転職活動で見る非公開求人とは?企業が非公開求人を出す理由とミスマッチ防止に役立つ理由

なぜ企業が求人を非公開にするのでしょうか。
そしてそれがどのように転職者のミスマッチを防ぐのに役立つのでしょうか。
本記事では、企業が求人情報を非公開にする理由と非公開求人を活用することで転職ではミスマッチを防ぎやすくなる点について解説します。

 

非公開求人は通常、特定の転職エージェントを通じてのみアクセス可能であり、その背景には企業の独自の採用戦略や候補者の質へのこだわりなどがあります。
この記事を読むことで、転職活動における非公開求人の理解を深め、より効果的な転職活動の参考にしてください。

公開求人と非公開求人の違い

企業の求人形態には、公開求人と非公開求人の2種類があります。
求人形態を使い分けているのには理由があり、同じ企業が公開求人と非公開求人のどちらも出していても、応募している職種が異なっているということも珍しくありません。
まずは、公開求人と非公開求人の違いから見ていきましょう。

公開求人とは?

公開求人とは、一般に公開され、誰でもアクセス可能な求人情報のことです。
インターネット上の求人サイトや企業の公式ウェブサイト、新聞広告などで広く告知されるため、情報の入手が容易です。
公開求人の特徴は、多くの求職者にリーチすることができる点にあります。
このため、広範囲の候補者からの応募を企業は期待しています。

 

また、公開求人では、企業が求める職種、必要なスキル、給与の範囲、勤務地、福利厚生などの詳細な情報が提供されることが一般的であり、求職者は自分のキャリアプランや条件に合った職を探しやすくなります。
公開求人は、転職市場の透明性を高め、多様な候補者が多様な職を見つけるための重要な手段となっています。

非公開求人とは?

非公開求人とは、一般には公開されず、特定の転職エージェントやヘッドハンターを通じてのみ提供される求人情報のことです。
これらの求人は、通常、企業が特定の理由で広く公開したくない場合に設定されます。

 

非公開求人の大きな特徴は、その独占性と高いマッチング率にあります。
転職エージェントは、求職者のキャリアや希望を考慮して、適合する非公開求人を紹介するため、より精度の高い職業マッチングが可能になります。

 

また、競争率が低く、候補者が際立つ可能性が高まるため、転職成功率を高める要素ともなっているのも特徴的です。
このように、非公開求人は、特定の条件やニーズを持つ求職者と企業の間で、効果的な採用活動を促進する役割を果たしています。

公開求人と非公開求人の特徴まとめ

ここまでの内容から、公開求人と非公開求人の違いをまとめると次のようになります。
企業が公開求人を出す理由や、転職活動をする方々にとってのメリットについては、後の項目で詳しく解説しています。

項目 公開求人 非公開求人
公開範囲 一般に公開されている 特定の転職エージェントやヘッドハンターを通じてのみ提供
アクセス 誰でも情報にアクセス可能 情報へのアクセスが限定されている
目的 幅広い求職者からの応募を期待 特定のスキルや経験を持つ候補者を限定的に探す目的
特徴 職種、必要スキル、給与等の詳細情報が公開される 独占性と高いマッチング率に焦点
利点 多様な候補者にリーチできる 競争率が低く、候補者が際立つ可能性が高い
透明性 高い 低い
適合性 広範囲の求職者に適する 特定の条件やニーズを持つ求職者に特に適する


企業が非公開求人を出す理由

公開求人で募集をかけた方が、多くの応募者から優秀な人材を選ぶことができそうです。
しかし、企業には非公開求人で応募者を募りたい理由があります。
企業が非公開求人を出す理由とは何なのでしょうか。

早急に人材採用が必要だから

理由の一つに、緊急性が挙げられます。
急な人員不足が発生した際、特に急ぎで補充が必要とされる状況では、非公開求人が適した手段となります。
たとえば、予期せぬ退職や緊急なプロジェクトのために、すぐにでも人材が必要となるケースがこれに該当します。

 

公開求人の場合、求人情報の公開までには時間がかかります。
詳細な情報の作成から掲載まで、数週間を要することも珍しくありません。
一方で、非公開求人では、転職エージェントがすでに保有する候補者のデータベースを活用して迅速に対応することができます。
この迅速な対応は、限られた予算内で効率的に人材を確保するのにも有効です。

 

