転職活動をしていると、
「第二新卒」
「中途採用」
「新卒採用」
など、様々な条件を目にします。
特に、第二新卒と中途採用の違いがはっきりと分からない方は多いのではないでしょうか。
「自分は第二新卒としての転職活動をしたほうがいいのか」
「それとも、中途採用としての枠を狙って転職活動をしたほうがいいのか」
転職活動をするうえで、どうすれば有利になるのか気になってしまい、悩ましいポイントです。
第二新卒者と中途採用者は、経験やスキル、企業からの期待値も異なり、採用市場で異なる扱いを受けます。
また、「既卒」という立場から見た転職の可能性についても考察していきます。
本記事では、これらの違いを明らかにし、転職を考える皆さんが自身のキャリアプランをより戦略的に立てるための指針をまとめましたので参考にしてください。
新卒、第二新卒、中途採用、既卒の違いを解説
「新卒」「第二新卒」「中途採用」「既卒」これらの用語を正しく説明できますか?
中には定義が曖昧になっているものもありますが、ここでは一般的に就活市場で認識されている通りにこれらの用語解説をしました。
新卒
「新卒」は、大学や専門学校などの教育機関を卒業し、その年度内に就職活動を行う人々を指します。
企業は新卒者に対して独自の採用枠を設け、集団面接や説明会など特有の採用プロセスを展開します。
新卒採用の大きな特徴は、未経験者でも採用されやすい点です。
企業は新卒者に対して、基礎から業務を教育することを前提としており、そのため長期的な人材育成の観点から採用を行っています。
また、新卒者は就職市場において「一斉採用」という形式が一般的で、多くの企業が同時期に採用活動を行うため、求職者には比較検討の機会が多いのも特徴です。
第二新卒
第二新卒は、大学や大学院を卒業してから3年以内に初めての職を離れた人々を指します。大学卒業後すぐに就職し、数年以内に異なるキャリアパスを模索する若手の社員が含まれます。
4年制大学を卒業した場合、25〜26歳までが一般的な第二新卒の範囲とされ、大学院卒の場合は27〜28歳までが目安になります。
第二新卒の魅力は、一定の実務経験を持ちつつも、新卒と同様に長期的なキャリア形成が期待できる点にあります。
企業側は、第二新卒者が持つ若さと柔軟性、そして実務経験を評価し、ポテンシャル採用の対象として見ています。
中途採用
中途採用は、企業が特定の職務経験やスキルを持つ人材を対象に行う採用方法です。
この採用形態の特徴は、候補者の過去の職務経験や専門知識が重視される点にあります。新卒採用が主に未経験者を対象とするのに対し、中途採用では、前職で培った専門スキルや業務経験を即座に活用できる人材が求められます。
中途採用は企業にとって即効性の高い人材を確保する手段であり、候補者にとってはキャリアアップの機会を提供する重要な採用形態と言えるでしょう。
既卒
既卒者は、学業を修了してから一定期間が経過しているが、まだ社会人としてのキャリアをスタートしていない人々を指します。
このグループは、卒業後に直接就職しなかった、あるいは就職活動を一時中断した人たちで構成されています。
彼らは、第二新卒とは異なり、正社員としての就労経験がまだないのが特徴です。
少数派ではありますが、社会に出る前の準備期間として、さまざまなスキルや資格の取得に専念する既卒者もいます。
第二新卒、中途採用、既卒の違い比較
ここまでの内容を踏まえて、第二新卒、中途採用、既卒の違いを表形式で簡潔にまとめました。
分類 | 定義 | 主な特徴 |
---|---|---|
第二新卒 | 新卒採用後、3年以内に転職を考える人 | ・短期間の職務経験あり ・柔軟な思考と適応力 |
中途採用 | 数年以上の職務経験を有する人 | ・特定のスキルや専門知識 ・即戦力としての期待 |
既卒 | 卒業後、一定期間就職活動をしていない人 | ・社会人経験なし ・新鮮な視点や熱意 |
企業目線で見る第二新卒採用をする理由とメリット、デメリット
企業が第二新卒として採用を強化する場合、企業のメリットやデメリットはどこにあるのでしょうか。
企業側の目線になって考えることで、自分が第二新卒としての転職活動に向いているのかどうかが分かります。
メリットをメリットとして活かすことができ、企業が思っているデメリットを小さくできるのであれば、第二新卒としての転職活動は有利かもしれません。
企業目線で見る第二新卒採用をする理由とメリット
まずは、第二新卒のメリットを見ていきましょう。
基本的なビジネススキルが身に付いている
