転職面接で採用担当者にするべき逆質問の数と質のバランスについて解説します。
逆質問は自身の興味と会社への理解を示す絶好のチャンス。
面接で好印象を残すための逆質問例を紹介し、どのようにそれを効果的に用いるかについても詳しく説明します。
逆質問についての理解を深めておくことで面接官に自分が真剣にその職を希望していることをアピールし、さらには会社の文化やポジションの詳細を深く理解する手助けとなるでしょう。
転職活動をしている方は参考にしてください。
面接最後の逆質問
面接の最後は逆質問で締めくくられることが多いですが、面接官から「いくつまで」と数を指定されることはほとんどありません。
では、逆質問はいくつぐらい用意すればいいのでしょうか。
逆質問とは?
面接の終盤に応募者が面接官に向けて行う逆質問は、自分がその職場に適しているかどうかを探ると同時に、面接官に自身の関心やモチベーションを示す大切な機会。
逆質問はただのフォーマリティではなく、会社の文化や職務内容の詳細を深堀し、そこで働くイメージを具体化する手段として利用されます。
また、この段階で的確な質問を行うことで、応募者が積極的に職場環境を理解しようとする姿勢が伝わり、採用担当者にポジティブな印象を与えることが可能です。
逆質問を有効に使うことで、自身がその企業で成功するための重要なスキルや環境について確認することができます。
逆質問は何個あればいいの?
面接の形態によって、適切な逆質問の数は異なります。一般的に、個人面接では2~3個の逆質問が推奨されます。
これにより、自分の関心を示すとともに、情報を深く掘り下げる機会を得られます。
一方、最終面接では、より多くの詳細や具体的な業務内容、職場の雰囲気を理解するために3~5個の逆質問が望ましいとされます。
集団面接の場面では、他の応募者とのバランスを考えて1個の逆質問が適切でしょう。
逆質問の数を適切に設定することで、面接官に自身の興味と積極性を適切に伝えることができます。
転職面接の段階・形式に応じた逆質問の数・内容については次項で解説しています。
面接の段階・形式に応じて逆質問の数や内容は変えよう
面接の段階や形式に応じて逆質問の数や内容はどのように変えればいいのでしょか。
ここでは、面接の段階と形式に応じた適切な逆質問の数と内容例についてまとめました。
集団面接の場合
集団面接は新卒採用時のみ行われる面接形式かと思われがちですが、中途採用でも実施される場合があります。
集団面接における逆質問の数、内容、逆質問の具体例を見ていきましょう。
逆質問の数
集団面接において、逆質問の数は1つがいいでしょう。
複数の応募者が同時に評価されるため、個々に割り当てられる時間は限定的です。
選ぶ質問は、企業文化やチームの働き方に関する内容が効果的で、他の応募者との差別化につながり、面接官に自身の深い関心と理解を示す機会になります。
逆質問を1つに限定することで、他の応募者への配慮と時間の効率的な利用が可能となり、社会人として適切な姿勢をアピールすることができます。
逆質問の内容
集団面接における逆質問を選ぶ際には、その質問が企業の価値観、成長計画、または職場の文化にどう関連しているかを考えることが重要です。
また、面接官への質問は、応募者自身がその会社で働くイメージを具体的にし、実際に職場での日常がどのようなものかを理解する助けとなるべきです。
集団面接では、他の応募者を尊重しつつ、自分を際立たせる質問をすることで、面接官に強い印象を与えることが可能です。
逆質問の具体例
集団面接で効果的に使える逆質問を10個、こちらにリストアップしました。
これらの質問は面接官に自身の積極性と会社への関心を示すのに役立ちます。
逆質問内容のストックとして知っておけるといいでしょう。
- ①企業の成長戦略について
御社が直面している最大の挑戦は何ですか?
- ②職場文化に関する質問
社員が協力的な職場環境を感じるために、御社がどのような取り組みをしているか教えてください。
- ③技術・イノベーションについて
御社は新技術やイノベーションをどのように取り入れていますか?
