転職先が決まったら、次のステップは現職での退職の伝え方です。
この瞬間は多くの人にとって非常に緊張するもの。
しかし、適切な方法で伝えることは、今後のキャリアにも大きな影響を与えます。
この記事では、スムーズでプロフェッショナルな退職の伝え方について解説します。
退職理由の伝え方から、タイミング、さらには同僚や上司との円満な関係を保つコツまで、あなたが心地よく次のステップに進むための指針も解説。
転職は新たな始まりへの扉。
その一歩を確実に、そして穏やかに踏み出しましょう。
今の会社に「辞める」ことを伝えるタイミングは?
現職の会社にはどのように「辞める」ことを伝えればいいのでしょうか。
「辞める」という言葉にはネガティブなイメージがついて回るため、言い出すタイミングが難しいと感じる方も多いでしょう。
まずは言い出すタイミングについて見ていきましょう。
「辞める」と伝えるのは内定承諾後がベスト
転職活動を進める中で、新しい職場からの内定はまさに待ちに待った瞬間。
しかし、この喜びを胸に、現職に対してすぐに退職の意向を伝えるべきかどうかは慎重な判断が必要です。
実は、安全かつスマートな退職の伝え方には、適切なタイミングが存在します。
それは、内定を正式に受諾した後です。
内定とは、新しい職場からの具体的なオファーが書面で届いた状態を指します。
この書面には、入社日や年収などの重要な条件が記載されており、これに同意することで初めて「内定承諾」となります。
口頭での「内定」や、書面が届いただけの状態では、まだ安心できません。
企業側の事情で内定が取り消される可能性もゼロではなく、この状態で現職を辞めてしまうと、万が一の際に次の職がない状況に陥るリスクがあるので注意しましょう。
退職の1か月~3か月前に上司にアポイントメントを取る
「会社を辞める」という意思を上司に伝えないことには退職の話が先に進みません。
退職予定日の1か月から3か月前には上司に退職の話ができるようにしましょう。
1か月~3か月ほどの余裕をもたせる理由は、会社があなたの後任を見つけるため、または必要な業務の引き継ぎを計画するために十分な時間を確保することができるからです。
まずは直属の上司に対して、一対一で話す時間を設けてもらえるように頼みましょう。
例えば、「近々、個人的なキャリアに関する重要な話をしたいと考えています。少し時間をいただけますか?」
というようなアポイントメントの取り方もあります。
上司も心の準備をする時間を持つことができます。
繁忙期や忙しい時間以外
退職を伝えるタイミングは、相手が精神的に余裕を持ち、落ち着いて話を聞ける状態で行うことです。
特に、会議や大切なプロジェクトの真っ最中、または年度末のような業務が集中する時期に退職の意向を伝えることは避けるべきです。
退職のニュースは、どのような状況でも上司やチームに影響を与える可能性があるため、それを最小限に抑えるため配慮しましょう。
上司やチームメンバーが退職のニュースに冷静に対応し、後任者の選定や業務の引き継ぎ計画を立てやすくなります。
今の会社に「辞める」ことを伝える相手や場所は?
