転職は直接応募の方が有利は本当?転職エージェントと直接応募のメリット

転職を考える際、直接応募と転職エージェントの利用、どちらが良いのか迷う人も多いのではないでしょうか。

転職活動を本格的にスタートさせる前に、「転職エージェントを利用する方法」と「直接応募する方法」の選択が重要です。

この記事では、転職エージェントと直接応募のメリットについて詳しく解説します。

 

エージェントを利用すると、専門的なアドバイスやサポートを受けられる一方で、直接応募は自分の力だけで企業と交渉する場です。

それぞれの方法にどんな利点があるのか、具体的なポイントと共にご紹介しますので、

「転職を考えている」

「エージェントを利用するか直接応募にするか迷っている」

という方は参考にしてください。

転職エージェントと直接応募の仕組み

「転職エージェント」や「直接応募」という言葉になじみがない方に向けて、転職エージェントと直接応募について、その仕組みを解説していきます。

転職エージェントとは?

転職エージェントは、転職を希望する人と求人を出している企業を結びつけるサービスです。
転職活動者のスキルや経験、希望を詳細にヒアリングし、それに適した求人を提案してくれます。

 

「まだ転職は考えていない」という人でも利用することができ、転職活動をする際の参考にできるので、近年では利用者が増えています。
転職を考えていなかった状態で転職活動をしていた人が、自分の市場価値の高さを知ってから転職希望を出して年収をアップさせるケースも少なくありません。

 

また、履歴書や職務経歴書の添削も行ってくれる場合があり、自分一人では入手することが難しい情報へのアクセスも可能になるなど、数多くのメリットがあります。

転職エージェントの仕組み・利用料など

国内には多くの転職エージェントがあります。
転職エージェントは、採用活動を行っている企業から、求める人材条件・採用条件を細かくヒアリングし、その情報を社内で保有します。

 

そして、エージェント利用者のスキル・経験・実績や今後に望むキャリアプランなどを細かくヒアリングして、企業側が求める条件とマッチしいているかを確認しながら最適な求人情報を提供することで利用者の転職活動をサポートするのが転職エージェントの大まかな仕組みです。

 

自分で求人情報を探さずとも、転職エージェント側の保有している求人情報を多く公開してくれので、大幅な時間の短縮にもつながるでしょう。
こんなに便利な転職エージェントですが、基本的に利用者が負担する費用はありません。

 

では、どうして転職エージェントの多くを、利用者は無料で利用できるのでしょうか。
その理由は「転職エージェントの利益の仕組み」にあります。

転職エージェントは、企業側から情報をもらうことで報酬を受け取っているわけではなく、転職活動をしている人に企業の情報を公開することで報酬を受け取っているわけでもありません。

転職エージェントは、利用者が実際に企業に採用されたタイミングで採用活動をしている企業から「コンサルティングフィー(コンサルタント料金)」という報酬をもらうようになっています。
この報酬額は採用された人の年収の2割~3割程度の金額に設定されていることが多く、採用側の企業が提示した年収が高額であればあるほど、転職エージェントの利益も高くなるようになっているのです。

 

この仕組みによって、多くの転職エージェントは一般の利用者から費用を受け取らなくても成立しています。

直接応募とは?利用料など

直接応募は、求職者が自らの力で企業の求人に応募する方法を指します。
ウェブサイトや求人情報誌から興味のある求人を見つけ、履歴書や職務経歴書を企業に送る形式が多いです。

企業のウェブサイトから直接応募しているわけですので、求職者の費用負担もなければ、企業側も媒体に支払う費用がなく、コストの観点では双方にメリットがあります。

転職サイトに企業が求人を掲載している場合もありますが、この場合は企業は掲載料を支払うものの、利用者は無料で利用できます。

転職エージェントを活用するメリット

転職エージェントの利用には多くのメリットがあります。
よく言われているメリットはもちろん、「こんなメリットも?」と新しい発見があるかもしれませんので、最後までご覧ください。

非公開求人へのアクセスが可能

転職エージェントを活用すると、非公開求人への特別なアクセスが可能になります。
これは、一般的な求人情報サイトには掲載されていない、限定的な求人情報を入手できる大きなチャンスです。

 

企業は、特定のポジションに最適な人材を狙い撃ちできるよう、一部の求人情報を非公開にする場合があります。転職エージェントは、これらの貴重な情報を提供できるため、他の求職者に先駆けて魅力的なポジションへの応募が可能です。