- ④企業の社会的責任(CSR)について
企業が社会的責任を果たすために行っている主な活動は何ですか?
- ⑤企業の未来像について
次の5年間で御社が達成すると決まっている主な目標は何ですか?
- ⑥チーム構造について
参加する予定のチームはどのように構成されますか?
- ⑦競合他社との差別化
この業界の中で、御社が競合他社と差をつけるポイントは何ですか?
- ⑧最近の重大プロジェクト
最近取り組んだ大きなプロジェクトについて詳しく教えてもらえますか?
- ⑨市場展開戦略
現在、御社が力を入れている市場や製品について、どのような戦略を展開していますか?
- ⑩社会貢献活動
御社が取り組んでいる社会貢献活動はありますか?
一次面接~二次面接の場合
1対1の面接であれば、集団面接のときよりも応募者個人に対して時間を長めにとってくれるケースがほとんどですので、逆質問できる数や内容にも深みのあるものを質問できるでしょう。
企業のホームページを調べて分かることなどを逆質問することは避け、その企業の中にいる人しか知らない情報が聞けるような内容にするといいでしょう。
逆質問の数
一次面接や二次面接では、通常、2~3個の逆質問が適切とされます。
この段階の面接では、応募者が会社に対して持つ興味と熱意を示す貴重な機会。
逆質問を2~3個準備することにより、応募者は自身の積極性とコミュニケーション能力をアピールすることができるでしょう。
それ以上に多くの質問をすると、面接の流れを乱す可能性があり、かえってマイナスの印象を与えることも考えられます。
適切な数の逆質問を用意することで、面接官に対して自分がどれだけそのポジションに真剣に取り組もうとしているかを効果的に示すことができます。
このバランスの取り方が、面接の成功につながります。
逆質問の内容
一次面接と二次面接は、応募者が自己紹介と資格を示す初期の評価段階。
ここでの逆質問は、企業の目標、チーム構成、または業界の動向など、会社全体のビジョンや成長計画、自身のキャリアとの整合性を確かめる質問が好ましいです。
応募者はこれらの情報を通じて、自身がその企業や業界でどのように貢献し、成長できるかを探ることができ、入社後のミスマッチ防止にもつながるでしょう。
また、逆質問を通じて会社の文化や倫理観についての理解を深めることも重要。
この段階で適切な逆質問を選ぶことで、応募者は積極的な姿勢を示すとともに、面接官からの詳細なフィードバックを引き出すことが可能になります。
逆質問の具体例
一次面接や二次面接時に適切な逆質問の内容を考える際、応募者が自分のキャリア目標や職場での期待と企業のビジョンがどのように合致するかを探るための質問が望ましいです。以下は、面接のこの段階で考えることができる逆質問の例です。
- ①このポジションの日常的な業務はどのようなものですか?
②成功するためにこのポジションで最も重要なスキルは何だと考えますか?
③この部門の現在のチーム構成はどのようになっていますか?
④部門内で直面している主な課題は何ですか?
⑤この役割における短期的および長期的な目標は何ですか?
⑥会社の将来の成長計画について教えてください。
⑦社内でキャリアアップするためのプロセスはどのようになっていますか?
⑧この企業の文化をどのように表現しますか?
⑨従業員のパフォーマンスを評価するプロセスはどのようになっていますか?
⑩この職種における技術的な進展や業界動向に適応するための研修はありますか?
