中小企業でこれから障がい者雇用を始めたいと考えている経営者の方へ向けて、ハローワークが提供している障がい者雇用の支援内容をわかりやすく紹介します。
障がい者雇用の知識がほとんどない企業でも安心して取り組めるように、ハローワークの専門窓口で受けられる助成金制度やマッチング支援、職場環境整備のアドバイスなど、具体的なサポート内容を解説しますので参考にしてください。
ハローワークが中小企業の障がい者雇用をサポート
従業員40人以上に課される障がい者雇用義務
まず知っておきたいのは、一定規模以上の企業には障がい者を雇用する義務があるということです。
法制度上、民間企業は従業員の2.5%に相当する人数の障がい者を雇用しなければならず、従業員を40人以上雇用している事業主は障がい者を1人以上雇用することが求められます。
従業員50名規模の会社であれば少なくとも1名の障がい者雇用が必要で、今後この法定雇用率はさらに引き上げ予定(2026年7月に2.7%へ)とも言われています。
障がい者雇用は社会的責任であると同時に、法令遵守の観点からも中小企業にとって避けて通れないテーマです。
障がい者採用ルートとしてハローワークは定番
実は多くの企業が障がい者雇用の際に利用しているのがハローワーク。
ある調査では「障がい者の採用ルートの約3割がハローワーク経由」という結果が出ています。
ハローワークは全国にネットワークを持つ公的な職業紹介機関で、地域に根ざした採用活動ができるため中小企業でも利用しやすい採用ルートと言えます。
自社だけで障がい者の応募者を集めるのが難しい場合でも、ハローワークを活用すれば地元で働きたい障がい者と出会える可能性が高まります。
しかも利用は無料なので、人材紹介会社に依頼するコストもかかりません。
結果として、多くの企業が障がい者雇用の第一歩にハローワークを選んでいるのです。
ハローワークの障がい者雇用専門窓口とは
ハローワークには一般の求職者対応とは別に、障がい者雇用を専門に扱う部署や担当者(専門援助部門・雇用指導官)が配置されています。
この障がい者専門窓口では、障がい者を雇いたい事業主向けの各種相談や支援を受け付けています。
ハローワークは単に求人募集をする場であるだけでなく、「障がい者雇用に関する企業側の窓口」としての役割も果たしています。
障がい者雇用に関する専門知識を持った職員が担当につき、企業の状況や悩みに応じたアドバイスを提供してくれるのです。
「どんな障がい種別の人にどんな仕事を任せればいいのか」「受け入れにあたって職場でどんな配慮が必要か」など、初めて障がい者を迎える企業が抱えがちな疑問も気軽に相談できます。
専門窓口の存在により、中小企業でも安心してハローワークに障がい者雇用の支援を依頼できるようになっています。
ハローワークを利用するメリット
中小企業が障がい者雇用でハローワークを活用するメリットは大きく分けて次のような点があります。
無料で幅広いサービスを利用可能
ハローワークのサービスは国が提供する公的サービスのため基本的に無料です。
求人情報の掲載から人材紹介、各種相談支援まで費用を気にせず活用できます。
人手や予算に限りがある中小企業でもハローワークなら気軽に利用できるでしょう。
地元でのマッチング力
ハローワークは各地域に拠点があり、地元で就職を希望する多くの障がい者求職者が登録しています。
地域に密着したネットワークのおかげで、企業と身近な地域の障がい者を結びつけるマッチングが得意です。
遠方の人材よりも通勤しやすい近隣の障がい者を採用できることは、職場定着にもつながりやすくなります。
障がい者雇用の専門知識と経験
ハローワークには障がい者雇用に関する知識と経験が豊富な職員がいます。
企業が自力で採用活動すると、障がいへの理解を深めるのに思わぬ時間と労力がかかるケースもありますが、ハローワークでは初めから専門知識を持ったスタッフが対応してくれるため効率的です。
採用面接時の注意点や受け入れ準備についても的確なアドバイスが得られます。
採用から定着まで一貫支援
ハローワークの支援は求人募集や面接の段階だけではありません。
入社後の職場定着に向けたフォローまで視野に入れてくれる点もメリットです。
「採用したけれどうまくいかない」「雇用した後も不安が残る」といった事態を避けるため、必要に応じて他の支援機関とも連携しながら長期的にサポートしてくれます。