新卒者と異なり、第二新卒は既に社会人としての基本的なスキルとビジネスマナーを身につけている場合が多いです。
前職での経験を通じて職場でのコミュニケーション能力やチームワークの重要性を学んでいるため、これらのスキルが新しい職場への迅速な適応という形で表れ、追加のトレーニングコスト削減にもつながります。
初期の研修期間を短縮し、教育に関わるコストを抑えられるメリットがあるのです。
また、第二新卒採用は、若手の意欲ある人材を確保しつつ、新鮮なアイデアや異なる業界の知見を取り入れる機会をもたらすかもしれません。
企業の革新や成長に早い段階で貢献する可能性がある点で新卒採用とは違った魅力もあります。
キャリア形成をしやすい
第二新卒採用のメリットに、キャリア形成がしやすいという点があります。
第二新卒者は社会経験を持ちながらも、勤続年数が浅いため、特定の企業文化や働き方に固執することなく、新しい環境に柔軟に適応する能力を持っています。
この特性は、企業が求める方向性や文化に彼らを容易に適合させ、成長させる大きなチャンスです。
さらに、第二新卒者は前職での経験を活かしつつ、新たな職場でさらにスキルアップを図る意欲が高い傾向にあります。
企業はこの意欲を人的資本とし、継続的な教育とキャリアアップの機会を提供することで、長期的なコア人材を育成できます。
採用時期の調整が可能
新卒採用の場合、募集から入社までに長い期間が必要ですが、第二新卒採用ではそのプロセスを大幅に短縮することができます。
これは、特に人手不足が生じた際やプロジェクトが急激に拡大した時に、迅速に対応するために非常に有効です。
第二新卒者は通常、即時の就業が可能であり、企業側は現状のニーズに合わせて柔軟に採用計画を立てることができます。
これにより、特定の季節や年度末などのタイミングに依存せず、必要な時に適切な人材を確保することが容易になります。
このような採用プロセスの迅速化は、企業の事業運営における機動性を高め、市場の変動や経営戦略の変更に迅速に対応する能力につながります。
柔軟性は、競争の激しいビジネス環境において、企業の成長と安定を支える重要な要素です。
新卒採用の補填ができる
第二新卒採用には、新卒採用での人員不足を補填する機能があります。
新卒採用には限界があり、毎年の採用計画通りに適切な人材を確保することは常に可能とは限りません。
第二新卒採用は、このような状況下で企業が人材のギャップを埋めるのに最適な手段となります。
特に、企業の成長フェーズや業務量の増加に伴い、新卒採用だけでは充足しきれない人材ニーズに迅速に対応できる点が大きなメリットです。
企業目線で見る第二新卒採用のデメリット
企業にとって第二新卒採用にはデメリット、懸念点もあります。
再転職の可能性
第二新卒者は前職を比較的短期間で離職していることが多く、これは将来的に再度転職を考えるリスクを含意している場合があるため、採用時に候補者の離職理由と将来のキャリアプランを慎重に評価する必要があります。
ポジティブな理由での転職、例えばスキルアップやキャリアの発展を目指す場合は望ましいですが、職場での問題や適応困難が離職の原因である場合、同様の事態が再発する恐れがあります。
候補者の社会人としてのマインドセットや仕事へのアプローチを詳細に把握し、組織の文化や価値観に合致するかを判断することが重要です。
また、頻繁な転職は組織の人材安定性に影響を及ぼし、採用にかかるコストやチームの士気に悪影響を与える可能性があります。
そのため、採用プロセスにおいては、候補者が長期的なキャリアを組織内で築く意向を持っているかどうかを見極めることが求められます。
新卒同様、育成に時間がかかる
第二新卒者は基本的なビジネスマナーを身につけていることが多いですが、実務に必要な専門スキルや深い業界知識については、まだ発展の余地がある場合がほとんどです。
そのため、企業はこれらの人材に対して、新卒採用者と同じく、長期的な育成計画を立てる必要があります。
第二新卒者を採用する際、企業はその潜在能力と成長の可能性に投資していると言えるでしょう。
前職と比較される可能性
以前の職場と新しい職場を比較されやすくなるのもデメリットの一つ。
新卒で採用された人材は職場経験がないため、比較の基準がなく、会社の文化や環境を素直に受け入れることが多いです。
しかし、第二新卒者は既に一度企業での経験を持っているため、新しい職場を前職と比較することがしばしばあります。
この比較は、職場の雰囲気、管理体制、仕事の進め方、福利厚生など、さまざまな面で行われる可能性があり、特に、前職での良い経験や環境に慣れている場合、新たな職場の異なるアプローチに対して不満を持つことも。