最終面接の場合
最終面接は役員や社長など企業の重役との面接になることがほとんどです。
相手の立場を考えた逆質問をすることで貴重な情報を得ることができます。
逆質問の数
最終面接は通常、会社の上層部やキーパーソンとの面談が行われるため、この段階での逆質問は非常に重要です。
面接官は応募者の会社への適合性だけでなく、長期的な貢献とビジョンにも注目しています。
この面接段階では、3から5個の逆質問を準備することが推奨されます。
質問の数がこの範囲内であれば、十分に自分の考えや計画を伝えることができる一方で、面接の流れを尊重し、時間を有効に活用する印象を与えることができるでしょう。
このステージでの逆質問は、応募者が企業内でどのように成長し、貢献するかの具体的なイメージを面接官に示す絶好の機会です。
そのため、質問の内容を慎重に選び、企業の長期的な目標や戦略にどう結びつくかを見据えることが求められます。
逆質問の内容
最終面接での逆質問は、応募者が将来的に企業にどのように貢献できるかを示すと同時に、企業の長期的なビジョンや戦略に対する深い理解を反映させるべきです。
逆質問を用いて、企業の未来の方向性、リーダーシップチームの期待、そしてその業界における持続可能な成長に向けた計画など、より高度な話題に触れることが推奨されます。また、企業文化や倫理観、社員の成長支援策など、職場環境の質について深掘りする内容も効果的。
このような逆質問を準備することで、応募者は自身のキャリア目標と企業の目標がどのように一致しているかを明確に示すことができ、最終的な評価においてポジティブな影響を与える可能性が高まります。
最終面接は、お互いの期待と目標を調整し、長期的なパートナーシップを築く基盤を固める場であることを意識して逆質問の内容を考えましょう。
逆質問の具体例
最終面接での逆質問は、応募者が企業のビジョン、文化、成長計画に対する深い理解と関心を示す機会です。
以下は、この段階で効果的に使用できる逆質問の具体例です。
- ①最近のプレスリリースで新しいプロジェクトの立ち上げを拝見しました。
このプロジェクトが会社の長期戦略にどのように貢献するかを教えていただけますか?
②入社後、私がチームやプロジェクトにどのように影響を与えることが期待されているか、具体的な例を教えていただけますか?
③会社の国際展開について、今後の主なターゲット市場とその市場での成長戦略についてお聞かせください。
④先ほどの話によると、企業文化の強化が進行中とのことでした。具体的にどのような取り組みが行われていますか?
⑤技術革新が業界に与える影響について、会社としてどのような対策を考えていらっしゃいますか?
⑥御社の持続可能性への取り組みに大変興味があります。具体的な事例を教えていただけないでしょうか?
⑦次の5年間で会社が達成したい主な目標について教えてください。
⑧御社のリーダーシップ開発プログラムについて詳しく教えていただけますか?具体的な成長の機会が知りたいです。
⑨この業界での競争が激しくなる中で、御社が差別化を図るための戦略についてお聞かせいただけますか?
⑩御社が社員の働きがいやワークライフバランスを支援するためにどのような施策を行っているか、具体的な例を教えてください。
企業が面接の最後に逆質問の時間をとる理由
面接は逆質問で締めくくられることが多いですが、企業が最後に逆質問の時間を設けるのはどうしてでしょうか。
逆質問の時間をとる理由をまとめました。
応募者の熱量を知りたいから
逆質問は、応募者がその企業や職位にどれだけ熱心で情熱を持っているかを判断するための重要なツール。
企業は応募者が事前に自社のサービスや製品、会社のミッションについて調査しているかどうかを見極めたいと考えています。
逆質問を通じて、応募者が示す関心の度合いは、その人が職務に真剣に取り組む意欲があるかどうかを示すバロメーターに。
的を射た質問は、応募者が職位の要件や企業の文化を理解し、そこにどのように貢献できるかを既に考えていることを示せるでしょう。
これに対し、質問がない場合や浅はかな質問をする応募者は、職務への真剣な関心が低いと捉えられがちです。
したがって、逆質問の段階は、応募者が自己の熱意と専門性をアピールし、同時に企業側が応募者の興味の深さを測る貴重な機会となるのです。
コミュニケーション能力を知りたいから