退職希望を言い出すタイミングについて見てきましたが、退職の意思を伝える優先順位はどうでしょうか。
上司、同僚、取引先など伝えなくてはいけない人たちが多くいそうですが、最優先すべきは直属の上司です。
最優先は直属の上司
直属の上司を飛び越えて他の管理職に先に話をすることは、組織のヒエラルキーを無視した行動と見なされがち。
まずは直属の上司に報告するのが鉄則です。
直属の上司は、あなたの日常業務を直接管理し、指導している人物であり、あなたの職場での活動に最も精通しています。
退職の意思を伝える際には、初めは口頭でのコミュニケーションが基本。この段階では、退職願や退職届の提出は必要ありません。
たとえ上司との関係が良くない場合であっても、まずは直属の上司に相談することが、職場のマナーやプロトコルを尊重することにつながります。
退職に関する情報はデリケートなもの。
同僚や取引先に先に情報が漏れると、誤った情報が広まったり、不必要な憶測を呼んだりする可能性がありますので退職の意思を伝える順番は絶対に間違えてはいけません。
同僚や取引先がいない場所で伝えること
退職は非常にデリケートな話題であり、これを伝える場所は慎重に選ぶ必要があります。理想的なのは、上司と二人きりで、静かでプライベートな空間を選ぶようにしましょう。
会社の会議室や閉じたオフィスなど、静かで落ち着いた雰囲気の場所を選ぶのがおすすめです。
いい「辞め方」のコツ5選
「会社を辞めるから、後のことは自分には関係ない」という姿勢はよくありません。
このようなスタンスはいずれ次の職場でも仕事の態度に現れてくることでしょう。
会社を辞めるときには「辞め方」が重要です。
①まずは感謝の気持ちから伝える
円満退職を実現するための重要なコツの一つは、退職の意向を伝える際に感謝の気持ちを最初に表すこと。
どんな理由で退職を決意したとしても、これまでの職場での経験や学び、そして同僚や上司との関係に感謝を示すことは、一人の社会人としても非常に重要です。
面談の初めに、これまでの支援や指導に対する感謝の言葉を述べると良いでしょう。例えば、「この会社での経験は私にとって非常に価値があり、多くのことを学ぶことができました。特に、あなたからのご指導や支援には深く感謝しています」といった具体的な表現を用いるといいでしょう。
②個人都合を理由にする
個人都合を退職理由にすることは、職場での不要な誤解や摩擦を防ぐのに効果的です。
たとえ会社に対する不満が退職の大きな理由であったとしても、それを率直に伝えることは避けるべき。
不満を述べることは、場合によっては上司を動揺させ、不必要な議論を引き起こす原因となり得ます。
さらに、会社の問題点を指摘すると、上司がそれを解決しようとして退職を思いとどまらせようとする可能性もあります。
そのため、退職の理由は「キャリアの方向性の変更」「家庭の事情」「健康上の理由」など、個人的な事情に関連づけることが望ましいです。
③メールだけで終わらせない
デジタルコミュニケーションが日常化している現代でも、退職のような重要な決断を伝える際は、直接対話の重要性が変わりません。
メールやテキストメッセージは便利ですが、非対面での伝達は誤解を招くリスクがあり、また、相手に対する敬意が欠けていると受け取られかねません。
退職の理由や将来の計画について詳細に説明し、質問に答える機会も得られ、誤解や不信感を避け、円満な関係を保つことができます。
なお、アポイントを取る場合にはメールやチャットツールを活用しても構いません。
④退職希望日を明確に伝えつつも、相談する姿勢を見せる
自分が希望する退職日と会社側の都合として退職してほしい日のすり合わせは重要です。
退職の意向を伝える際には、具体的な退職希望日(●月●日)を提示することで、会社側に計画性と明確性を伝えます。
明確な日程を提示しない場合、後から問題に発展する可能性もあり、後任者の選定や業務の引き継ぎにも影響が出ます。
しかし、単に自分の希望を一方的に押し付けるのではなく、「この日付で退職を希望していますが、業務の引き継ぎや会社の都合を考慮して、柔軟に対応可能です」といった形で相談の余地を残すことも重要。
