転職活動は何社まで同時に進める?複数同時応募の注意点を解説

転職活動では、一体何社まで応募すれば良いのでしょうか?
この記事では、転職市場における複数社同時応募の現実と、それに伴う注意点を徹底解説します。
また、同時応募をすると、
「選考プロセスの管理が大変そう。」
「情報整理が難しそう。」
「スケジュールをどうやって効率化すればいいのか分からない。」
このような疑問が思い浮かぶでしょう。

効果的な転職活動のためには、戦略的に応募数を決め、賢く行動することが重要です。
この記事では、複数応募に向いている人や向いていない人、同時に何社まで応募するのがベストな選択なのかなどをまとめています。

転職活動をしている方々からよく取りあげられる同時応募に関する疑問についても回答していますので、参考にしてください。

転職成功者の応募社数は何社?

人材紹介サービスを手掛けるdoda(デューダ)が調査した転職活動開始時から内定をもらうまでに応募した求人数の平均は21.4社となっています。
職種、業種、年代、性別、地域などによって偏りはあるものの、21.4社という数字だけを見てしまうと、転職活動はかなり大変というイメージをもつ人がほとんどではないでしょうか。


(出典:doda 転職成功者の「平均応募社数は?」より引用)

しかし、ここで発表されている応募社数というのは、書類選考を含めた応募社数であり、実際に面接へと進んだ企業の数ではありません。
書類選考から内定をもらうまでの通過率を考え、およそ19社前後の応募に対して4社ほどが面接へ進めるというデータに基づいたものになっています。
これに一次選考(面接)通過率なども加味すると、書類応募の段階ではそれなりに多くの企業に応募することになりそうです。

dodaを利用した場合の応募社数の平均ですので、その他の転職エージェントを活用した場合にはもっと少ない数で済んだというケースも珍しくありません。

転職・中途採用の一次選考の通過率については以下の記事も参考にしてください。
「転職による一次面接の通過率は?転職を成功させる基本の『キ』」

転職活動では「同時に何社までの応募」という決まりはない

転職市場においては同時応募の数に上限はなく、自分にとってベストな職場を見つけるためには、複数の選択肢を持つことが推奨されています。
だからといって無計画に応募を重ねるのは避けましょう。
応募する企業の質にこだわり、自分自身の時間管理と効率を考えながら、応募プロセスを進めていくことが大切です。

履歴書や職務経歴書を一つ一つ入念に作成し、それぞれの企業に合わせたカスタマイズを行うこと、面接時にはその企業についてしっかりとリサーチしておくことなど、質を落とさないための努力が必要です。

 

面接日程の調整も見逃せないポイントであり、特に在職中の方は面接のための時間を確保することにも一苦労です。
だからこそ、自身のライフスタイルや仕事のスケジュールに合わせて、無理のない範囲で転職活動を行いましょう。

内定率を上げるには、量より質。
もし多数応募しても結果が出ない場合は、書類の内容を見直したり、自己分析を深めたりすることが効果的かもしれません。
自分の魅力を正しく伝え、志望する業種や職種にマッチしているか再確認することで、転職成功に近づくことができるでしょう。

複数企業へ同時応募のメリット・デメリット

転職活動で一社だけに応募して内定をとって転職活動を終了するというのはレアケースです。
個人差はあるものの転職希望者は複数の企業に応募することにはなるでしょう。
しかし、複数の企業に応募する場合であっても、同時に応募するかどうかは別問題です。
「時期をずらして応募する」のと「時期を重ねて応募する」のとではどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

同時応募のメリット

まずは同時応募のメリットから見ていきましょう。

転職活動がスムーズに進む

転職活動を効率的に進めるためには、複数の企業への同時応募が推奨されています。
これにはいくつかの理由がありますが、特に重要なのは活動のスピード感を保つことです。同時に複数の企業とコンタクトを取ることで、それぞれの選考の進行状況を見極めつつ、フィードバックを受け取る機会も増え、転職への道がスムーズに拓けます。

面接日程の設定や選考結果の待ち時間は、転職活動において大きなストレスとなり得ますが、複数企業への同時応募は、選考プロセスの重複を避けるためのスケジューリングが可能になり、トータルで転職活動が進んでいるという実感を得ることができるでしょう。

一つの企業から不採用の通知を受けたとしても、転職活動そのものが停滞することはありませんので、常に次の動きを準備できる状態をキープし、モチベーションを維持することができます。

同時に複数の企業を比較できる

複数の企業に同時に応募することには、自分に合った職場を見極めるという大きな利点があります。
企業ごとに異なる文化や働き方があるため、同時進行することで、それぞれの環境を直接比較する機会を持つことができます。