企業単独では対応が難しい課題も、ハローワークを介して相談すれば解決策が見つかりやすくなるでしょう。
採用だけじゃない幅広いサポート体制
ハローワークというと求人募集の場というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、それ以外にも障がい者雇用に関する様々なサポートを提供しています。
ハローワークは「働きたい障がい者」と「人手を求める企業」をつなぐマッチング機能に加え、企業への助言・指導、福祉機関との橋渡しなども行い、地域全体の障がい者雇用を底上げする役割を担っています。
単に人材紹介をするだけでなく、企業が障がい者を受け入れて活躍してもらうための環境づくりまで含めた包括的な支援体制が整っているのです。
「障がい者雇用は難しいのでは?」と構えてしまう経営者の方も多いでしょう。
しかしハローワークの力を借りれば、準備段階から採用後のフォローまでワンストップで相談に乗ってもらえるので安心。
ハローワークの支援内容は多岐にわたり、まさに「採用から職場定着まで」幅広くカバーしています。
ハローワークが提供する主な障がい者雇用サポート内容
ハローワークの企業向け支援には様々なものがありますが、ここでは企業が活用すべき代表的なサポート内容5つを紹介します。
初めて障がい者雇用に取り組む企業でも利用しやすい支援ばかりですので、順番に見ていきましょう。
①障がい者雇用の相談・アドバイスで不安を解消
ハローワークではまず雇用前の相談対応やアドバイス提供を積極的に行っています。
障がい者を雇うにあたって漠然とした不安や疑問がある場合、ハローワークの障がい者雇用担当者が親身に相談に乗ってくれます。
例えば以下のような質問や悩みに答えてもらうことができます。
●「障がいにはどんな種類があり、自社ではどのような人を想定すれば良いのか?」
●「障がいのある方と一緒に働く際、職場でどんな点に気をつけるべき?」
●「障がい者にどのような仕事を任せれば力を発揮してもらえる?」
●「長く働いてもらうためには職場環境をどう整えればいい?」
●「障がい者雇用に活用できる制度や助成金はあるか?」
このように、雇用前に抱えている不安や疑問を専門スタッフとの相談で一つひとつ解消できるのは大きなメリットです。
実際に雇用を始めてから「こんなはずじゃなかった」と慌てるのではなく、事前に分からないことは聞いておくことで企業側の心理的ハードルも下がります。
障がい者雇用に関する知識と経験が豊富なハローワークならではの適切なアドバイスによって、企業は安心して採用準備を進めることができるでしょう。
②求人マッチング支援と就職面接会への参加
ハローワークは、働きたい障がい者と人材を求める企業とのマッチングを図ってくれる存在です。
企業がハローワークに障がい者求人を申し込むと、担当者が求職中の障がい者の中から条件に合う人を紹介してくれます。
応募者の履歴書だけでは判断しづらい場合も、ハローワーク側で事前に障がい者の特性や希望を把握しているため、単なる書類マッチング以上にミスマッチの少ない紹介が期待できます。
さらに、「障がい者雇用のための就職面接会(合同面接会)」という場も活用可能です。
ハローワークでは大小様々な規模で障がい者対象の面接会を定期的に開催しており、一度に複数の求職者と直接会って話せるチャンスがあります。
大規模な合同面接会では数十〜数百社規模で行われるものもあり、書類選考を介さずにその場で面接できるのがメリットです。
中小企業にとっては知名度の壁で応募が集まりにくいという悩みもありがちですが、ハローワーク主催の面接会ならば障がい者の方々が多数集まるので効率よく出会いの機会を得られます。
「時間や労力を抑えて障がい者を雇用したい」という場合には、ぜひ地域のハローワークに合同面接会の日程を問い合わせてみましょう。
また、通常のハローワーク経由の採用プロセスでも、応募があればハローワークから企業に連絡が入り、選考や面接の日程調整などもサポートしてもらえます。
面接時に「どのように配慮して接すれば良いか分からない」と不安な場合も、事前にハローワークで障がい者との面接のポイントを教わることもできます。
このように、募集から面接セッティング、採用内定までハローワークは企業の採用活動をしっかり支援してくれるのです。