このように、非公開求人は時間とコストを考慮した緊急採用のニーズに応える手段として、多くの企業にとって重要な選択肢の一つとなっています。

応募者が殺到するのを防ぐため

採用プロセスの効率化も企業が非公開求人を利用する理由の一つです。
特に、高い知名度を持つ企業が公開市場に求人を出すと、数多くの応募が集まることがあります。
これにより、採用担当者の業務が過度に増加し、選考プロセスに負担がかかることが懸念されるのです。

 

非公開求人を利用すれば、企業はこのような過剰な応募の流入を避け、採用プロセスをスムーズに進めることが可能となります。
転職エージェントを通じて、企業の具体的なニーズに合致する限られた候補者のみに対して求人を提供するため、選考の質を保ちつつ効率的な人材採用が実現できます。
採用活動における時間とリソースの節約、そして質の高い候補者の確保という二つの重要な目的を満たす手段として、多くの企業にとって有効な選択肢となっています。

公開求人にすると社名が埋もれてしまうから

中堅や中小企業は、大企業と比べてブランドの認知度が低いことが多く、このことが公開求人の可視性に影響を及ぼす可能性があります。
公開求人市場では、数多くの企業が求人を掲載しており、特に知名度が低い企業の求人は、他の多くの情報に隠れがちです。

 

この問題を解決するため、一部の企業は求人を非公開にし、特定の職種や条件にフォーカスした求人情報を提供します。
求職者は企業名ではなく、職種や仕事内容に基づいて応募の選択を行うようになるのです。これは、中堅・中小企業にとって、特定のタレントを引き付け、適切な候補者の応募を促す効果的な手段です。

 

このような方法を利用して、競争の激しい求人市場での自社の位置づけを強化している企業も多く見られます。

競合他社に採用情報を隠したいから

人材採用は、企業の事業戦略や将来の展望に直結する重要な活動です。
公開求人を通じて募集する職種や必要なスキルが公になると、それが競合他社に企業の事業戦略や市場での立ち位置を推測する手がかりとなる可能性があります。

 

例えば、特定の分野で専門的なスキルを持つ人材の採用が活発であれば、その企業が新しい事業を展開しようとしていることが推測される場合があります。
このような情報が競合他社に伝わると、市場競争上の不利につながることも考えられます。

 

そこで、特に戦略的に重要なポジションの採用や、特定のスキルセットを必要とする職種に関しては、非公開求人として扱うことが多くあります。
これにより、企業は採用活動を行いながらも、その詳細を競合他社から隠し、事業戦略の秘密を守ることができます。
非公開求人は、こうした戦略的配慮から選ばれることが多く、企業の競争力維持に寄与する重要なツールとなっています。

社内にも求人情報を隠したいから

経営層や重要ポストの人材募集に関する情報の秘匿は重要なポイントです。
例えば、企業が経営企画に関わる上層部クラスの人材を探している場合、その情報が公になると、社内外で様々な憶測や不安を引き起こす可能性があります。
社員の間で不必要な噂が広まったり、経営上の不安定さを外部に示すことになりかねません。

 

さらに、企業の採用計画が外部に漏れると、競合他社や業界関係者によって、その企業の経営状態や戦略が推測される恐れもあります。
特に、早期退職者の募集などは、外部に対して企業の経営状態に関する否定的な印象を与える可能性があるため、こうした情報は特に慎重に扱われます。

 

非公開求人は、企業がこれらのデリケートな情報をコントロールしながら、適切な人材を確保するための効果的な方法と言えるでしょう。

転職活動中に非公開求人を検討するメリット

非公開求人を利用するメリットがあるのは企業側だけではありません。
転職活動をしている方々にとっても非公開求人を利用すべきメリットはあります。
なかでも、「転職活動をしてよかった」と思えるためには、転職後のミスマッチを如何に防ぐかが重要になります。
非公開求人を利用する最大のメリットはミスマッチを防ぐ可能性を高めると言っても過言ではありません。
転職のミスマッチの原因については、以下の記事も参考にしてください。
「転職ミスマッチの理由は何?転職ミスマッチの原因と理由を解説」

ミスマッチが防ぎやすい

非公開求人には一般には知られていないが非常に魅力的な求人が多く含まれています。これらの求人は、特定のスキルや経験を持つ候補者を対象にしており、その結果、求職者にとって適切な職種やポジションを見つけやすくなります。

 