面接を通じて、各社の社員とのコミュニケーションや職場の雰囲気を感じ取ることができ、自分のキャリアに必要な条件、例えば福利厚生や休日の取り方、給与体系など、重要なポイントを複数の選択肢から考慮できるのです。

さらに、多角的に企業を見ることで、自身の市場価値をより正確に把握し、自分に最適な場所を見つけるための判断材料が増えます。
複数のオプションを探ることは、ただ時間を節約するだけではなく、最終的に満足のいく転職を実現するための戦略的なステップとなり得るのです。
転職先を選ぶ際には、幅広い視野で情報を集め、総合的に判断することが肝心です。

同時応募のデメリット

同時応募のメリットを見たところで、デメリットについても考慮しておく必要があります。
同時応募をすればスケジュール的にタイトになることは避けられないでしょう。
一社あたりの企業分析や面接対策にかけられる時間も限られることになります。

スケジュールがタイトに

転職活動で複数社に同時応募する際の課題として、面接などの日程調整があげられます。多くの会社を対象に転職活動を進める場合、それぞれの企業からの面接要請が重なることが往々にして起こります。
このような状況になると、スケジュールの調整が難しくなり、迅速な対応が求められます。

 

また、一つ一つの企業との連絡や日程調整に迅速に対応できない場合、その遅れが転職を希望する企業への印象を悪くする要因になる恐れがあります。
応募先の企業が候補者に対して柔軟な日程調整をしてくれるとは限らないため、転職者側が積極的に調整する姿勢が重要です。

面接日程の衝突や連絡の遅れは、転職先の企業に自分の管理能力を疑われる原因にもなりかねません。
複数の応募を管理する際は、きめ細かなスケジュール管理が求められるのです。

複数の選択肢を同時に進めるメリットは大きいものの、それを実現するためには高い組織力と計画性が不可欠となります。

一社あたりの対策時間が減る

同時応募の際の企業研究の時間が不足しがちな点もデメリットです。
多数の会社に応募することは、それぞれについて徹底したリサーチが必要となるため、全体の準備に費やす時間が分散してしまいます。

応募先の会社に対する理解を深めることは、面接時の印象を左右するだけでなく、自分にとっての適職を見極める上でも有効です。
企業分析を疎かにした転職では転職ミスマッチを引き起こしてしまう原因の一つにもなっています。

 

転職のミスマッチについては以下の記事も参考にしてください。
「転職後のミスマッチを防ぐには?ミスマッチ転職の原因と防ぎ方を解説」

現職の業務が疎かになる可能性

現職を持ちながらの転職活動では、日常の業務に支障をきたさないよう、時間管理をしっかり行うことが重要です。
現職の業務を疎かにしてしまうことは、プロフェッショナルとしての信頼を損ない、それが転職活動にも悪影響を及ぼすことがあります。

一社ずつ応募のメリット

一社ずつ応募することにもメリットがあります。
同時応募のメリットとデメリットと裏返しになっているところもありますが、簡潔にまとめておきます。

一社ずつの対策がしっかりできる

特定の企業に焦点を当てることで、その企業の文化、求めるスキルセット、職場環境を深く理解し、自己PRや面接対策を徹底的に行うことができます。
これにより、採用担当者に自分がその企業にとって最適な候補者であると強く印象づける機会を得られる可能性が高まります。

スケジュールの管理がしやすい

スケジュール管理の手間がかからないことも一社ずつ応募するメリットです。
具体的な応募プロセス、面接の日程調整、そして結果待ちの時間を一つ一つ確実に把握できるため、個々の企業とのやり取りに集中しやすくなります。

フィードバックを活かしやすい

特定の企業に集中することで、面接や選考の結果を深く分析し、自己改善につなげることが可能です。
不採用の場合でも、その理由を詳しく知る機会が多く、これを自己成長の糧に変えることができます。

特に、転職エージェントを活用した場合、エージェント経由でフィードバックをもらえることもあり、個人で転職活動をするよりも質の高い自己改善ができることが多いです。

一社ずつ応募のデメリット

同時応募の際のメリットは、一社ずつ応募した際のデメリットになります。

転職活動が長期化する恐れ

一度に一社のみにアプローチする戦略は、転職活動期間の長期化につながる主な要因です。各企業の採用プロセスには数週間から数ヶ月を要する場合が多く、不採用が決定した後に新たな応募を開始すると、その都度待ち時間が生じます。
市場の変化に迅速に対応できず、他の求職者に比べて競争で遅れをとる可能性があります。

交渉力の低下

複数のオファーを持っている場合に比べ、条件交渉においてアピールポイントが少なくなります。

例えば、給与や勤務条件などで、他社のオファーを引き合いに出すことができれば、より良い条件を引き出す材料になります。
しかし、一社しか選択肢がない場合、企業側はあなたが他の選択肢を持たないことを知っているため、企業側の提示条件を受け入れざるを得ない状況になりかねません。