③職場環境整備や定着への支援(ジョブコーチ等)
障がい者が働きやすい職場環境づくりについても、ハローワークは企業にアドバイスを提供します。
初めて障がい者を受け入れる企業では「職場をバリアフリーにしなきゃいけないの?」「周囲の社員にどう理解を促す?」など不安が多いでしょう。
ハローワークでは各企業の状況をヒアリングした上で、「障がい者を雇用するために何をすべきか」を一緒に考えて提案してくれます。
例えば、段差解消や多目的トイレの設置など物理的な設備改善が必要であれば、そのための助成金制度や補助策を教えてもらえます。
勤務時間や就業規則の配慮について悩んでいれば、ハローワークや労働基準監督署で適切な条件設定について相談に乗ってもらえます。
このように、企業が抱える課題に合わせて必要な対策を事前に講じられるようサポートしてもらえるのです。
職場定着支援の一環として「ジョブコーチ」と呼ばれる専門スタッフの活用も支援しています。
ジョブコーチ(職場適応援助者)とは、障がい者が職場に適応できるよう企業内外でサポートする専門家です。
具体的には、障がい者本人には作業手順のマニュアル整備や仕事の教え方支援を行い、企業側には障がい特性に応じた配慮方法や効果的な関わり方についてアドバイスをしてくれます。
ハローワークは地域の地域障害者職業センターなど関係機関と連携しているため、希望すればジョブコーチ支援を受けられるよう橋渡しをしてくれます。
実際、ジョブコーチの力を借りて職場内のコミュニケーションが改善し、障がい者の定着率が向上した事例も報告されています。
このように、ハローワーク経由で必要に応じた外部支援機関の紹介や連携が得られるのは企業にとって心強いポイント。
障がい者の雇用後、「うまく戦力化できるか不安」「長く続けてもらえるだろうか」と心配な企業も、ハローワークと関係機関のサポートによって問題解決の糸口が見つかるでしょう。
④トライアル雇用制度の活用支援
「本当に障がい者を雇用できるのか、自社で戦力になってもらえるのか心配…」——そんな企業にはハローワークの障害者トライアル雇用制度の活用がおすすめです。
トライアル雇用とは、一定期間(原則3ヶ月)試行的に障がい者を雇用し、その適性や能力を見極める制度です。
ハローワークではこの制度への参加を支援しており、希望する企業は求人票に「トライアル雇用求人」であることを明記して募集を出すことで利用できます。
トライアル期間中は、企業は障がい者をお試しで働いてもらい「自社で長期雇用できる人材か」を判断できます。
不安があれば3ヶ月の試行雇用で契約満了とし、問題なければそのまま正式雇用(継続雇用)へ移行することも可能です。
つまりリスクを抑えて障がい者雇用にチャレンジできる制度と言えます。
さらに、トライアル雇用を活用すると一定の助成金(後述の「トライアル雇用助成金」)を受け取ることもできます。
経済的なサポートも得られるため、中小企業でも導入しやすいでしょう。
最近ではテレワークで働く障がい者向けにトライアル期間を最大6ヶ月に延長できる特例も設けられ、より多くの企業・障がい者に利用され始めています。
ハローワークで相談すれば、自社にトライアル雇用が適しているか、具体的な手続き方法などを丁寧に教えてもらえます。
⑤助成金申請のサポート
障がい者を雇用する企業には、経済的負担を軽減するための助成金制度が多数用意されています。
ハローワークはそうした助成金に関する情報提供や申請手続きの案内も行っており、企業が漏れなく制度を活用できるようサポートしています。
特に多くの企業が利用している「特定求職者雇用開発助成金」や「障害者トライアル雇用助成金」については、申請窓口がハローワークになっているため説明会の開催や問い合わせ対応などを積極的に実施しています。
ハローワークに相談すれば、自社が受給できる可能性のある助成金の種類や条件について教えてもらえますし、申請書類の書き方などもアドバイスしてもらえます。
助成金の制度は種類ごとに支給対象や金額が異なるため複雑ですが、専門家であるハローワークの職員にサポートしてもらいながら申請すれば安心です。
「知らずに利用しなかった」ではもったいないので、ぜひ活用できるものは活用しましょう。