面接官は、応募者がチーム内でどのように対話し、情報を共有し、議論に参加するかを評価したいと考えています。
逆質問を通じて、応募者はただの回答者から積極的な参加者へと役割を変え、自らの思考プロセス、問題解決能力、そしてチーム内でのコミュニケーションスタイルを見ることができます。
良質な逆質問は、その人がどれだけ効果的に自分の考えを表現し、建設的な対話を行うことができるかを示すため、採用担当者にとって非常に価値のある情報源です。
このプロセスは、応募者が日常業務中に遭遇するであろう状況や課題にどう対応するか、またチームメンバーや上司とどのように協力していくかの手がかりにもなるでしょう。
そのため、逆質問は、採用担当者が応募者のコミュニケーション能力を直接的に評価する重要な機会でもあります。
自社の社風とマッチするかを見たいから
企業は逆質問を通じて、応募者の性格やモチベーションが自社の文化や倫理観にどれほど合致しているかを判断します。
逆質問により、応募者がどのような職場環境を求め、どのようなキャリア目標を持っているかが明確になることも。
例えば、チームワークや企業文化への質問は、応募者が協調性を重視しているか、または自律的な環境を好むかなど、逆質問の内容によって応募者が重視していそうな項目が絞られてくるのです。
企業にとっては、この情報がチームへのフィット感を測る上で重要な要素となります。
応募者に自社の魅力をアピールするため
企業は応募者の持つ疑問や不安を解消し、会社に対する印象を良くするために、積極的に情報提供を行います。
逆質問の段階では、面接官が企業の成長戦略、文化、キャリアアップの機会など、応募者が興味を持ちそうなトピックについて詳しく説明することで、自社の働く環境と機会の魅力を強調することもあるでしょう。
応募者は自社が提供する価値と彼らが果たすことができる役割について具体的なイメージを持つことができるようになり、逆質問への回答を通じて応募者が自社への関心を深め、入社後の満足度を予め高めるためにも効果的。
企業は、応募者が持つ期待に応え、それを超える情報を提供することで、最終的な職場選択において自社を選んでくれる可能性を高めるのです。
情報収集能力を知るため
逆質問によって応募者がどれだけ事前に会社について調べてきたか、そしてその情報をどのように活用しているかを評価することがあります。
企業は応募者が単に情報を収集するだけでなく、その情報をどう理解し、どのように質問に結びつけるかを見ています。
例えば、応募者が会社の特定のプロジェクトや達成について深く質問することは、その人がリサーチをしっかりと行い、具体的な興味を持っていることを示します。
また、企業の文化や倫理に関連する質的な質問は、応募者がその企業の核となる価値を理解しようとしていることを示し、単なる表面的な知識以上のものを求めていることを強調できるでしょう。
逆質問の内容とその深さは、応募者が事前にどれだけ時間をかけて企業の情報を収集し、分析してきたかのバロメーター。
企業にとって、この能力は特に重要で、応募者が今後新しい環境や課題に対してどれだけ効率的に適応し情報を活用できるかを示す指標です。
面接で分からなかった魅力を引き出したいから
通常の面接過程では、応募者の履歴書や職務経歴に基づいた質問が中心となりますが、これだけでは応募者の多面的な魅力や潜在能力を完全には把握できません。
逆質問を通じて、応募者がどのように情報を求め、興味を持っているのかを見ることで、彼らの思考プロセスや価値観、さらには仕事に対する熱意や好奇心をより深く理解することが可能になります。
逆質問の時間は、応募者が自分自身をさらにアピールする機会としても機能します。
企業の未来のビジョンに対する質問や、チームの協力体制に関する探求は、応募者がその企業で長期的に働く意向があることを示す手がかりになります。
面接官は応募者がただの業務遂行者ではなく、企業文化に積極的に貢献しようとする熱心な応募者であるかどうかを評価するでしょう。
企業にとって、この逆質問のセッションは、応募者がどれだけ自社にフィットするか、また、どれだけ彼らが自社の一部になることに情熱を持っているかを見極めるための貴重な時間。
この対話を通じて、企業は応募者が持つ隠れた魅力や能力を引き出すことができるのです。
逆質問で避けたい質問・対応と悪い質問例