自分のことだけではなく、会社のことも考えている姿勢は見せられるといいでしょう。
⑤転職先は伝えない
退職の際、新たな職場についての詳細を伝えることは、場合によっては不必要な緊張や競合の問題を生じさせる可能性があります。
特に、現職場の競合企業への転職の場合、この情報は職場内の動揺や、信頼の損失を招くことにもつながりかねません。
退職理由としては、キャリアの発展、個人的な成長、家庭の事情など、より一般的で個人的な理由に焦点を当てることが無難です。
退職理由のいい「伝え方」7選
鉄則は「個人都合」ですが、なかには「人間関係」「起業や独立」といった雰囲気を周囲が感じ取ってしまっている可能性もあります。
そのような場合、無理に「辞める理由」を隠すことは逆効果かもしれません。
いずれの場合もネガティブな表現からポジティブな表現に切り替えることを考えて伝えられるようにしましょう。
人間関係が原因である場合
- 上司の指導方法に不満がある
→自分のスキルやキャリアの成長をサポートする環境で働きたい - 同僚とそりが合わない
→協力的で刺激的なチーム環境で自分をさらに成長させたい
【例文】
「この職場での経験は私にとって非常に有意義で、多くのことを学ばせていただきました。しかし、私は自分のキャリアにおいて、異なるチームダイナミクスの中で働くことを望んでいます。新しい環境で、さまざまなバックグラウンドを持つ同僚と共に働き、新たな視野を広げたいと考えています。」
仕事が自分に合わなかった場合
- 仕事に面白みを感じられない
→よりやりがいのある仕事に専念したい - 扱う商品やサービスが好きになれない
→自信を持って推奨できる商品やサービスに携わりたい - ノルマが厳しい
→顧客一人ひとりと丁寧に向き合い、長期的な信頼関係を築く営業スタイルを求めている
【例文】
「こちらの会社で働かせていただいた期間、多くの貴重な経験を積むことができ、心から感謝しています。しかし、最近になって自分自身のキャリア目標について深く考える機会があり、私には別の分野での挑戦が必要だと感じています。特に、自分が深く情熱を感じ、より大きなやりがいを得られる仕事に専念したいと思っています。現在の仕事も学び多きものでしたが、私が目指すキャリアパスとは異なる方向性であると感じています。新しい分野でのチャレンジを通じて、自分のスキルをさらに伸ばし、より大きな貢献を目指したいと考えており、そのためには残念ながら退職を選択することが最良だと判断しました。」
体調不良が原因である場合
体調不良が原因で仕事を辞める場合には、そのままの理由を率直に伝えてしまっても問題ありません。
「職場に迷惑をかけてしまう」
「勤務が難しくなった持病があるため、自分自身の健康を最優先に考える必要があります。」
など、適切な表現を使いましょう。
【例文】
「この度、私事で恐縮ですが、体調不良のため、退職を考えております。最近、仕事のストレスや持病の悪化が原因で、残念ながら健康状態が思わしくなく、医師からも休養を勧められています。私自身も、より健康を重視した生活を送る努力が必要だと痛感しております。職場での経験は私にとって非常に貴重で、ここで学んだ多くのことに感謝しています。しかし、現在の私の健康状態を考慮すると、退職してしっかりと体を休め、回復に専念することが最善だと判断しました。ご迷惑をおかけすることになるかもしれませんが、ご理解いただければ幸いです。」
家庭の事情である場合
家庭の事情がその理由である場合も、直接かつ率直にその事実を伝えることが最適。
変な言い回しを考える必要はありません。
家族の健康問題や緊急事態は、誰にでも起こり得る事情であり、大抵の職場では理解を得られやすいものです。
「離れて住む母が急に倒れてしまい、介護が必要になった」といった具体的な状況を伝えることで、退職の必要性を明確にすることができます。
このような事情を伝える際には、職場への感謝の気持ちを忘れずに伝えることが重要。
退職を希望しない場合は、事情を詳しく伝えることで、会社側から時短勤務や介護休暇などの提案を受ける可能性もあります。