特定の分野での経験を重視する求人が多い傾向にもあり、
「専門的なスキルを活かしたい」
「特定の分野でのキャリアを積みたい」
と考える求職者にとって、理想的な職場環境を見つけやすくなるメリットもあげられます。

 

一般的な公開求人では見つからないような独特の職種や業界に触れることができ、選択肢が広がるため、非公開求人を通じた転職活動は自分にとって最適な職場環境や仕事を見つけ、ミスマッチのリスクを減らすことができるのです。

 

エージェント活用以外のテンショクミスマッチの防ぎ方や注意については以下の記事も参考にしてください。
「転職後のミスマッチを防ぐには?ミスマッチ転職の原因と防ぎ方を解説」

大手企業の求人が見つかる

多くの有名企業では、採用プロセスの効率化や候補者選定の精度を高めるために、非公開求人を利用しています。
これには、公開求人の場合、多数の応募が予想され、採用担当者の負担が大きくなることを避けるという目的もあります。

 

特に、一般には新卒採用がメインであるとされるような大手企業でも、非公開で経験者の採用を行っている場合があり、このような企業の非公開求人は、一般的な求人サイトや企業の公式サイトでは見つけられないことが多いです。

 

また、同じ企業内でも職種によって公開求人と非公開求人を使い分けることがあります。例えば、特定の専門スキルや経験を必要とするポジションは、非公開求人として扱われることが多いのです。
スキルアップやキャリアアップを目指す転職者にとって、非公開求人をチェックすることは、希望の職種や企業に出会う大きなチャンスとなるでしょう。

公開求人よりも倍率が低い

非公開求人では、企業が採用したいと考える人物像がはっきりしており、募集要項に適合する特定のスキルや経験を持つ応募者を対象にしています。
企業と求職者間のミスマッチが減少し、求職者にとっては採用される可能性も高まるのです。

 

非公開求人は、一般に広く公開される求人に比べて応募者数が限られるため、求職者はより少ない競争相手との中で選考に臨むことになります。
これは、特に人気職種や大手企業の求人において、応募者が多数いる公開求人と比較すると顕著です。

非公開求人からの転職が向いている人の特徴

非公開求人を通じた転職活動が有意義となりやすい方の特徴を紹介します。

特別なスキルや経験がある

非公開求人は、企業が特定の専門性や経験を持つ候補者を探しているケースが多く、そのため、公開求人よりも求められる人物像がはっきりとしています。

 

特定の業種や分野での専門スキルや経験を持つ転職者にとって、非公開求人は非常に魅力的です。
これらの求人では、企業が特定の条件や能力を明確に求めているため、自身のスキルセットや経験がマッチする場合、より効率的かつスムーズに採用プロセスを進めることが可能です。

 

このように、特定の専門分野で高いレベルの技術や知識を有し、それらを活かしたいと考える転職者にとって、転職のミスマッチは激減し、非公開求人は大きなチャンスと言えるでしょう。

自己分析ができている

自己分析をしっかりと行い、自身のキャリアに対する明確なビジョンを持っている方にも、非公開求人を利用した転職活動はおすすめできます。
非公開求人は一般的に、職務内容や求める人材の条件が具体的に示されていることが多く、自己のスキルやキャリアプランがはっきりしている方にとっては、非常にマッチしやすい環境が提供されています。

 

具体的な職務内容や企業の期待する役割を知ることで、「転職者は自分の経験やスキルがどのように活かせるか」、また「自分のキャリアプランにどのように適合するか」をより正確に判断できるので、転職後のミスマッチを防ぎ、自分のキャリア目標に合った企業を見つけやすくなります。
自己分析ができている応募者にとって、非公開求人は希望するキャリアパスに沿った効果的な転職活動をサポートする重要な選択肢となるでしょう。

非公開求人からの転職に向いていない人の特徴

非公開求人からの転職が向いていないケースもあり、公開求人からの応募の方が有利になることもあります。
非公開求人からの転職に向いていない方の特徴をまとめました。

キャリアが短く、スキルが乏しい

多くの非公開求人は、特定の専門性や豊富な実務経験を要求するポジションが多いため、短いキャリアの方には適合しづらい傾向があります。

 

非公開求人における企業のニーズは、即戦力となりうる経験豊富な人材に対して向けられることが多く、これらの求人は高いスキルレベルや専門知識を前提としています。
社会人経験が浅い、あるいは特定の業務領域での経験が限られている場合、たとえ倍率が低かったとしても、これらの求人に対して競争力を持つことは難しいでしょう。

 

