転職活動の履歴書に嘘をつくとどうなるの?履歴書の嘘がばれたときのリスクを解説

転職活動において、履歴書に嘘を記載することは一見魅力的に思えるかもしれません。
しかし、これは非常にリスキーな行為であり、長期的に見れば大きな問題を引き起こす可能性があります。

 

本記事では、履歴書に嘘をついた場合の具体的なリスクと、その結果生じる可能性のあるトラブルについて解説します。
嘘がばれた際の法的な影響、信用の喪失、そしてキャリアへの影響など、重要なポイントを詳しく説明し、正直な履歴書作成の重要性について考えます。

履歴書や職務経歴書の嘘は経歴詐称に該当

履歴書や職務経歴書の嘘は「経歴詐称」にあたり、これは軽犯罪法違反となる可能性もあります。
経歴の査証は軽犯罪法第1条15号に該当する恐れがあり、犯罪として取りあげられる可能性もあるのです。

 

軽犯罪法第1条15号(※1)
官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者。

学歴詐称

学歴詐称とは、実際の学歴を偽って履歴書や職務経歴書に記載する行為。
具体的には、高校卒業者が大学卒業と偽る場合や、大学卒業者が高校卒業と偽る場合、さらに中退したにもかかわらず卒業と偽る場合などが含まれます。

また、実際に卒業した学校名を偽ることも学歴詐称に当たります。
詐称が企業や関係者に損害をもたらした場合、損害賠償請求の対象となることも考えられるでしょう。

職歴詐称

職歴詐称とは、自身の職務経歴を偽る行為。
勤務した企業名、職務内容、在職期間、役職、雇用形態などを実際とは異なる形で記載することが該当します。
また、転職回数を少なく見せるための虚偽申告も職歴詐称に含まれます。企業は、採用時に候補者の正確な職歴情報を基に判断を行います。

そのため、職歴詐称が発覚すると、内定の取り消しや懲戒解雇といった厳しい処分が下される可能性があります。
さらに、詐称によって企業に損害が生じた場合、損害賠償請求の対象となることもあります。
職歴詐称は信用の喪失を招き、今後のキャリアにも深刻な影響を与えるため、正確な職歴を記載しましょう。

免許・資格取得詐称

免許・資格取得詐称とは、実際には取得していない免許や資格を持っていると偽る行為。これは、採用過程で応募者のスキルや適性を誤解させるため、重大な問題となります。
具体的には、資格や免許の取得日、取得機関、スキルレベルを虚偽の内容で記載することが該当します。

 

このような詐称が発覚した場合、企業は内定の取り消しや懲戒解雇を行うことがほとんど。
スキルをもっている人材を採用する方針であったにも関わらず、採用した人材にスキルがないと分かれば内定を取り消すのは普通です。
資格詐称は信頼を損ない、キャリアに大きな悪影響を与えるため、誠実に記載しましょう。

病歴詐称(履歴書に書かないと嘘になる)

病歴詐称とは、過去の病歴を履歴書や職務経歴書に記載せず隠す行為。
長期の入院歴や重大な手術歴、慢性的な病気などが該当します。
これらの情報を隠すことは、業務に支障をきたす可能性があるため、正直に申告することが求められます。
病歴の正確な申告は、企業が従業員へ適切なサポートを提供するためにも重要です。

犯罪歴詐称(履歴書に書かないと嘘になる)

犯罪歴詐称とは、過去の犯罪歴を履歴書や職務経歴書で隠す行為。
特に、面接で犯罪歴について質問されたり、履歴書の賞罰欄に記入する際に、正確に申告しないことは重大な問題です。

 

企業は、従業員の信頼性を重視しており、犯罪歴の詐称が発覚すると内定の取り消しや懲戒解雇の原因となることがあります。
また、特定の業界や職種では、犯罪歴に関する厳格な要件が設けられている場合があり、これに該当する場合は事前に確認する必要があります。
起訴猶予事案や少年犯罪については、一般的に犯罪歴とみなされないことが多いため、これらの事案については記載の義務はありません。
しかし、正確な情報を提供することで、企業との信頼関係を築くことができ、長期的な雇用関係の安定にもつながります

経歴詐称が発覚した際のリスク

経歴詐称が発覚した場合、「内定の取り消し」「解雇」「損害賠償の請求」「信用失墜」のような様々なリスクがあります。
転職先の企業で長期的に勤めるためには能力やスキルも大事ですが、信頼も大切。
リスクをしっかりと理解しておき、経歴詐称が長期的な目線でメリットがないということを知っておくことが重要です。

内定取り消しになるリスク

経歴詐称が発覚した場合、内定取り消しのリスクが高まります。
履歴書や職務経歴書は、採用の基準となる重要な書類です。
ここに虚偽の情報を記載すると、企業は応募者が採用基準を満たしていないと判断する可能性があります。
さらに、嘘をつく行為は、モラルや倫理観に問題があると見なされ、入社後の信頼性にも疑問を抱かれることになります。
その結果、企業はリスク回避のために内定を取り消すことが多いです。