企業の内部事情に精通できる

職エージェントのサービスを利用することで、希望する企業の詳細な内部事情に精通するチャンスが広がります。
エージェントは企業と密接な関係を築いており、求職者に対して企業の業務内容や働く環境、求められる人材の特性など、豊富かつ独自の情報を提供することができます。
このような情報は、企業の公式な求人情報だけでは知ることができない貴重な内容です。

 

転職活動において、企業の内部事情をより深く理解することは、自身のスキルや経験が企業と合致しているかを評価し、入社後における職場での満足度や成果を向上させる助けになるでしょう。

選考書類の添削と面接対策の実施

エージェントが提供する「選考書類の添削と面接対策の実施」を活用すると、転職活動が格段にスムーズに進みます。
転職エージェントは、履歴書や職務経歴書をプロの視点から丁寧に添削してくれるため、企業が求める情報が適切に伝わりやすくなります。

 

また、面接対策も徹底的にサポートしてくれるため、一人では難しい自己PRの方法や、聞かれる可能性のある質問への答え方など、具体的なアドバイスを受けられるので、自信を持って面接に挑むことができます。

推薦状の取得が可能な場合がある

転職エージェントを利用することで、推薦状の取得が可能な場合があります。
エージェントは、企業と求職者の間に立って、双方のニーズを最適にマッチングさせる役割を果たしますが、その過程で、求職者のスキルや経験を適切にアピールするための推薦状を作成し、企業に提出するサポートをしてくれることもあります。

 

エージェントは企業との信頼関係を良好なものにしておくためにも不用意に推薦状を書くことはしません。
採用企業は「企業にとっても求職者にとってもメリットがある場合のみ推薦状を作成する」ということを知っているからこそ、企業側も推薦状があると求職者への評価を高くする傾向にあります。

条件交渉を代行してもらえる

転職エージェントは、求職者と企業との間に立って交渉をスムーズに進める役割を果たします。
給料や勤務時間、福利厚生など、自分一人では難しい交渉も、経験豊かなエージェントが代わりに行ってくれるので安心です。

エージェントの存在があることで、求職者自身が交渉する際のプレッシャーも軽減されるでしょう。

選考後のフィードバックが受けられる

通常、選考に通過しなかった場合は自分で「何がよかったのか」「何がよくなかったのか」の分析を自分一人で行う必要があります。
ただし、この分析は自分の推測の域を出ることはできず、選考に通過しなかった理由も企業から教えてくれることはありません。

 

ところが、転職エージェント経由で転職活動を行っていた場合には違います。
エージェントが企業との橋渡し役となり、選考結果や面接の評価など具体的な情報を直接伝えてくれます。
これにより、自身の強みや改善点が明確になり、次回の面接に生かすことができるのです。また、フィードバックから企業側の求めるスキルや経験も理解することができ、よりマッチする企業を見つける助けにもなります。

 

一人で転職活動を行う場合には得られない大きなメリットと言えるでしょう。

不採用結果が変わることも

転職エージェントがよほど求職者を企業に推薦した場合に限られますが、不採用結果になった場合に、転職エージェントが企業側に面接で上手く伝えきることができなかった部分を補足し、不採用結果が覆ることがあります。

 

結果が覆ることがなかった場合でも、もう一度面接のチャンスをもらうことができるように交渉してくれることもあります。
直接応募では決して得ることができないメリットと言えるでしょう。

直接応募のメリット

転職エージェントのメリットを紹介してきましたが、直接応募にもメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

転職の幅が広がる

自身で希望する職種や企業を調査し、直接応募することで、自分のキャリアや希望に合ったポジションを見つけやすくなります。
対照的に、転職エージェントを利用する場合、エージェントが提案する求人に限られるため、選択の幅が狭まりがちです。

 

自分で自由に調べられるため、エージェントから紹介されていない企業にも応募することができます。

企業によるが、熱意の差を感じてもらえることがある

企業の採用担当に熱意をダイレクトに伝えることができる点もメリットと考えることもできます。
転職エージェントを利用する場合、エージェントがあなたの代わりに応募プロセスを進めますが、直接応募することで自分の言葉で志望動機や適性をアピールできます。

 