逆質問を求められたときには、何でも疑問に思ったことを自由に質問すればいいということではありません。
逆質問として相応しくない質問は控えるべきでしょう。
逆質問で避けたい質問や対応についてまとめました。
「特にありません」と回答する
逆質問を求められたときに「とくにありません」と回答することは、応募者がその職位や企業に対して十分な興味や情熱を持っていないと捉えられがちで、面接官に悪い印象を与える可能性があります。
逆質問の時間は、自分自身がその企業で働くことにどれだけ熱心であるかを示すチャンス。
会社の文化や将来のビジョンについて深く理解しようとする姿勢も見せることができるので、有意義な質問をするようにしましょう。
企業の福利厚生や給与・待遇面の質問
面接で逆質問する際、企業の福利厚生や給与・待遇について質問することは慎重になるべきです。
このような質問が早すぎる段階で出されると、応募者が仕事内容や企業のビジョンよりも金銭的な利益を優先していると見なされることがあります。
企業に対してマイナス印象を与える可能性があり、職場への適合性やモチベーションに疑問を投げかけることになるかもしれません。
給与や福利厚生は間違いなく重要な要素ですが、初期の面接段階では企業文化、成長機会、職務の具体的な内容など、より仕事に直接関連するテーマにフォーカスする方が建設的。給与やその他の待遇条件については、プロセスが進んでから、例えば内定を受けた後やHRとの具体的な契約条件を議論する際に確認することが適切です。
また、事前に情報を得たい場合は、転職エージェントを通じて非公式なチャネルから探ることが推奨されます。
※HRは「Human Resources」の略で、日本語では「人事」と訳されます。
説明を受けている内容への質問
面接官がすでに説明した内容をそのまま質問することは、聞いていないかのような印象を与え、注意力や集中力を疑われる原因になり得ます。
これは面接でのマイナスポイントとなるため、避けるべきでしょう。
しかし、面接で触れられた内容に基づいて、さらに深い情報を求める質問は非常に有効です。
例えば、プロジェクトの詳細、チーム構成、期待される成果など、具体的な業務内容や責任範囲についてさらに詳しく尋ねることで、あなたの真剣さや仕事に対する熱意を示すことができます。
「先ほど、プロジェクトについて○○という内容がありましたが、これはどういうことですか?」など、深堀する質問は効果的です。
情報を活用して前向きに考え、質問を通じてより良い理解を求めていることを示し、面接官に好印象を与えます。
既に提供された情報をベースに、それを拡張または深堀する形で質問を行うのであれば、面接内で触れられた話題について質問することも問題ありません。
自分で調べれば分かる質問
応募者が事前の準備を怠っているか、あるいは基本的な情報収集能力に欠けていると受け取られかねません。
企業の創業年、主な事業内容、基本的な製品やサービスに関する質問は、公式のウェブサイトや業界報告書、ニュースリリースで簡単に確認できる情報です。
これらは面接前に自身でリサーチしておくべき項目と言えるでしょう。
逆質問を行う際は、公開されている情報を基にしてさらに具体的な詳細を尋ねることが重要。
「募集要項で求められているスキルについては理解していますが、実際のプロジェクトでこれらのスキルがどのように活かされるのか、具体的な例を教えていただけますか?」といった質問は、あなたが既存情報を理解し、さらに深い洞察を求めていることを示します。
このようにして、基本情報を越えた内容で質問することは、真剣な関心と仕事に対する熱意をアピールする良い方法でしょう。
相手が答えられない質問
面接官が応えられない質問をすると、応募者が相手の立場や専門知識を理解していないと捉えられがちで、面接全体の流れにも影響を与える可能性があります。
社長や役員が面接官の場合、彼らは会社の戦略的な方向性に詳しいものの、日々の業務の具体的な詳細や現場の雰囲気を把握していないことがあります。
同様に、人事担当者は採用関連の質問には答えられますが、技術的な詳細や特定プロジェクトの進行状況については知らないことも多いです。
逆質問をする際は、面接官の背景や役割を考慮して質問を選ぶことが大切です。
