新しい職場の要求とのミスマッチを未然に防ぐ手段として、適性検査が活用されるようになりました。
この適性検査を通じて、企業は第二新卒の持つ能力や適性を詳細に把握し、適切なポジションへの配置やフォローアップを行っているのです。

ただし、専門知識が要求されやすい転職業界もあります。
一般的に、以下に挙げている業界に属する企業へ転職する場合には経験の有無に関係なく、ある程度の知識が転職時に求められることが多いようです。

職業 身に付けるべきスキル
IT・通信系技術職 プログラミングスキル、ネットワーク知識、データベース管理、プロジェクト管理
講師・教師 コミュニケーション能力、教育学の知識、専門分野の深い理解、指導力
生産管理・生産技術 生産工程の知識、品質管理、効率的なスケジューリング、リーダーシップ
工場運営 人事・人材管理、設備管理、安全管理、作業効率化
品質管理・品質保証 品質検査技術、品質基準の知識、品質向上の手法、記録・文書管理
金融系 金融商品の知識、リスク管理、顧客対応、マーケット分析
化学・食品系技術職 化学・食品の専門知識、実験技術、安全知識、新製品開発の流れ
機械・電気系技術職 機械・電気工学の知識、CAD操作、製品設計、設備管理
化学・食品系研究職 専門的な研究技術、データ解析、実験設計、論文執筆能力
MR 医薬品の知識、医療機関へのアプローチ、コミュニケーション能力、営業スキル

注:「MR」はMedical Representativeの略で、医薬品メーカーの販売担当者として、医療機関に対して医薬品の情報提供や営業活動を行う役職です。

適性検査導入の目的

企業が適性検査を導入する最大の目的は、「最適な人材の採用」を実現することにあります。

第二新卒の方々は、一度社会に出てからの再就職を目指すため、その経験や学びを活かす職場を求めることが多いでしょう。
一方で、企業もまた、第二新卒の持つ実務経験や即戦力としての能力を高く評価しています。

適性検査は、求職者の技術的なスキルだけでなく、人間性やチームでの働き方、問題解決能力など、さまざまな側面からその人の適性を評価するツールです。
特に、第二新卒の方々にとって、前職での経験や学びを正確に伝え、新たな職場での適応能力をアピールする上で、適性検査は非常に有効です。

結論として、適性検査の導入は、企業と求職者双方にとって、最適なマッチングを実現するための重要なステップと言えるでしょう。

適性検査の役割

適性検査は、転職活動における重要な選考工程の一つとして多くの企業で採用されています。
この検査には、大きく分けて次の2種類の役割があります。

  • 能力検査
  • 性格検査

順番に解説していきます。

能力検査

能力検査とは、個人の持つ知識や技術、思考力などを測定するための試験のことです。
企業が採用選考で能力検査を実施する理由は、応募者の学歴や経験だけでは判断しきれない、実際の「能力」を知るためであり、具体的には、言語能力と非言語能力の2つに大別されます。

まず、言語能力に関する検査は、文字や言葉を使用しての情報の処理能力を評価します。例えば、文章を読んでその内容を正しく理解する力や、言葉の意味を正確に捉える能力などが測定されます。

  • 語彙力テスト
  • 文章理解テスト

などが言語能力を測るテストに該当します。
日常生活やビジネスシーンでのコミュニケーションを円滑にするために不可欠な能力と言えるでしょう。

次に、非言語能力に関する検査は、言葉を用いずに、図形や数字などの情報を用いて問題を解決する能力を中心に評価します。

  • 図形の回転やパターンの推論
  • 数列

などが該当し、空間的・論理的な思考力が求められます。

性格検査

性格検査とは、個人の性格特性や行動傾向を評価するためのツールの一つです。職場の人間関係や業務遂行において、性格は非常に重要な要素となるため、多くの企業が採用選考時にこの検査を取り入れています。

具体的には、BIG5という五大性格特性(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向)を元にしたテストや、MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ・インディケータ)など、各種の理論に基づいたものが存在します。

性格検査の結果を用いることで、企業は職場のチーム編成やポジショニングにおいて、より適切な判断を下すことができるようになるのです。

第二新卒と新卒の適性検査の違い

新卒者と第二新卒者においては、その役割や目的が異なる点が見られます。

新卒の適性検査では、学生時代の経験や知識だけではなく、将来的なポテンシャルや成長可能性を測る目的が強いです。
多くの学生が実務経験を持っていないため、学歴や成績、サークル活動等の情報だけでは十分な評価が難しいからです。
こうした背景から、新卒採用の適性検査は、思考力やコミュニケーション能力、適応性などの基本的な能力を中心に評価することが多いです。