ハローワークを通じて障がい者を雇用した場合のみ受け取れるものもあるので注意が必要です(ハローワークを通さない直接採用だと対象外になるケースがあります)。
ハローワークを通じた障がい者採用の基本ステップ
ここまでハローワークの役割や具体的な支援内容を見てきました。
では実際に、ハローワークを通じて障がい者を採用する流れはどのようになるのでしょうか。
一般的な基本ステップを押さえておきましょう。
STEP1:まずはハローワークに相談
障がい者雇用を検討したら、最初の一歩は地元のハローワークに相談することです。
企業の所在地を管轄するハローワークの障がい者専門窓口に出向き、「障がい者を雇いたいと考えている」旨を伝えれば、担当者が企業の状況や目的をヒアリングした上で適切な対応策を提案してくれます。
●初めて障がい者を雇用したい場合
必要な知識の説明や、どんな人材が紹介可能かといった基本から案内してくれます。
●障がいへの理解を社内で深めたい場合: 希望に応じて、障がい者雇用に積極的な他社の見学会やハローワーク主催の勉強会を紹介してもらえることもあります。
●障がい者を受け入れるため社内体制を整えたい場合
社員研修の情報提供や、障がい者支援に関する資格取得の案内なども行っています。
まずは気軽に窓口を訪ね、自社の状況や不安点を伝えることから始めましょう。
STEP2:疑問や不安を相談で解消
STEP1の相談段階と重なる部分もありますが、ハローワークの協力を得て雇用前のモヤモヤをクリアにしておきましょう。
基本的な疑問(障がいの種類や接し方、任せる仕事、職場環境の整備、活用できる制度など)はこの時点で確認できます。
不安点を残したまま見切り発車で採用を進めてしまうと、「雇用したけれどうまくいかない」「思った以上に負担が大きかった」という事態になりかねません。
はじめて障がい者を雇用する企業や、過去に雇用したもののうまく定着しなかった企業こそ、遠慮なくハローワーク等の専門機関に相談して疑問を潰しておくことが成功のカギ。ハローワークはまさにそのための窓口ですから、どんな小さなことでも質問し、納得した上で次のステップへ進みましょう。
STEP3:任せる業務や受け入れ準備を検討
障がい者を雇用すると決めたら、具体的にどの仕事を任せるか、社内の受け入れ体制をどうするかを検討します。
これは障がい者雇用の計画作りとも言える段階です。
ハローワークの企業向け窓口では、「どんな仕事内容なら障がい者に任せやすいか」「業務をどのように切り出せば良いか」について相談しながら求人条件を練り上げることが可能です。
障がい者の業務割り振りは職場定着率を高める上で非常に重要なポイントです。
無理のない作業で、かつやりがいを感じてもらえる仕事を用意できれば、長く戦力として働いてもらえる可能性が高まります。
ハローワークでは他社の事例なども参考にアドバイスしてくれます。
実際に障がい者を雇用している企業の取り組み事例を集めたデータベースなども紹介してもらえるため、従業員規模や業種が近い会社ではどんな仕事を障がい者に任せているのか、といった情報を得ることもできます。
例えば製造業なら部品の検品や梱包、オフィス業務なら書類整理やデータ入力など、障がいの種類や特性に応じて適した職域が見えてくるでしょう。
こうした準備段階での検討を十分に行い、求人票に明記する労働条件(職務内容・勤務時間・給与・募集人数など)を固めていきます。
また、同時に社内の理解醸成も進めておきましょう。
受け入れ部署の社員に対して事前説明や簡単な研修を行い、障がい者と働く心構えや配慮事項を共有しておくことで社内準備は万全です。
このようにSTEP3では、企業内部の体制整備と求める人材像・仕事内容の明確化を行うイメージです。
ハローワークからの助言や他社事例を活用しながら、自社で障がい者が力を発揮できる受け入れ態勢を整えましょう。
STEP4:職場環境の整備と課題への対策
いよいよ求人を出す段階の前に、障がい者を受け入れる上で解決できる課題は事前に対策を講じておきます。
ハローワークと相談しつつ、企業ごとに異なる課題に応じた対応策を検討しましょう。
例えば次のようなケースがあります。
物理的なバリアフリー対応が必要
建物の段差解消、スロープ設置、車椅子対応トイレの整備など設備面の改善課題がある場合、ハローワーク経由で「施設の改善に使える助成金」や「就労支援機器の貸与制度」を紹介してもらえます。