 

ただし、履歴書や職務経歴書の嘘が発覚した段階で即座に内定を取り消すということはあまりありません。
嘘の内容の程度や嘘をつくに至ってしまった経緯などを勘案して最終的に内定を取り消すかどうかの判断が成されるのが普通です。
しかし、業務を行ううえで必須と思われるスキルや資格を詐称してしまった場合にはほぼ確実に内定取り消しとなることは覚悟しておきましょう。

入社後であれば解雇のリスク

経歴詐称が発覚せずに入社した場合でも、後に詐称が判明すると解雇のリスクが高まります。
企業は信頼性を重視しており、経歴の虚偽は重大な問題と見なされます。
特に、懲戒解雇となると、即日退職させることが可能であり、従業員に対する最も厳しい処分。
勤労機関の長短に関わらず、退職金が支払われないことも。

 

解雇の決定は会社の人事部門が行い、場合によっては注意や警告にとどまることもありますが、経歴詐称は信頼を大きく損なう行為。
懲戒解雇の事実は、次の転職活動にも大きな影響を与え、採用のハードルを上げることにもつながるでしょう。

企業から損害賠償を請求されるリスク

経歴詐称が発覚すると、企業から損害賠償を請求されるリスクがあります。
未取得の資格を取得していると偽ったり、学歴を偽って通常より高い給与を得ていた場合、企業に経済的な損害を与えたと見なされるのです。

このような場合、詐欺罪として告訴される可能性もあり、損害賠償請求に発展することがあります。
損害賠償が発生すると、社会的信用を大きく損ない、今後の生活やキャリアに深刻な影響を及ぼします。

応募先企業からの信用の失墜リスク

経歴詐称が発覚すると、応募先企業からの信用を大きく失うリスクがあります。
企業は、従業員の信頼性を重視しており、一度でも嘘が発覚すると、再び信頼を取り戻すことは非常に困難。
クライアントや同僚からの信頼も失われ、業務に支障をきたす可能性が高まります。さらに、経歴詐称は上司や同僚からの疑念や不信感を招き、職場での人間関係やチームワークに悪影響を及ぼすことがあります。

 

解雇に至らなかった場合でも、昇進やキャリアアップの機会が制限される可能性があることは言うまでもありません。
信頼を失うことは、長期的なキャリアにおいて大きなデメリットです。

転職エージェントからの信頼を失うリスク

経歴詐称が発覚すると、転職エージェントからの信頼を失うリスクが高まります。
転職エージェントは、応募者の情報を基に企業とマッチングを行います。
そのため、虚偽の経歴が発覚すると、エージェントは自身の信用も損なう可能性があり、該当する求職者との関係を見直すことになります。

 

信頼を失った求職者は、今後のサポートを受けにくくなり、新たな職業紹介や推薦を受ける機会が少なくなるだけでなく、エージェントネットワーク内での評判も悪化し、他のエージェントからの支援を得ることが難しくなることがあります。

履歴書や職務経歴書の嘘がバレる理由

履歴書や職務経歴書の嘘はどのようにしてバレるのでしょうか。

学校・アルバイト先に確認される

履歴書や職務経歴書に記載された学歴やアルバイト歴に疑問が生じた場合、企業はその事実を確認するために学校やアルバイト先に連絡を取ることがあります。
アルバイト歴については、嘘を書いても発覚しにくいと考える人もいますが、極端な誇張は企業の不信感を招き、詳細な調査が行われる可能性も。

 

企業は、プライバシー保護の観点から、事前に確認の同意を求めることが一般的。
同意を拒否すると、さらに疑念を抱かれることになり、確認を受けることで嘘が明らかになる可能性が高まります。
企業は、正確な情報に基づいて採用を行いたいため、学校やアルバイト先への確認は重要な手段なのです。

証明書の提示ができない

履歴書や職務経歴書に記載された免許・資格の実績について、企業は証明書の提示を求めることがあります。
特に、志望職種に関連性が強い資格や免許の場合、その真偽を確認するための証明書提示が求められます。

 

例えば、TOEICのスコアを実際よりも高く記載するなどの嘘はよく見られますが、選考過程で公式認定証の提出を求められ、そこで嘘が発覚するケースがあります。
また、実際に資格や免許を取得していても、証明書を紛失して提示できない場合、虚偽の記載とみなされる可能性があります。

社会保険や源泉徴収票との矛盾

履歴書や職務経歴書に記載された内容が社会保険や源泉徴収票と矛盾すると、経歴詐称が発覚することがあります。
企業は、採用後に社会保険の手続きや給与支払いのために源泉徴収票を確認します。
例えば、履歴書に記載された勤務期間や給与額が、実際の源泉徴収票と一致しない場合、企業は疑念を抱くでしょう。

 