直接のコミュニケーションが可能なので、自分の強みや適性、企業への熱意をより具体的に伝えることができるのです。
採用担当者が主体的に行動しているというポジティブな評価をしてくれるかもしれません。

 

しかし、「直接応募だから熱意を感じてもらえる」と考えることは早計です。
企業によっては、熱意よりも実績やスキルといったシビアな側面に目を向けることも多いですし、熱意の感じ方は人によるところが大きいとしか言えません。
この意味で熱意のメリットはほとんどないと考える人もたくさんいます。

自分のペースで転職活動ができる

仕事をしながらの転職活動は時間的にかなりハードになるのが普通です。
転職活動をしていることを職場で表面化させると、自分への風当たりが強くなることもあるかもしれません。

 

転職エージェントを通しての転職活動では、転職エージェント・自分・相手企業の三者間のスケジュール管理が必要になるケースがある一方で、直接応募であれば直接、自分と相手企業の担当者とでスケジュールの調整をするので、管理や調整が楽になります。

採用コストが抑えられる分、有利になることもある

転職エージェントを利用すると、企業はエージェントへの報酬を支払う必要があります。これが、採用コストの上昇を招きます。
一方で、直接企業に応募する場合、そのようなコストは発生しません。

企業もコストを抑えられるので、応募者に対してより良い条件を提示する余裕が生まれる可能性があるとの見方ができるのです。

転職エージェントの活用と直接応募、結局どっちがいいの?

転職エージェント経由の転職活動と直接応募のメリット、いずれも紹介しましたが、結局のところ、どちらの方がいいのでしょうか。
この疑問には一先ずの答えが出ています。

 

それは「転職エージェントを活用する」です。
理由としては、両方にメリットや課題はあるものの、転職エージェントのメリットが直接応募のメリットを大きく上回るからです。

今までの紹介した転職エージェントと直接応募の違いを観点別にまとめておきますので、参考にしてください。

観点 転職エージェントの利用 直接応募
求人の種類 非公開求人が見られ、より多くの選択肢がある。 公開求人のみにアクセス可能。
サポート 専門のエージェントが履歴書の作成や面接対策をサポートしてくれる。 自分自身で全てのプロセスを管理しなければならない。
交渉 給与や待遇に関する交渉を代わりにしてくれる可能性がある。 自分自身で交渉を行う必要がある。
フィードバック 選考結果のフィードバックをもらいやすい。 企業から直接フィードバックをもらうのは難しい場合もある。
時間 求人の検索から応募までの時間を節約できる。 求人の検索から応募まで自分で行う必要がある。
コスト エージェントの利用は基本的に無料。ただし、企業がエージェントに支払う費用が給与に影響する可能性もある。 中間コストがないため、より良い条件が得られる可能性もある。
選考プロセスの透明性 エージェントを通じて選考の進捗がわかる。 企業と直接やり取りするため、進捗が直接確認できる。
専門性 エージェントの専門的な知識やネットワークを利用できる。 自身のスキルや知識のみに依存する。
プライバシー エージェントが個人情報を保護し、必要な場合のみ企業に提供する。 自身で企業に直接個人情報を提供する必要がある。

直接応募の方がいいケースも

転職活動をする人にとっては、転職エージェントを利用する方が有利であると結論付けましたが、次のような場合には直接応募の方がよい場合があります。

NPOやNGOへの転職

NPOやNGOへ転職を考える場合、企業に直接応募する方法がおすすめです。
転職エージェントを利用する場合、一般的な企業向けの求人が多く、NPOやNGOの求人は少なめです。
また、エージェントは商業的な利益を追求する場合があるため、利益が少ないNPOやNGOの求人は積極的に紹介されにくい可能性もあります。

事務職を希望した転職

高度な技術、特別なスキルが必要とされないことが多いのが事務職です。
ポータブルスキルのようなスキルはあった方がいいですが、特化型のスキルとして特別なスキルをもっていなくても直接応募の方が採用されやすいかもしれません。

 

転職エージェント経由で事務職を採用した場合、企業はかなりの採用コストをエージェントに支払う必要が出てきます。
事務職という職種そのものが比較的採用しやすい職種であることもあり、企業は多くのコストを割こうとはしませんので、直接応募の方が有利にはたらくかもしれません。