「以前の職場の方が良かった」という感覚は、第二新卒者が新しい環境に満足感を持つまでの適応期間を延長させる要因となり得ます。
企業目線で見る中途卒採用をする理由とメリット、デメリット
第二新卒を採用する際にメリット・デメリットがあるように、中途採用の場合も同様にメリット、デメリットがあります。
メリットを活かして、デメリットを小さくするために、
「第二新卒としての採用なのか」
「中途採用としての枠を狙っていくのか」
自己分析しておけるといいでしょう。
企業目線で見る中途採用をする理由とメリット
中途採用のメリットを企業目線で見ていきましょう。
欠員・増員のため
企業では、退職者の発生やビジネスの拡大に伴い、迅速に新しい人材を補充する必要が生じることがあります。
中途採用は、こうした状況に対応するための効果的な手段です。
欠員や増員のための採用は、第二新卒であっても行われます。
自社で不足しているスキルをもった人材が採用できる
中途採用が企業にとって魅力的な選択肢となる最大の理由は、特定のスキルセットや専門知識を持った人材を確保できることです。
新規事業の立ち上げや特定分野における専門性の強化など、自社内で不足している能力を持つ人材の必要性が生じた際、中途採用はこれらのギャップを効果的に埋める手段となります。
特にベンチャー企業や急成長中の組織では、既存のチーム内で欠けている経験やスキルを持つ人材が不可欠です。
技術革新や市場動向の変化に迅速に対応するためには、特定の専門知識を持つ人材が必要になることが多く、自社内で対応が難しい業務改善や高度な技術開発に必要な知識と経験を有する中途採用者は、市場での競争優位を強化してくれることが期待されています。
人材育成にかける時間や費用が抑えられる
人材育成にかかる時間や費用を削減できることもメリットです。
中途採用で迎え入れる人材は、一般的に特定の職種や業界における実務経験と必要なスキルをすでに備えています。
このため、新卒や第二新卒の採用に比べて、長期にわたる研修や育成プログラムを実施する必要がありません。
採用時期の調整が可能
第二新卒のメリットにもあった採用時期の調整。
企業が直面する人材ニーズは予測不可能な場合が多く、欠員の発生や新規事業の立ち上げなど、さまざまな状況で迅速な人材補充が求められます。
中途採用も、これらの急な需要に対応するために、採用プロセスのタイミングを効果的に調整できる柔軟性があります。
社内に他社のノウハウ・スキルを蓄積できる可能性
中途で採用されたスキルのある社員は、スキルはもちろん、他社の文化や成功体験を提供してくれるケースも考えられます。
特に、異なる業界や分野からの中途採用者は、その独自の経験により新たな問題解決の方法を提案できることがあり、新しいアイデアや手法は、組織全体の知識の深度を増し、競争力の向上につながるかもしれません。
企業目線で見る中途採用をするデメリット
中途採用のデメリットについても見ていきましょう。
スキルがあるので転職が容易
中途採用で入社する人材は、通常、高い技術力や豊富な経験を有しており、そのため市場価値が高いとされます。
これらの人材は、自身のスキルと経験を活かして容易に別の職場に移ることができるため、採用企業側にとっては再離職のリスクが常に存在します。
優秀なスキルを持つ人材は、転職市場においても高い需要があるため、彼らが転職への抵抗を感じにくい環境にあることが一因です。
また、キャリアの進展を考えた際に、新たなチャレンジやより良い条件を求めて転職を考えることも少なくありません。
こうした状況を考慮すると、企業は中途採用した人材のキャリアパスや待遇に特に注意を払い、彼らが企業に留まるための魅力的な環境を提供する必要があります。
自社の文化になじめない可能性
新たに加わった人材が自社の文化に馴染めない可能性があることもデメリット。
中途採用者は、異なる企業文化やワークスタイルから来ることが多く、自身のやり方や価値観を持っています。
これが既存のチームや組織文化と温度差を生じさせる原因となることがあります。
特に、中途採用者が積極的に業務に取り組む姿勢を見せる場合、その行動が既存のチームメンバーにとって新しく、時には受け入れがたいものとなることもあります。
このような状況は、職場内での摩擦や孤立を生じさせるリスクがあり、結果としてチームの士気や生産性に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