他に職場を辞めたい理由があるのに、家庭の事情と伝えることは綻びが出る可能性が高くなるのでやめましょう。
【例文】
「こちらの会社での勤務は非常に充実しており、多くのことを学ばせていただきました。しかし、私事で大変恐縮ですが、最近家族の健康状態が急に変化し、私の支援が必要になりました。具体的には、離れて住む母が病気になり、今後の治療とケアが必要になるため、私が家族のそばにいることが急務となっています。この状況を考慮し、大変残念ながら退職を検討しています。
こちらの会社での経験は、私のキャリアにおいて非常に重要で価値のあるものでした。ご理解とご支援を賜りたく、お願い申し上げます。職場での貴重な経験と、支えていただいた同僚の皆様に深く感謝しております。」
待遇や環境が原因である場合
退職理由を告げる際には、プロフェッショナルな志向を求めていることが相手に伝わるような退職理由が伝わるような表現を心がけましょう。
- 給与が安い
→自分のスキルや貢献に対する適切な評価を求めている - ボーナスが少ない
→自分の努力と成果がより反映される環境で働きたい
【例文】
「この度、私自身のキャリアの方向性について深く考える機会があり、新しい環境でのチャレンジを探求する決断をしました。こちらの会社での勤務は、私にとって非常に学び多き経験でした。しかし、自分のスキルと努力をより高く評価してもらえる環境で働くことが、私のキャリアの成長には不可欠だと感じています。私は、自分の貢献が直接的に反映され、成果が正当に評価される職場で働きたいと考えており、そのためには新たな場所でのチャレンジが必要だと考えました。
こちらの会社での経験は私にとって非常に重要であり、ここで学んだことは今後のキャリアにおいても大いに役立つと確信しています。新しい環境での挑戦を通じて、私は自己実現を図りたいと思っています。この決断に至った経緯をご理解いただければ幸いです。」
独立・起業する場合
独立や起業は大きな挑戦ですが、現在の職場と競合関係になってしまう場合には伝え方に注意が必要なケースがあります。
無理に不自然な言い回しをする必要はありませんが、言わなくてもいいことまでは言わないように気を付けましょう。
【例文】
「こちらの会社での経験は非常に貴重であり、多くのことを学ばせていただきました。今、私は長年抱いていた夢、独立して自分のビジネスを立ち上げるという新たな挑戦に向かおうとしています。この決断は、ここでの経験に触発され、自分自身のビジョンを追求したいという強い願望から来ています。
もちろん、現在の職場との関係を大切にし、新しい事業が競合しないよう配慮することを心掛けます。ここでの業務や同僚との協力関係は、私のキャリアにおいて非常に重要な部分です。ご理解と今までのご支援に深く感謝し、今後も良い関係を保ち続けたいと考えています。新たな道を歩み始めますが、ここでの経験が私の大きな支えとなることを確信しています。」
本当の理由を伝えたくない場合
本当の理由を伝えなくてもいい場合には、それに越したことはありません。
退職時にその理由を正直に伝えなくてはならないという決まりはありませんので、「一身上の都合により」とだけ伝えることも有効です。
【例文】
「まず始めに、こちらの会社での経験に心から感謝しております。しかし、一身上の都合により、退職を希望することになりました。この決断は、個人的な事情に基づくものであり、現在の職場や同僚に対しては何の不満もありません。ここでの勤務は私にとって非常に価値あるもので、多くの貴重な経験と学びを得ることができました。
具体的な理由については個人的なものであり、詳細を話すことは控えさせていただきますが、この変化は私のキャリアと人生にとって重要なものです。今後の進路はまだ完全には決まっていませんが、新しい機会を模索している段階です。今までのご理解とご支援に感謝し、今後も良い関係を維持できれば幸いです。」
「辞める」と伝えた後にするべき行動
上司に「辞める」と伝えて、その内容が受理されたら終わりではありません。
抱えている業務をこなしながら退職に向けた準備をすすめる必要があります。
退職届の作成
多くの企業では退職届の提出が必須であり、退職日が確定したらすぐに準備を始めるべきです。