経営層には企業の成長計画や市場戦略に関する質問を、人事担当者には職場環境や社員のキャリアパスに関する質問をすると良いでしょう。
Yes , Noで答えられる質問
Yes , Noで答えられる質問(クローズドクエスチョン)は、面接官との会話を発展させる機会を大幅に制限し、応募者の興味が浅いと誤解されるリスクを高めます。
例えば、「この業務に携わることは可能ですか?」や「部署異動はできますか?」といった質問では、単純な「はい」または「いいえ」で回答される可能性が高く、それ以上の情報を引き出すことが難しくなります。
逆質問の際には、より開かれた質問をすることが推奨されます。
これにより、面接官はより詳細な情報を提供しやすくなり、会話が自然に深まります。
「このポジションで期待されるキャリアパスについて教えていただけますか?」や「部署間でのキャリアの移動にはどのような機会がありますか?」といった質問は、面接官に具体的な情報や例を提供するよう促すため、より有意義な対話につながるでしょう。
転職した後のキャリアパスと企業が求める人材が一致しているかの確認にもなります。
同業他社を話題にした質問
面接での逆質問において、同業他社を話題にすることは避けた方が賢明です。同業他社の名前を挙げたり、それらの製品やサービスについて具体的に言及したりすることは、しばしば不適切と見なされがち。
このような質問は、場合によっては面接官に対して競争相手と比較しているという印象を与えかねませんし、場合によっては応募先企業の弱点を指摘しているように受け取られることもあるでしょう。
面接は、応募者と企業が相互にフィットするかを確認する場ですから、企業のポジティブな側面や、その企業がどのように業界内で独自の地位を築いているかに焦点を当てた質問が好まれます。
面接中はメモを取るなら許可を求めてから
面接中にメモを取る際は、必ず事前に許可を求めましょう。
面接はコミュニケーションの場であり、応募者がメモに集中しすぎることで対話が途切れてしまう可能性があります。
このため、面接官との自然な流れを維持しつつ、重要な情報を記録したい場合には、「重要な詳細を正確に把握したいので、メモを取ってもよろしいでしょうか?」と一言添えることが礼儀とされます。
また、メモを取ることが許可された場合でも、面接官が話している間は目を合わせ、適切なタイミングで必要最小限のメモを取るよう心掛けましょう。
これにより、面接官に対する敬意を示すとともに、自分が情報を大事にしているという印象を与えることができます。
重要なのは、面接官とのコミュニケーションを優先し、メモはサポートツールとして使用することです。
転職面接で好印象をもらえる逆質問についての考え方3選
ここまで、いくつかの逆質問の例も紹介しましたが、転職面接で逆質問をする際には、大事な考え方があります。
逆質問についての大切な考え方を3つ紹介します。
①「自分が入社した」を前提にする
「私がチームに加わった場合、最初のプロジェクトでどのような責任を担うことになりますか?」や「入社後に期待される成果について具体的な例を教えてください」といった質問は、面接官にあなたが既にその会社の一員としての未来を具体的に考えていることを示し、職場での具体的な貢献について話し合う良い機会を作ります。
このような質問は、面接官にあなたの積極性と職務への深い関心をアピールすることができます。
また、自分がその役割でどのように影響を与えるか、またその職で何を達成したいかを具体的に示すことで、面接官はあなたのポテンシャルをより明確に評価することができるでしょう。
②業界・企業のことをよく知っていると思われる内容にする
「御社が最近発表したXX製品について、市場への影響をどのように評価していますか?」や「業界内で増加しているYYのトレンドが御社の戦略にどのように影響を与えると見ていますか?」といった質問は、あなたがその業界や企業について深く調査し、真剣に関心を持っているという印象を面接官にもってもらえるでしょう。
この種の質問は、単に情報を知っているだけでなく、それを業務にどのように応用できるかを考えていることを示します。
③「自分であればどうするのか」というかという答えを用意する
転職面接での逆質問において、「自分であればどうするか」という答えを用意しておくことは、非常に印象的なアプローチです。