機会損失

市場には常に複数の求人があり、限られた選択肢に絞ることで、自分にとってより適した職場や条件の良いオファーを逃すリスクがあります。
転職市場は日々変化しており、数多くの企業にアプローチすることで、より早く、より多くの情報を得られ、適切な職を見つけられる可能性が高まるかもしれません。

転職活動で同時応募をしない方がいいケース

総合的に判断すると、転職活動は一社ずつに応募するよりも、無理のない範囲で複数社に同時に応募して選考を進めていく方法がスタンダードになりつつあります。
しかし、中には同時に何社も応募しない方がいい場合があります。

 

現職と同じ業界・業種を志望している場合

現在勤めている業界や業種での転職を考えている場合、専門性と経験を最大限に活かすことが可能です。
その分野での実績があり、既に業界特有の知識やスキルを身につけているため、新しい職場でも迅速に貢献することが期待されます。

そのため、同時に何社もの企業に目を向けるよりも、特定の分野に特化して求人を探した方が、自分の強みを前面に出した効果的なアプローチができるでしょう。
応募数は少なくなるかもしれませんが、質の高い応募ができるため、選考を通過しやすくなる傾向があります。

転職活動に使える時間が限られている場合

在職中に新天地を探す際、時間の制約が大きな課題となり得ます。
そんな状況では、転職先を慎重に選び、応募の範囲を限定することが賢明です。
忙しい日々を送る中での転職活動は、その負担が現在の業務にも影響を及ぼす恐れがあります。
現職で多忙な中で転職活動を行う場合には、一つ一つの応募に対して、丁寧な準備と企業研究と自己分析を行うことで、量よりも質を意識した転職活動をするべきかもしれません。

特定企業への転職に強い意志がある場合

強いこだわりがある企業があるなら、転職活動でその企業に専念することは有効な戦略です。
情熱をもってその企業の文化、ビジョン、業務内容を研究し、応募書類や面接でその熱意を表現することで、他の応募者と差別化を図る方がよいでしょう。

専門性が高い業界や職種の場合

専門性が高くニッチな業界や職種では、同時応募には注意が必要です。
限られた求人と独特なスキルセットが要求されるため、一つ一つの応募に対して丁寧に時間をかけ、企業のニーズと自身の専門性をしっかりとマッチングさせることが求められます。

また、専門性の高い分野では業界内での人脈が影響することも多く、場合のよっては人脈を損なうかもしれません。
専門性が極端に高い業界内で雇用の流動性が高くない場合には注意しましょう。

転職活動で同時応募をした方がいいケース

転職活動をスムーズに行うためには、ある程度の同時応募は避けられません。
先ほど紹介した「同時応募をしない方がいいケース」でない場合には、無理のない範囲で同時に複数企業へ応募することをおすすめします。

未経験の業界・業種を志望している場合

未経験の領域に挑む際、一社ごとに進めるよりも、幅広い企業に応募することで、より多角的なフィードバックを受ける機会が増えます。
それぞれの企業が求めるスキルセットや人材像は異なりますので、多くの面接を経験することで、業界のニーズや自分がアピールすべき点が明確になります。

未経験の業界や業種に転職を考えている方は、多くの選択肢を持つことで、場合のよって転職活動を進めながら新しい職種への理解を深めていくのが効率的です。

転職活動期間を短くしたい場合

転職活動の平均期間はおよそ3ヶ月と言われています。
特に、現在離職中の方々にとっては、転職活動に専念できる時間があるため、多くの企業への応募が可能です。
在職中の方に比べてスケジュールの調整がしやすく、より多くの選考に参加することで早期の転職成功につなげることができます。
早く次の職を見つけたい、待機期間を有意義に活用したいと考えているなら、積極的に複数の求人にアプローチしましょう。

転職活動で同時に複数応募する時の注意点

転職活動で複数社に同時応募する際の注意点をまとめました。

応募の順番を考える

複数の企業へ同時に応募する際には、応募する企業の選考プロセスの長さや、内定後の返答期限を意識することが不可欠です。なぜなら、各企業で選考の進行速度が異なり、結果の通知時期もバラバラだからです。

 

一例として、ある企業がスピード選考を実施している場合、内定が出た後に返答を求められる時間が非常に限られていることがあります。
この時期に最も入社を希望する企業の選考が残っている状態だと、非常に難しい選択を迫られることになるでしょう。

そのため、各企業の選考スケジュールを事前にリサーチし、志望度に応じて応募順序を計画することが肝要です。
このリサーチには、企業の採用情報ページの確認、採用担当者への問い合わせ、過去の採用プロセスを共有している転職体験談などが役立ちます。