そのため、キャリアが短い人は、非公開求人よりも、自身のスキルや経験を広くアピールできる公開求人を活用する方が、転職成功の可能性が高まるかもしれません。

転職を急いでいる

非公開求人による転職プロセスは、転職エージェントやヘッドハンターとの面談や面接を通じて自分の強みをアピールし、それにマッチする求人(これを非公開求人から案内してもらいます。)を見つけることが一般的です。
このプロセスは、個々の能力やキャリアに合った最適なポジションを見つけるために時間がかかります。

 

実際に採用する側の企業の採用選考フローに乗ってしまえば、先述の通り効率化された採用プロセスによって、スムーズに選考が進んでいくことが期待されますが、エージェントから非公開求人の案内をもらうまでに時間がかかってしまうというケースも考えられるでしょう。

 

転職を急いでいる場合、このような時間を要するアプローチは適していないと言えます。
急いで転職先を決めたい場合は、ミスマッチの可能性が高くなるというリスクはありますが、すぐに応募でき、迅速な採用プロセスが期待できる公開求人の方が効果的です。
公開求人では、多くの選択肢から自分で直接応募し、短期間で複数の企業の選考を進めることが可能だからです。

 

転職を急ぐ人には、非公開求人よりも、公開されている求人を活用し、迅速に転職活動を進める方が適していると言えます。

非公開求人のデメリットと注意点

非公開求人は、スキルが高く、自己分析が順調な方であれば利用する価値は高いと言えますが、利用時には注意点もあります。
また、非公開求人特有のデメリットもありますので、確認しておきましょう。

採用人数が少なく、求められているスキルも高い

非公開求人を出している企業は、特定のポジションや特別なプロジェクトのために独自の基準で人材を厳選しています。
これは、求人が限られた人数に対してのみ提供されるため、募集期間が短く、応募の機会も限定的であることを意味します。
そのため、転職エージェントから紹介される非公開求人に遭遇した場合、迅速な行動が重要です。

早めに応募を決断し、準備を整える必要があるでしょう。

 

さらに、非公開求人は高いスキルや専門知識を要求されることもしばしば。
大手企業や戦略的な重要ポジションの場合、その役割に適合する高度な専門性が求められることが一般的です。
選考の難易度は自然と高まり、応募者には徹底した企業研究や自己のスキルを磨く努力が必要となります。

 

非公開求人への応募を考える際は、これらの点を十分に考慮しなくてはなりません。

転職エージェントに紹介されない案件もある

転職エージェントに登録していても、すべての非公開求人を紹介されるわけではないという事実があります。
これは、非公開求人が特定の要件や条件を満たす人材を対象にしているためです。
例えば、特定の資格保持者や、特定分野での長年の実務経験を要求するような求人がこれに該当します。

 

転職エージェントは、登録している個々の転職者のスキルや経験に基づいて、適切な非公開求人を選定します。
したがって、転職活動をしている方の経歴やキャリアが特定の求人の条件と一致しない場合、その求人は紹介されない可能性が高いのです。

転職活動では公開求人利用と非公開求人利用のバランスも大事

転職活動において、公開求人と非公開求人の両方をバランスよく活用することは、効果的なキャリアアップのために非常に重要です。
非公開求人は、転職サイトなどで一般に公開されていない優良な案件が多く、特に幹部候補や専門性が高いポジションの求人にはその傾向があります。
これらの求人は、キャリアアップを目指す転職者にとって大きなチャンスとなる可能性が高いです。

 

一方で、公開求人もまた、広範囲の職種や業界にわたる多様な選択肢を提供し、転職者が自分のキャリアプランや希望条件に合った職を見つける上で重要な役割を果たします。
公開求人は誰でもアクセス可能であり、さまざまな機会に触れることができます。

 

両方の求人をうまく組み合わせることが、キャリアアップを目指す転職者や転職でのミスマッチを防ぎたい方にとって最良の戦略となるでしょう。

まとめ:非公開求人で転職するなら転職エージェント

非公開求人にアクセスするためには、転職エージェントへの登録は必須です。
公開求人、非公開求人の両方を上手く活用することによって、納得のいく転職活動ができ、ミスマッチなどの思わぬ落とし穴にはまることも少なくなるでしょう。

 

いずれの方法においても、自分の強みや求めているもの、提供できるスキルを明確にしておくことが重要です。
そのためにも、自己分析の精度を高めておくことはおすすめします。

 

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