この質問スタイルは、面接官にあなたが自発的に問題解決を考え、実行可能なアイディアを持っていることを示すことにつながります。
「この業界の現在の課題に対して、御社ではどのような対策を講じていますか?私ならば、XXの方法を提案し、YYの結果を目指しますが、御社のアプローチはどのようなものでしょうか?」といった質問です。
ただ情報を収集するだけでなく、実際にその場で自分の考えを共有し、企業の現状や課題に対してどのように貢献できるかを具体的に示すことができます。
積極性、創造性、そして問題解決能力をアピールすることができるでしょう。
場面別、よい逆質問の例
どのような自分をアピールしたいのかによって逆質問の内容は変わります。
場面や状況別によい逆質問の例をまとめましたので参考にしてください。
モチベーションの高さを伝えたいとき
面接官に対して職務への熱意と企業での成長意欲を明確に示すのに役立つ逆質問を紹介します。
- ①「私が希望している職種の一日の業務の流れを教えていただけますか?これにより、私がどのようにチームに貢献できるかをより深く理解したいと思います。」
②「将来的には〇〇のポジションを目指しています。評価や昇進の制度基準について詳しく教えていただけますか?」
③「御社で活躍されている方たちの共通点や特徴は何ですか?私も同じように貢献できるようになりたいと考えています。」
④「私と同年代で入社し、リーダーやマネージャーなどの役職につかれている方はいますか?その方々が成功するためにどのようなステップを踏まれたかを知りたいです。」
⑤「入社までに特に準備しておくべきことや、事前に学んでおくと役立つことはありますか?すぐにでも貢献できるよう努力したいと思っています。」
⑥「私のスキルや経歴をご覧になって、この職種で成功するために不足していると感じる点はありますか?それを改善するためにどのようなアクションを取ればよいですか?」
⑦「現在、注力されているチーム(部署)で直面している主な課題は何ですか?それにどのように対処していますか?」
⑧「マネージャーとして昇進するためにはどのような能力が求められますか?その能力を磨くために私ができることは何ですか?」
⑨「実務に入るまでのステップと期間について教えていただけますか?一日も早くチームに貢献できるよう準備を進めたいです。」
自分の強みをアピールしたいとき
自身の特定のスキルや経験を前面に出し、それが対象企業でどのように活かせるかを探るための逆質問を紹介します。
- ①「私は自分の意見をはっきりと述べる性格ですが、この職場は意見を表明しやすい環境ですか?フィードバックや意見交換が奨励されていますか?」
②「異部署との積極的な交流を通じて貢献度を高めたいと考えています。御社では部門間でどのような交流の機会が提供されていますか?」
③「現職ではチームのモチベーション向上のために特定の取り組みを実施してきました。御社の管理職の方々はチームのモチベーションをどのように維持または向上させていますか?」
④「〇〇の資格を持っていますが、この資格が御社のどのような業務で役立つと考えますか?」
⑤「私は〇〇のスキルを持っており、特に御社の〇〇職で活かすことを望んでいます。この職種で求められる主な能力にはどのようなものがありますか?」
⑥「SNSを使った新しいサービスの成長をリードしてきた経験があります。この経験を御社のどのプロジェクトや部門で活かせると思いますか?」
企業との相性を確認したいとき
企業の文化や値観が自身の期待や価値観と合致しているかを探るのに適している逆質問を紹介します。
- ①「御社の企業文化にはどのような特徴がありますか?日常の業務でそれがどのように表れるのを見ることができますか?」
②「新入社員が御社で成功するために最も重要だと考える価値観やスキルは何ですか?」
③「御社では従業員のワークライフバランスをどのように支援していますか?」
④「御社が直面している最大の挑戦は何ですか、そしてそれに対して従業員はどのように貢献していますか?」
⑤「御社でのキャリア成長と発展のための支援はどのような形で提供されていますか?」
⑥「御社の従業員が感じる仕事の最も充実している側面は何ですか?」
⑦「御社ではチームワークを促進するためにどのようなイニシアティブやプログラムがありますか?」
⑧「御社が社会貢献や持続可能性に対して取り組んでいる活動について教えてください。」