起業指定のフォーマットがある場合にはそれに従います。
一般的に、退職届には退職理由を簡潔に記載しますが、「一身上の都合」などの一般的な表現で十分です。
退職希望日を明記し、その後に退職届を作成した日付を記載します。
最後に、手書きで署名し、必要に応じて印鑑を押します。
退職届は手書きでも、パソコンで作成しても構いません。
ただし、署名は手書きにし、押印は電子印鑑ではなく、物理的な印鑑を使用しましょう。
業務の引き継ぎや整理・整頓
円満な退職を実現するためには業務の引き継ぎと整理・整頓が不可欠です。
退職の約1か月前から、これらの準備を始めるのが理想的です。
まず、後任者に引き継ぐためのマニュアル作成や、重要な資料の整理を行いましょう。
後任者がまだ決まっていない場合でも、仕事の流れや必要な情報をわかりやすくまとめておくことが重要です。
有給休暇の消化
有給休暇は労働者の権利であり、退職前にこれを適切に使い切ることが望ましいです。
退職日が近づいたら、残っている有給休暇の日数を確認し、可能な限りその期間内に休暇を取るように計画しましょう。
職場の忙しさなど、内部の事情を察して有給を未消化のまま退職するという選択肢もありますが、使えるようであれば使ったほうがいいでしょう。
ただし、会社によっては余った有給休暇を買い取る制度がある場合もあります。
この場合は、休暇を無理に消化する必要はありませんが、買取の可否は企業の裁量によるため、事前に人事部門や上司と確認することが大切です。
また、有給休暇の利用はあくまで退職日までとなります。
退職日以降の休暇の利用は認められていないため、スケジュールを適切に調整することが重要です。
会社に返却するものを確認する
退職に伴って会社に返却するものがいくつかあります。
- 健康保険証
退職日まで使うことができますが、それ以降は利用することができません。
退職日に会社に返却しましょう。 - 会社から借りているもの全般
身分証明書・社員証・名刺・制服(クリーニングして返却)などは返却します。
当然ですが、返却はできないものの、退職後に職場で業務上知りえた情報(顧客情報など)を口外したり、利用したりするのはご法度です。
会社から受け取るものを確認する
退職に伴って会社から受け取るべき書類があります。
- 雇用保険被保険者証
雇用保険に加入している証明となるもので、退職時に受け取ります。
新しい会社で雇用保険の手続きを行うために必要になります。 - 離職票
失業保険受給のために必要な書類で、退職時に受け取ります。
転職先が決まっている場合には不要です。 - 健康保険資格喪失証明書
健康保険から国民健康保険に切り替えるために必要な書類。
14日以内に国民健康保険に切り替える必要がありますが、転職先が決まっている場合、多くのケースで不要ですが、決まっていない場合には退職日の翌日以降に受け取ります。 - 源泉徴収票
毎年12月に年間の所得が確定してからもらいますが、年度の途中で退職する場合には発行してもらうことが必要。
退職日から1か月以内に受け取ることはほとんどです。
転職後の会社に提出して年末調整をしてもらう際に重要。 - 年金手手帳
会社に預けている場合には退職日当日までに会社から受け取ります。
周囲に感謝の気持ちを伝える
社内外の関係者への退職の挨拶は上司との相談を経て進めるべきです。
特に退職の事実がまだ公開されていない段階で、無断で周囲に退職を告げるのは避けましょう。
この挨拶には、過ごした時間への感謝を込め、退職10日前までに完了させることを一つの目安にするといいでしょう。
よくあるケーススタディ
最後に、退職にあたってよくあるケーススタディを見ていきましょう。
「辞める」意思を伝えて転職先を質問されたとき
退職の意向を伝えた際に上司から転職先について質問されることは珍しくありません。
「新たなキャリアのチャンスを探求している段階ですが、具体的な会社名については現時点ではお伝えできません」などと回答しましょう。
リモートワークになっていて、対面で「辞める」と伝えられないとき