また、社会保険の加入履歴が履歴書の職歴と異なる場合も同様です。
社会保険や源泉徴収票は公式な記録であり、虚偽の記載はすぐに露見すると思っておきましょう。

年金手帳の加入履歴との矛盾

履歴書や職務経歴書に記載された情報が年金手帳の加入履歴と矛盾する場合、経歴詐称が発覚するリスクがあります。
企業は、採用後に年金手帳を確認し、過去の勤務履歴や加入期間を把握します。
履歴書に記載された職歴や在職期間が年金手帳の加入履歴と一致しない場合、企業は疑問を抱くでしょう。
特に、長期間の空白があると、信頼性が疑われます。
年金手帳は公式な記録であり、虚偽の情報は容易に判明します。

SNS経由

企業は、応募者のSNSアカウントを追跡する専門業者を利用することがあります。
面接で「リーダーシップ経験が豊富」とアピールしていた応募者のSNSに、実際にはチームメンバーとしての活動しか記載されていない場合、矛盾が生じます。
また、「海外勤務経験がある」と述べた応募者のSNSに、特定の国での活動記録が全く見当たらない場合も信憑性が疑われます。

 

また、SNS上で他社への誹謗中傷など、社会的信用を失墜させるような投稿が見つかると、企業はその応募者の倫理観や信頼性に強い疑念を抱くでしょう。

面接内容との矛盾

履歴書に嘘を記載すると、面接時にその内容と矛盾が生じやすくなります。
履歴書に「海外留学経験がある」と書いた場合、面接では具体的な経験や課題、得た知見について質問されることが多いです。
嘘の内容では、具体的なエピソードやリアルな体験談を述べることが難しく、不自然な回答や曖昧な説明になりがち。

 

面接官は経験豊富であり、矛盾や不自然さに敏感です。
そのため、履歴書に記載された情報と面接での回答が一致しない場合、嘘が発覚する可能性が高まります。
正確な情報を記載し、実際の経験に基づいた回答を準備することが重要です。

嘘をつきたくなるコンプレックスと対策

履歴書や職務経歴書に嘘を書いてしまう場合、その項目にコンプレックスを抱えている可能性が高いです。
コンプレックスを感じている項目には、正直に記載しつつも面接での表現の仕方や、自己PR時に工夫をすることが大切。
嘘だけは書かないようにしましょう。

転職の回数が多い

転職の回数が多いと、履歴書にそのまま記載することに躊躇を感じ、経歴を隠したくなることがあります。
多くの転職経験を持つことは、さまざまな職場環境での適応能力や幅広いスキルを習得している証拠とも言えます。

 

この強みを前面に押し出し、各転職が自分の成長やキャリアアップにどう役立ったかを具体的に説明することが重要です。
企業は、転職回数そのものよりも、転職理由やその背景にある学びに注目することがほとんど。

 

正直に転職回数を記載し、自身の経験をポジティブに捉えたエピソードを準備することで、企業からの理解と評価を得やすくなります。
転職の多さをコンプレックスと感じるのではなく、それを強みに変える視点をもちましょう。

失職していた期間が長い

失職していた期間が長いと、履歴書にそのまま記載することに不安を感じることがあるかもしれません。
しかし、空白期間を隠すことは逆効果。
この期間に行っていた活動を具体的に説明することが重要です。
アルバイトやパートの経験も、応募する仕事に関連するスキルをアピールする材料になります。
業務とは直接関係がなくても、空白期間中に学んだことや得た知識を説明するように努めましょう。

資格や前職の実績がない

資格や前職の実績がないと感じると、履歴書に嘘を書きたくなることがあります。
自主的に学んでいる内容や今後の目標を具体的に記載することで、前向きな姿勢をアピールできます。
例えば、「業界の最新トレンドを学ぶために関連書籍を読み漁っている」「ボランティアでイベント企画に参加し、プロジェクト管理を経験した」など、応募する職種に関連する取り組みを積極的に書きましょう。

 

実績がなくても、意欲や学ぶ姿勢を示すことで、採用担当者にポテンシャルを感じてもらえます。
現在の取り組みや努力を具体的に説明し、将来的な成長の可能性をアピールすることが重要です。
資格や実績の不足を補う積極的な姿勢が、信頼を得る鍵となります。

まとめ:履歴書や職務経歴書は採用されて「終わり」ではない

履歴書や職務経歴書は、採用のための重要な書類ですが、それで「終わり」ではありません。
これらの書類は、あなたのキャリアのスタートラインに過ぎません。

 

正確で誠実な情報を提供することで、信頼性を築き、入社後のキャリア成長にもつながります。
採用後、履歴書の内容が基盤となり、評価や昇進の判断材料となることが多いため、嘘のない記載は不可欠。
嘘や誇張は、後に信頼を失う原因となり、キャリアに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

長期的な視野で、自身の経験やスキルを正確に伝えることが、持続的な成功と信頼構築の鍵です。
履歴書や職務経歴書は、あなたの未来を築く大切な一歩であることを忘れずに、誠実な情報提供を心掛けましょう。

 

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