ベンチャー企業への転職

ベンチャー企業の場合、採用コストをあまり多くかけられないのが普通です。
応募する際にそもそも転職エージェント側にこのような企業の情報が届いていないことも多く、自分で探すしかありません。

 

ベンチャー企業で会社を軌道に乗せるための一因として活躍したいと考えている場合にはエージェントに頼らずに理念に共感できるベンチャー企業に直接応募するのがいいでしょう。

採用人数が多い業界への転職

採用人数が多い業界では、求人情報が豊富に公開されている可能性が高く、自身で効率的に情報収集が可能です。
エージェントを利用する場合、エージェント費用が発生します。
これは、企業がエージェントに支払う費用として間接的に転職活動者の給与や待遇に影響を与える可能性があります。

 

採用人数が多ければ多いほど、エージェントに支払う費用も高額になります。
コスト削減の観点からもなるべくエージェントは経由したくないと考えている場合が多いです。

転職活動者のよくある疑問

最後に、転職活動をする人たちからの疑問をいくつかまとめておきます。

転職サイトからの転職スカウトは採用と考えて大丈夫ですか?

採用ではありません。
転職サイト経由での応募は、エージェント経由の応募と直接応募の中間的存在です。

 

転職サイトからのスカウトは、企業からの関心の表れですが、それだけで最終的な採用が確定するわけではありません。
スカウトメールは、企業があなたのスキルや経験に興味を持ち、詳しく話を聞きたいと考えている状態を指します。

 

スカウトを受けた場合、まずはその企業との面接や選考プロセスが続きます。
その過程で、双方の条件や期待が合致する場合に初めて採用となります。
また、スカウトがあったからといって、他の求職活動を停止する必要もありません。
複数のオプションを検討することが、より良い転職先を見つける助けになるでしょう。

転職エージェント経由は費用がかかる分、採用ハードルは高くなりますか?

一概にハードルが高くなるとは言えません。
転職エージェント経由の場合、エージェントに支払う費用(年収の2割~3割が相場)が高額であるため転職で不利になるという主張する人たちもいますが、そもそも費用を支払いたくないのであれば、転職エージェント経由での求人をやめればいいだけです。

 

「費用を支払ってでも採用活動をすることにメリットを感じている企業が、転職エージェントを活用して採用活動を行っている」という事実を考えると、費用の発生の有無だけで採用ハードルが変化しないことは容易に推測されます。

エージェント経由で選考に落ちた企業に直接応募することはできますか?

応募はできますが、面接まで進んで落ちた場合には、すぐに直接応募をして採用面接へと進んでも同じ結果になる可能性は高いと思われます。
採用担当者が自社の文化とのマッチング度合い、スキルや経験を総合的に判断して出した結果ですので、応募の形態を変えても難しいと思われるからです。

 

しかし、書類選考落ちの場合には直接応募から採用面接に進み、最終的に採用となるケースもあるかもしれません。
これには、「0次選考」と呼ばれるものが関係しています。
転職エージェントは企業に応募書類を送る前の段階で社内選考を行うのが普通です。

 

エージェントは企業から「〇〇な人材がいる場合に紹介してください。」のように、条件を事前に提示されています。
この条件を無視した人材を面接に通してもらおうとすることは、転職エージェントにとっても、企業からの信頼を損なうことになりかねません。

エージェントが企業から求められた条件に応じて、事前に書類選考を実施し、条件に合わないと判断された場合、企業への応募が見送られることがあるのです。

 

エージェントの選考基準と企業の選考基準は必ずしも一致しないため、企業に直接応募した場合、企業の選考に通過する可能性もあります。
転職エージェントからは勧められなかったとしても、「自分にはその適性が十分にある」と感じるのであれば応募してみるとよいかもしれません。

まとめ:転職のスタンダードは転職エージェントの利用

転職する際の、「直接応募」と「転職エージェントの活用のメリット」を解説してきました。
どちらにもメリットはあるものの、大きなメリットを期待できるのは転職エージェントの活用であると断言してしまって問題ないでしょう。

 

今では転職を後押しする国の制度もあり、転職エージェントも無料で利用できるものも増えてきています。
転職をするかどうかは別にしても、転職活動をすることで自分の市場価値を知っておくことは大切かもしれません。

転職活動をするだけなら大きなリスクはありません。
不安定な時代と言われる時だからこそ、常に転職がスムーズにできるような準備を進めておくことは重要です。

 

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