メールやチャットだけで退職の意思を伝えるのは、誠意に欠けると受け取られがちです。そのため、リモートワークであっても、ビデオ会議などのオンラインツールを使って、直属の上司と一対一で会話を行うのが望ましいです。
リモートワーク中はスケジュールの調整が難しい場合がありますが、退職に関する話は重要なので、事前にアポイントメントを取り、適切な時間を確保することが大切です。
転職を引き留められたとき
退職の意思を伝えた際に、上司から「あなたが必要だ」「代わりはいない」といった引き留めの言葉を受けることも少なくありません。
引き留めに直面した際には、感情に流されず、退職の決断を下した自分の理由をしっかりと思い返し、その上で誠実に対応することが、円満な退職への道につながります。
「あなたのお言葉に感謝します。しかし、私にとって現在のステップは自分自身のキャリアにとって重要な選択です。
新しい環境でのチャレンジが、今の私には必要だと感じています」といった回答を用意しておきましょう。
転職時期をずらしてほしいと依頼されたとき
引き継ぎの期間を十分に設けることは重要ですが、会社側の要望に完全に合わせることは必ずしも望ましくありません。
例えば「新しい人が入るまで待ってほしい」という依頼は、退職が長引く可能性があり、自分のキャリア計画に影響を与えることもあり得ます。
このような場合は、自分の退職の意志を固く持ち、会社側に対しては「退職の意向は固いですが、可能な限りスムーズな引き継ぎを心がけます」といった形で答えることがいいでしょう。
残りの給料や退職金は出せないと言われたとき
給料の支払いは労働者の権利であり、企業による未払いは違法行為です。
もし退職後に未払い給与がある場合、請求することが可能です。
そのため、シフト表、業務日報、給与明細書、雇用条件通知書などの証拠を集め、手元に保管しておくことが重要です。
また、退職金に関しても、規定がある企業で「退職金を払わない」と言われた場合は、退職金規定の文書や、その約束を反故にするような会社からの連絡書やメールなどの証拠を集めることが肝心です。
これらの資料は、後に退職金の請求を行う際の重要な根拠となるので捨てないようにしてください。
退職申し出時期と退職希望日が社内規定に違反しているとき
一般的に、民法では日給制や時給制の雇用形態においては、少なくとも2週間前に退職を申し出ることが定められています。
しかし、多くの企業では、社内規定によってより長期間の通知期間を設けていることがあります。
円満な退職を図るためには、可能な限りこれらの社内規定に従うことが理想的。
退職希望日から逆算して、余裕を持って退職の意向を上司に伝え、双方が納得できるスケジュールで退職日を決めることが望ましいです。
会社側の要求が合理的な限り、基本的にはこれに応じる姿勢を示すことが推奨されます。
ただし、何らかの理由で社内規定に従うことが難しい場合、民法が優先されますので、そのような状況では、会社側に迷惑をかけることに対するお詫びを述べつつ、退職の承認を求める交渉をしましょう。
退職の話が進まないとき
もし上司がこの話を聞いてくれない場合は、次の階層、つまり上司の上司に同じ話を持ち掛けることを検討しましょう。
それでもなお退職の話が進展しない場合は、社内の人事部門に相談を持ちかけることが一つの解決策となります。人事部門は、従業員と会社との間の問題に対処する責任があります。
法的には、民法第627条により、一般の正社員は退職意思を伝えてから2週間後に退職できるとされています。
したがって、法的には会社が退職を拒否することはできません。
場合によっては、必要に応じて適切な法的アドバイスを求めることも重要です。
まとめ:「立つ鳥後を濁さず」が大事
転職先も決まって後は退職するだけと思ってしまう気持ちも分かりますが、現職の人たちが将来的にはお客さんになる可能性もあります。
自分のことを真剣に考えるのも大事ですが、周囲との関係性も考えた「いい辞め方」が大事です。
転職理由の伝え方や伝えるべきタイミングを外さないように円満退職となるよう心掛けましょう。
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