一方、第二新卒の適性検査は、少し異なるアプローチがされるでしょう。
第二新卒者は一度社会に出て、ある程度の実務経験を持っているため、過去の実績や経験を基にした職務適性、専門スキル、そして既存の知識や経験を活かせるかどうかを評価するポイントが増えます。
また、前職での経験や学びをどのように新しい職場で活かせるかという視点も評価されることが多いです。

総じて、新卒と第二新卒の適性検査は、それぞれの経験と背景に応じて、異なる観点で評価されていると知ることが重要です。

項目 新卒の適性検査 第二新卒の適性検査
主な評価ポイント 将来的なポテンシャル、成長可能性 過去の実績、専門スキル
評価の中心 思考力、コミュニケーション能力、適応性 職務適性、前職での経験や学びの活用方法
背景 学歴、成績、サークル活動等の情報による評価が難しい 実務経験を基にした評価が主体

適性検査の種類

適性検査の種類を紹介します。

知能検査(IQテスト)

知能検査、一般的にIQテストとも呼ばれるものは、論理的思考、数学的能力、言語能力などを計測するテストです。特定の専門知識や経験は必要とせず、知的な能力を評価することを目的としています。

例として、以下のような問題が出題されることが多いです。

問題:「りんご」は「果物」、同じように「ばら」は?
答え:「花」

このようなアナロジー問題や、数列を推測する問題、図形の回転や折りたたみを判断する問題などが出題されます。
就職活動において、IQテストは、どんな業務でも基盤となる思考力を測るため、多くの企業が採用選考に取り入れています。

職業適性検査

職業適性検査は、個人の興味や適性を評価するもので、どのような職種や業界が合っているのかを判定する目的で行われます。
この検査は、具体的な職種の知識やスキルではなく、応募者の性格や適性に基づいて最適な職業を見つけるための手助けをするものです。

  • 【例題①】
    あなたが困難な状況に直面したとき、どのように対応しますか?
    A. 即座に自分で解決しようとする
    B. 他者の意見やアドバイスを求める
    C. 情報を集めて最善の策を考える
  • 【例題②】
    新しいプロジェクトが割り当てられたとき、あなたはどのように取り組みますか?
    A. 既存の知識や経験を活用して進める
    B. 新たな方法や技術を学び取り入れる
    C. チームメンバーとの協力を最優先に考える

これらの問題は、あなたの問題解決のアプローチや取り組み方、チームでの働き方などを知る手がかりとして利用されます。
選択肢には正解や不正解は存在せず、あなた自身の性格や考え方を表現するものとなっています。

職業適性検査の結果をもとに、自分の興味や得意分野をより深く知ることができ、キャリアの選択や進路を考える際の大切な参考になります。

性格検査

性格検査は、応募者の性格特性や行動傾向を知るためのツールとして広く用いられています。
一般的には、心理的安定性、協調性、外向性、経験への開かれた性格、誠実性などの側面を評価するものとして知られるBIG5が基盤となっています。

例えば、以下のような質問が出題されることがあります。

  • 【例題】
    「新しい環境に慣れるのは早い方だと思う」
    選択肢: 1. まったく当てはまらない ~ 5. 非常に当てはまる

このような質問に答えることで、外向性や適応性などの性格の側面が評価されます。
答える際には、正直に自分の感じるところを回答することが大切であり、性格検査の結果は絶対的なものではなく、各企業が求める人材像とのマッチングの一環として活用されることが多いです。

役割適応検査

役割適応検査は、職場環境やチーム内でのポジションにどれだけフィットするか、また変化する状況や新しい業務内容に柔軟に対応できるかを判定するためのものとなります。

  • 【例題】
    あなたは新しいプロジェクトのリーダーに指名されました。プロジェクト初日、あるメンバーから「このプロジェクトに関しての知識が不足している」との意見が出ました。あなたはどのように対応しますか?① そのメンバーに具体的に何が不足しているのかを尋ね、全体の理解を深める。
    ② プロジェクトの背景や目的を再度説明し、メンバーの不安を解消する。
    ③ 他のメンバーの意見も聞き、情報共有のセッションを設ける。
    ④ 独自に情報を収集し、次回のミーティングで共有する。

このような問題を通じて、応募者の役割に対する理解や適応性、リーダーシップを評価します。

シチュエーション・ジャッジメント・テスト (SJT)

シチュエーション・ジャッジメント・テスト(SJT)は、仮想的な職場のシチュエーションを提示し、受験者がその状況でどのように判断や行動を選択するかを評価するテストです。対応能力や判断力、コミュニケーションスキルを実際に状況に即してチェックすることができます。

  • 【例題】
    あなたは部署の新人として、あるプロジェクトのチームに参加しました。初めてのミーティングで、上司から自らの意見を求められる場面がありました。しかし、具体的な意見が頭に浮かばない場合、どう対応しますか?① 上司に直接的に意見が思い浮かばないと伝える。
    ② 他のメンバーの意見を参考にして自分の意見をまとめる。
    ③ 一度考える時間をもらうことを伝え、後で意見を提出する。
    ④ ミーティングの後に自分の意見をメールで伝える。