事業内容・業務内容を確認したいとき
企業の具体的な事業運営や職務内容に対する深い理解を示すのに役立つ逆質問を紹介します。
- ①「現在御社が注力しているプロジェクトについて詳しく教えていただけますか?」
②「この職位で扱う主な業務内容と、日々の業務の流れを具体的に教えていただけますか?」
③「御社の主な収益源は何であり、今後新たに開拓しようとしている市場はありますか?」
④「今担当していただく業務で直面する可能性が高い課題は何ですか?」
⑤「この職位で成功するために必要とされる技術やスキルは具体的にどのようなものですか?」
⑥「御社の製品やサービスが市場で他社とどのように差別化されているか、詳しく教えてください。」
⑦「新しいプロジェクトや製品開発のアイディアはどのようにして生まれ、実行に移されますか?」
⑧「御社の成長戦略において、今後数年間で最も力を入れるべき点はどこだと考えていますか?」
キャリアパスについて確認したいとき
自分の将来のキャリア展望と企業での成長機会を理解するのに役立つ逆質問を紹介します。
- ①「この職位から将来的に進むことができるキャリアパスにはどのようなものがありますか?」
②「御社でキャリア成長を促すために提供されているトレーニングプログラムやスキルアップの機会について教えてください。」
③「過去にこのポジションにいた人はどのようなキャリアステップを経て、現在どのような役割を担っていますか?」
④「御社における昇進のプロセスはどのように機能していますか?特定の基準や評価方法がありますか?」
⑤「御社のリーダーシップ開発プログラムについて詳しく教えていただけますか?参加資格やプログラムの内容について知りたいです。」
⑥「この業界内でキャリアを進める上で、御社が特に重視するスキルや資質は何ですか?」
⑦「中長期的なキャリアビジョンを実現するために、御社ではどのような支援が提供されていますか?」
⑧「御社でキャリアアップを図る際に、特に意識すべき業績指標や目標はありますか?」
逆質問の終わらせ方
逆質問が終わると、面接官から「他にも質問がありますか?」と言われることが多いでしょう。
どのタイミングで、どのように逆質問を終わらせればいいのでしょうか。
逆質問をする前に、いくつ質問するのかを伝えておく
面接での逆質問セクションをスムーズに進行させるためには、事前に質問の件数を明確に伝えることが効果的です。例えば、「3つ質問させていただきたいのですが」と初めに伝えることで、面接官に対して自分の準備の整った状態をアピールし、面接の流れをスムーズに保つことができます。
また、逆質問の途中で新たな疑問が浮かんだ場合には、「これに関連してもう一つ質問してもよろしいですか?」と追加の質問をすることで、より深い理解を求めることができます。
面接者が情報を十分に収集し、具体的な質問を用意して臨んでいることを示し、よい印象を与えることにもつながるでしょう。
最後に御礼を伝えて終わらせる
これ以上の逆質問がない場合には、御礼と感謝の言葉を添えて終わりましょう。
無理に追加で逆質問を作ろうとする必要はありません。
「今日は貴重な時間をいただき、私の質問に丁寧にお答えいただきありがとうございました。今日の会話から多くを学び、さらに御社で働くことへの興味が深まりました」と締めくくることができます。
このように感謝の意を示すことは、ただ礼儀を尽くすだけでなく、面接官に対してあなたがその会話を価値あるものと捉えていることを伝える手段にもなるでしょう。
まとめ:用意した逆質問を全部しなくても大丈夫
面接で用意した逆質問をすべて行う必要はありません。
重要なのは、面接中の流れに自然に合わせ、質問の内容が面接官との対話を豊かにし、相互理解を深めること。
質問は面接の進行状況や面接官の反応を見ながら柔軟に調整し、必要以上に多くの質問で時間をとらないようにすることが大切です。
また、面接の終わりには、面接官に感謝の意を表して逆質問を締めくくることで、礼儀正しくかつプロフェッショナルな印象を残すことができます。
逆質問の目的は、自己の疑問を解消することに加えて、会社への関心と熱意を示すことにありますので、賢く逆質問を利用しましょう。
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