費用面の補助を受けつつ職場環境を整備できます。
適切な労働条件の設定に悩む
「勤務時間や休憩配分をどう決めれば良いか」「給与水準はどの程度か」といった労務管理上の疑問がある場合、ハローワーク窓口や労働基準監督署で相談可能です。
障がい者に配慮した契約条件の決め方についてアドバイスが得られます。
障がい者のスキルアップ方法
採用予定の障がい者に職務上必要な技能訓練が必要であれば、公共職業訓練校や民間の研修サービスの活用を検討します。
ハローワークから職業訓練(ハロートレーニング)の案内を受けることもできます。
職場定着率を上げたい
障がい者が長く働けるよう定着支援を強化したい場合、障がい者就業・生活支援センターやジョブコーチの活用を検討します。
ハローワークを通じてそうした専門職の配置について相談でき、必要なら担当者に来てもらうことも可能です(資格取得による社内ジョブコーチ設置などの方法もあります)。
STEP5:求人の募集から面接・採用まで
準備が整ったら、ハローワークに障がい者求人を登録して募集を開始します。
ハローワークの企業担当者がこれまでの相談内容を踏まえて、求人票の記載方法や募集手続きもサポートしてくれるので安心です。
障がい者求人は一般の求人票とは異なり、専用の様式で申し込みます。
窓口で受け取った障がい者求人票に仕事内容・勤務地・雇用形態・待遇などを記載し提出すれば、ハローワーク内およびインターネットサービス上に掲載されます。
トライアル雇用を利用する場合は求人票にその旨を明記する必要があるので、この段階で担当者と確認しておきましょう(記載がないと後から助成金を受給できなくなるため重要です)。
求人を公開すると、応募を希望する障がい者の方がいればハローワーク経由で応募書類が届いたり、直接問い合わせが入ったりします。
応募があった際にはハローワークから企業へ連絡が入りますので、スケジュールを調整して選考・面接へ進みましょう。
書類選考と面接を行い、採用の可否を決定します。
障がい者の場合、経歴が一般応募者に比べて少なかったり書類表現が不得意だったりするケースも多いため、ハローワークではできるだけ面接の機会を設けることを企業に勧めています。
実際に会って話すことで、その方の人柄や可能性をより正しく判断できるからです。面接時に緊張してうまく話せない応募者もいますが、その点もハローワーク担当者にフィードバックすれば採用後のフォローにつなげてもらえます。
そして、採用内定となれば雇用契約・入社手続きへと進み、晴れて新しい仲間として障がい者の従業員を迎えることになります。
ハローワークは採用活動が円滑に進むよう常にアドバイスを提供してくれますし、採用後も生じた問題や不安について地域の支援機関と連携してサポートしてくれるので安心です。
障がい者雇用で活用できる主な助成金制度
障がい者を雇用する企業が活用できる主な助成金制度を押さえておきましょう。
助成金を上手に使えば、経済的負担を軽減しながら障がい者雇用を進めることができます。
特定求職者雇用開発助成金
「特定求職者雇用開発助成金」は、簡単に言うとハローワーク等の紹介によって就職が困難な人(特定求職者)を継続雇用した事業主に支給される助成金です。
障がい者は高年齢者や母子家庭の母などと並び「特定就職困難者」に含まれており、この助成金の対象となります。
その中でも障がい者の場合はさらに、重度障がいや発達障がい・難治性疾患を持つ方を雇用した場合に加算措置があるコースに分かれています。
支給額は雇用する障がい者の程度や企業規模によって異なりますが、中小企業で重度障がい者を雇用した場合は年間最大で240万円(最長3年間)の助成を受けられるケースもあります。
ハローワークの紹介で障がい者を正社員として雇用し、1年以上定着してもらえれば、この助成金により賃金の一部を国から補填してもらえるわけです。
数年間は人件費の負担が軽減されるため、企業にとって大きな助けとなるでしょう。
対象となる条件や支給額の詳細は毎年見直されることもありますので、申請の際は最新の厚生労働省資料やハローワークの案内で確認してください。
障害者トライアル雇用助成金
「トライアル雇用助成金」は、その名の通りハローワークのトライアル雇用制度を活用して障がい者を試行雇用した事業主に支給される助成金です。