SJTは、複数の選択肢から最も適切なものや、順序付けをする形式が一般的です。
このように、実際の業務を想定したシチュエーションでの判断能力を試されるため、事前の準備やリアルな経験が求められる場面もあります。

技術・専門知識テスト

技術・専門知識テストは、応募者の特定の職種や業界に関する知識や技術的な能力を直接評価するための試験です。
IT業界でのプログラミングスキルや、金融業界での会計知識など、その業界特有の知識を問うことが多いです。

例として、IT業界の採用選考で出題される可能性がある簡単な問題を考えてみましょう。

  • 【例題】
    Python言語で、1から10までの数字を出力するプログラムを書いてください。

このような問題は、基本的なプログラミングスキルを確認するためのものです。
技術・専門知識テストは、求職者の実際のスキルを直接的に評価するため、独学や経験を活かしてアピールする絶好のチャンスです。
選考前には、該当する業界や職種に必要な知識や技術をしっかりと確認・復習しておくことをおすすめします。

SPI

SPI(Synthetic Personality Inventory)は、就職活動を行う多くの学生が必ずと言っていいほど遭遇する、一般的な適性検査の一つです。
多くの大手企業がこのSPIを採用選考の一環として実施しており、数学、言語、非言語などの分野から成る知能検査と、性格検査の二つの大きなカテゴリが存在します。

企業側は、SPIを実施することによって専門知識以外の能力をある程度までなら把握することができるのです。

第二新卒・中途採用でもSPIは重要

第二新卒・中途採用であっても、適性検査は重要です。
ここでは、適性検査のシャアが最も大きいと言われているSPIについて、第二新卒としての転職活動者向けに掘り下げて解説していきます。

SPIの種類

SPIは新卒採用時に受けることが一般的であり、中途採用では扱わない企業も多いですが、中途採用でSPIを導入する企業も増えてきました。

SPIは高校生、大学生、第二新卒を含めた転職活動者のどのタイプかによって種類が異なります。
それに伴って評価ポイントも異なるのが普通です。

内容や所要時間、評価基準などを参考までにまとめました。
基準はそれぞれの企業によって異なりますので、一概に断言はできませんが、一つの目安として参考にしてください。

項目 高校卒業者向けSPI 大学卒業者向けSPI 第二新卒向けSPI
対象者 高校を卒業する予定の生徒 大学や大学院を卒業する予定の学生 大学卒業後、一度就職し、再度転職を目指す者
知能検査内容 基本的な算数や国語の問題が中心 専門的な問題や高度な論理的思考を要する問題が出題 大学卒業者向けの内容に加え、実務経験を反映した問題が出題されることも
性格検査内容 基本的な性格や価値観を測定 リーダーシップやチームワークなど、より具体的な職務適性を測定 過去の職務経験や適性をもとにした深い分析を要する質問が出題
所要時間 比較的短い(約1-2時間) 中程度(約2-3時間) 長め(約2.5-4時間)
評価のポイント 基礎的な学力や思考力 専門知識や複雑な問題解決能力 実務経験を生かした問題解決能力や適応性

第二新卒のSPI合格点数

第二新卒者の場合、一般的には全体の3~4割程度の正解で問題ないとされていますが、企業によってこの合否ラインは異なるため注意が必要です。

新卒の場合には8割程度が理想と言われているのに対して、第二新卒はその半分程度であっても問題ない場合がほとんどです。

この合格ラインは適性検査以上に、評価する項目があることが伺える基準だと言えるでしょう。

第二新卒のSPIで最も重要なこと

SPIにも言語問題・非言語問題・性格検査が出題されますが、この中でも最も重要なのは性格検査です。

転職活動を通して中途採用を狙う場合には、SPIの点数そのものは半分あれば十分との見解が強いです。
一般常識や基礎知識よりも大切にしている価値観が企業にあることのあらわれではないでしょうか。

企業分析・自己分析を通して、どのような適性をもった人物を採用しようとしているのかを調べ、キャラクターを作り上げてから適性検査に臨みましょう。

まとめ:第二新卒でも適性検査は重要

新卒だけが対象になっているかのように思われている適性検査ですが、第二新卒をはじめとして中途採用でも利用されることが多くなってきました。

適性検査には、

  • 能力検査
  • 性格検査

の2つの側面がありますが、中途採用時により重要になるのは性格検査です。

適性検査実施の目的には採用側のミスマッチを防ぎたいという考えもあるでしょう。
しかし、ミスマッチを望んでいないのは転職活動をしている側も同じです。

待遇なども含めた企業文化と自分の性格が合致しているかどうかは転職活動を成功させるうえで間違いなく重要になります。