 

すべてを自分で調べたり管理したりすることは難しいので、転職エージェントを通じて応募の順番を相談することが普通になってきています。

面接が行われるのは平日日中

転職活動では、面接はほとんどが平日の日中に実施されるため、在職中の転職希望者は特に注意が必要です。
全ての企業が夜間や土日に面接を設定しているわけではないため、事前に休みを取るなどの準備が求められます。
しかし、休暇を取りすぎると職場に迷惑をかけることもあるので、応募する企業数は自分の時間管理が可能な範囲に抑えましょう。

 

また、面接の日程が集中しないように、応募する企業には面接希望日を幅広く提案することが大切です。
もしスケジュール調整が難しく、一度に一社の面接しか対応できない状況なら、同時期に複数の応募は避けた方が賢明です。

内定への意思決定のタイミング

複数の企業に同時応募する際には、意思決定のタイミングが重要です。
可能な限り、各社の選考プロセスの進行具合を把握し、内定が出る時期を調整することを心がけましょう。内定が出た後は迅速な対応が求められます。

 

通常、内定の通知を受けてから一週間程度は返答期限とされていることが多く、この期間内に次のステップへの意向を企業に伝えることがマナーとなっています。
長期間返答を保留していると、企業側がその内定を取り消す可能性もありますので、適切な期間内での意思決定が必要です。

結局、転職活動で何社も同時に応募しても大丈夫?よくある質問

「転職活動で何社も同時に応募するのは難しそう」
「面接で同時に応募していることを伝えるのは大丈夫?」
など、よく寄せられる質問に対する回答をまとめました。

同時に何社も応募していることは面接で伝えても大丈夫ですか?

大丈夫です。
採用担当者も転職活動で同時応募がスタンダードになっていることは知っています。
同時応募を理由にしてマイナス評価を付ける可能性は小さいと思っていいでしょう。

 

嘘をついたことによって、整合性がとれない回答をしてしまったり、深い質問をされたときに回答に困窮してしまったりすることもリスクにつながります。
複数同時に応募している場合には、自分で「軸」をしっかりともった転職活動をしているということが伝われば問題ありません。

同時に何社も応募しているとスケジュール管理が大変ではありませんか?

転職エージェントを活用すればそこまで難しくはありません。
現職で仕事をしている場合には、その都合をつけることを最優先で行えれば、あとは転職エージェント側で面接の日時を設定してくれることがほとんどですので、スケジュール管理もしやすくなるでしょう。

何社までの同時応募ならいいですか?

個人差があるので、一概に「何社までなら大丈夫」と言うことはできませんが、一般的に同時に応募するのは5社程度が適切と言われています。
平日の日中に面接が行われることが多いため、同時に面接に進んだときに調整ができなくなるためです。
また、一日の中での複数社の面接を入れる場合も2社ぐらいまでにしておきましょう。

 

面接時間は企業によってどのぐらいかかるのか判断するのは難しいですし、あまり厳しいスケジュールで組みすぎてしまうと応募先の企業に迷惑をかけることにもつながります。
もちろん、採用結果にも影響を与えます。

「何社も応募してしまったな」と思った時の対応策

転職活動を行う上で、多くの企業に同時に応募することは戦略的に有効ですが、時には応募しすぎてしまい、自己管理が難しくなることがあります。
自身に合った企業とのマッチングを見極め、選考の進行状況や自分のやりたい仕事への適合度を再評価しましょう。
その結果、継続する必要がないと感じた選考は、敬意を持って辞退することを考慮することが肝心です。

 

辞退を決めたら、速やかに連絡を取るようにしてください。
選考の辞退理由は、具体的な内容を詳述する必要はなく、「一身上の都合により」という表現で十分です。
しかし、その際は企業側の手間を考慮し、感謝の意を表しつつ、今までの選考に対する謝意を伝えることが大切です。

もし、これまでに複数回のやり取りがあったり、特に印象に残る応対をしてもらったりした場合は、メールだけでなく、電話で直接感謝と辞退の旨を伝えてもいいでしょう。
先方に何の連絡もせずに自己完結で辞退することだけはNGです。

まとめ:転職エージェントを活用すれば複数企業への同時応募も安心

転職エージェントを活用すれば、スケジュールの管理や条件交渉など、自分一人ではなかなか難しいこともサポートしてもらえます。
一社ずつ応募することにもメリットがありますが、転職エージェントを活用すれば、複数企業へ同時に応募したときのメリットが大きくなり、デメリットを最小限に抑えることができます。
同時応募を検討する場合には転職エージェントを利用するといいでしょう。

 

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