トライアル雇用期間中の賃金等に充てる目的で支給され、コースは2種類あります。
障害者トライアルコース
原則週30時間以上の通常の試行雇用の場合で、月額4〜8万円が最長3ヶ月(最大6ヶ月)支給されます。
支給額の幅は企業規模などで異なり、中小企業では手厚くなる傾向があります。
障害者短時間トライアルコース
精神障がいや発達障がい等により週20時間以上の勤務が難しい方を対象に、段階的に週20時間以上の勤務を目指す試行雇用をした場合に月額最大4万円が最長12ヶ月支給されます。短時間からスタートしてゆくゆくフルタイムに近づけていくケースを想定したコースです。
人材開発支援助成金(障がい者職業能力開発コース)
「人材開発支援助成金(障がい者職業能力開発コース)」は、障がい者の能力開発に取り組む企業に対して支給される助成金です。
具体的には、ハローワークが職業訓練の必要性を認めた障がい者を雇用し、社内または関係機関で訓練を行う事業主が対象となります。
この助成金は大きく2種類の費用をサポートします。
施設・設備の設置整備費
障がい者の職業訓練のために企業が施設や設備を新設・改造した場合、その費用の一部(3/4、上限5000万円など)が支給されます。
例えば車椅子対応の機械を導入したり、訓練用の設備を整えたりする費用の多くを国が負担してくれるイメージです。
訓練運営費
実際に障がい者を雇用して訓練を行った場合、その運営経費の一部が支給されます。
重度障がい者の場合1人当たり月額最大17万円(経費の5分の4相当)×人数、その他の障がい者の場合は月額最大16万円×人数など、負担割合に応じた額が支払われます。
さらに重度障がい者を新たに雇用して訓練開始した場合には1人当たり10万円の加算もあります。
これらにより、障がい者が働くために必要なスキル習得や職場環境整備にかかる費用を大幅に補助してもらえます。
例えば訓練用PCの購入や講師招へい費、作業現場の改装費などが実質的に軽減されるため、企業は安心して能力開発に投資できます。
支給対象期間は最長で2年間程度と設定されています。
この助成金はハローワークが「職業訓練が必要」と認めたケースに限られるため事前の相談が必須ですが、該当する場合はぜひ活用したい制度です。
その他の助成制度や支援策もチェックしよう
上記3つ以外にも、障がい者雇用を支援する制度は多数存在します。
例えば、障害者雇用納付金制度に基づく「障害者雇用安定助成金」では、職場内での障がい者サポート体制整備(例:社内でジョブコーチ役の担当者を置く等)に対する助成や、テレワーク設備導入費の助成などが用意されています。
また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)を通じた「障害者作業施設設置等助成金」では、重度障がい者のための作業スペースや治療設備を整備する費用が助成される場合もあります。
これらはいずれもハローワークと連携しながら申請・利用を進めることになります。
さらに助成金以外にも、福祉機器の貸与制度(障害者職業センターによるコミュニケーション支援機器の貸し出し等)や、税制上の優遇措置(障がい者を雇用すると事業所得の特別控除や減税が受けられる制度)など、企業の障がい者雇用を後押しする仕組みがあります。
ハローワークや労働局に相談すれば、自社が使える制度を丁寧に教えてもらえますので、ぜひ一度問い合わせてみてください。
助成金は条件や手続き先が種類によって異なるため、最新情報を確認することが大切です。
厚生労働省の公式サイトやハローワーク窓口で最新のリーフレットを入手し、自社が該当しそうなものをピックアップしましょう。
ハローワークの支援を受けながら申請すれば手続きも難しくありません。
もらえるものはもらって、経済的な負担を減らしつつ障がい者雇用を進めていきましょう。
株式会社アルファ・ネットコンサルティング:アクセル
株式会社アルファ・ネットコンサルティングでは、アクセルというサービスを提供しています。
「法定雇用率を満たせない」
「採用後に長く働いてもらえるかわからない」…という企業様向けに、
障がい者雇用枠で新規顧客開拓のスぺシャリストを採用し、
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