このように、中途採用者が自社の文化やチームに溶け込むまでには、両者の努力と時間が必要で、メンタルケアや適切な人材育成計画の実施を考慮することが重要です。
第二新卒で転職活動をした方がいいケース
第二新卒者は基本的なビジネスマナーを身につけているものの、特定の専門分野で高度なスキルを有しているわけではない場合が多いです。
しかし、この未熟さは逆に柔軟性が高く、新しいことにチャレンジしやすいという強みに変わります。
特に、転職を通じてまったく新しい業種や職種に挑戦したいと考える人にとって、第二新卒の転職は理想的なタイミングと言えるでしょう。
企業が新規プロジェクトの立ち上げなどで将来にかけてプロジェクトを任せたい人材を募集している場合、第二新卒というブランドを使えば、中途採用者、新卒採用者よりも注目されるケースもあります。
中途採用で転職活動をした方がいいケース
中途採用において転職が有利となるケースは、特に社会人経験が3年以上の人でしょう。
3年以上の社会人経験を積んでいる場合、個人はある程度の専門知識やスキルを獲得し、実務での実績を積んでいることが一般的です。
こうした経験を持つ人材は、中途採用を行う企業から見て、即戦力としての期待値が高く、転職市場での優位性が高まります。
特に、同じ業界内での転職は、既存の知識と経験が直接的に活かされるため、非常に有利です。
前職での経験を新しい職場で生かすことができるため、スムーズに業務に取り組むことが可能で、キャリアアップにもつながりやすいです。
また、実績を持つ中途採用者は、新しいチャレンジやより高いレベルの責任ある仕事に就く機会が多くなる傾向にあります。
キャリアの成長や個人の職業的満足に直結する重要なポイントです。
第二新卒、中途採用転職を成功させるために気を付けたいこと
第二新卒、中途採用での転職活動をするにあたって、共通して注意したいポイントをまとめました。
転職のタイミング
一般的に、求人が増える時期は「3~4月」と「9~10月」とされていますが、中途採用市場においては、これらの時期に限定されず、年間を通して機会が生じる可能性があります。
企業が人材不足や特定のスキルセットを必要とする場合、それに合わせて求人が発生するため、市場の動向を常に注視しておくことが重要です。
転職を考えている場合、「応募したい求人が出たらすぐに対応できるように準備しておく」というスタンスが望ましいです。
自己分析を完了させ、履歴書や職務経歴書を常に最新の状態に保っておきましょう。
自己分析
中途採用や第二新卒での転職を成功させるためには、効果的な自己分析が不可欠です。
特に転職者の場合、自己分析では過去の就業経験から得たスキル、得意分野、業務上の達成や挑戦などを振り返ることが重要です。
過去の経験を通じて、自分が何を重視し、どのような環境で最も効果的に働けるのかを考えることで、将来の職選びの軸を作っておきましょう。
また、自己分析を行うことで、求める職種や業界が初めの考えと異なることに気づくかもしれません。
「自分には合っていないかもしれない」と感じた場合、それは新しい道を探る良い機会となり得ます。
自分に本当に合った職を見つけるためには、ちょっとした違和感を大切にし、柔軟に考えを調整することが必要です。
スキルの棚卸とアピール
第二新卒、中途採用の場面では、応募者が即戦力として働けるか、または短期間で貢献できるかが重視される傾向にあります。
したがって、自身のスキルやこれまでの経験を的確に評価し、それをうまくアピールすることが求められます。
スキルの棚卸をし、過去の職務で培った専門知識や技能、業務遂行能力、プロジェクト管理能力などを総合的に振り返りましょう。
自身の強みや独自の経験を明確にし、それが応募する職種や業界にどのように貢献できるかを考えたら、それをアピールすることに注力することが大切です。
転職エージェントを活用すれば、エージェントに事前にスキルを伝えることができるため、採用面接時に自分でゼロからアピールする必要がなくなり、面接時のやりとりもスムーズになることがほとんど。
「自分の強み」を自分で認識し、客観的な根拠の下で伝えることが重要です。
まとめ:結局、第二新卒と中途採用ではどっちが有利?
結局のところ、中途採用と第二新卒転職のどちらが有利かは、個人のキャリア目標、業界の特性、そして個人の経験やスキルに大きく依存します。
第二新卒は学びの機会が多く、中途採用は経験を活かして早期に成果を出すことが期待される傾向にあるため、自分の状況を慎重に評価し、最適な選択をすることが重要です。
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